電車に乗っていて、ウトウトしてきて・・・、
近所の医者のBGMがジブリメドレーで(?)
あるいは、病院の室内BGMでエンヤ流れはじめて、
そのまま天に召される感半端ない一瞬―――だね(?)
元々朝は苦手なんだ、
アラームは申し訳ないからバイブの設定して、
いざという時にそなえつつ、
すう―――っつ・・と、意識を・・・・・・。
くぐもらせる。
「う、ん・・・・・・」
世界五分前仮説のように、
ありえなさっていうのはいつだって一瞬、
そう、一瞬だったような気もする、
ハッと気づいて眼を開けたら、
そこは多段式ロケットでおさらばした、
電車の中の家だった。
家―――だった(?)
・・・・・・。
・・・・・・。
、、、、、、、、
なるほどなるほど・・・(?)
もう一回眼を瞑ってみる、
アディオス、グッドバイ、の、
現実逃避。
眼を開けて、ふふ、と笑ってしまう、
気持ち悪いよ、でも、仕方ないじゃないか、
比喩とか、夢の話ではない、現実に―――だ、
電車を改造(改装?)した、
車両で、僕はそのソファーの上に寝そべっていた。
ジェリー・マリガンの“Night Lights”が流れていた。
、、、、、
やわらかい(?)
ヴァーチャル・リアリティーというようなダイブ型―――の、
永遠に醒めないでほしい夢の中・・、
俺疲れてんのかな(?)
電車に乗るのは苦痛だったけど、
朝起きるのは苦手だったけど、
よもやまさかここまでひどいストレスを、
感じてるとは思わなかった、
電子レンジに冷蔵庫、洗濯機もあり、
水回りも存在し、ソファーやテーブルやベッドもあった。
窓にはカーテンもあった。
僕のマンションの部屋よりも広い、だって電車の車両だもの(?)
トイレやシャワールームもあったら、
(*あとで確認してみたら、あった、トイレにはウォシュレット、
シャワールームどころか浴槽付き、後いい匂いするシャンプーあった)
いわば夜行列車だね、と思う。
・・・・・・今度の休みに海にでも行くか(?)
・・・・・・それから、実家に帰ろう(?)
僕がこの世界を、夢だと決めつけ、、
ビルの谷間の夕陽と思いこもうとしていた視界に(?)
着物を来た十代ぐらいに見える、
ロリコソの、ティーンエーダーな(?)
美少女がカーペット敷かれた床に座布団置いて正座して、
太腿に手を置き、指先をピンと揃えているのが見えた(?)
こっちを見ておられた、ロリコソ(?)
菜の花畑歩いていそうな、ティーンエーダー(?)
十代に見えるベイビーフェイスで、
残念ながら胸はなかった(?)
、、、、、、、、
でもそれはそれで、とアホなことを考えていると・・・・・・。
「電車の座敷童です」
頭のいい子らしい、先読みして喋ってくれる。
助かる助かる、僕の名前はあらいぐまのラスカル(?)
「そーですか、いやあ、そうじゃないかなあって・・・・」
、、、、
思えるか!
なんだ、可愛い顔をしてイカれてるのか、
イカ娘読んだのか(?)
というかこれ、僕の空想の産物だったら、
僕がイカ食堂しているってことなのか(?)
「あれっ―――あれっ・・・・・」
しかし、頬を引っ張る。数秒後また再度確認する。
痛い・・。
やはり、これは現実だ。
電車の車両に生活スペースがあるなんて誰がどう考えてもおかしい。
鉄道マニアが思い誤って、
(思い余ってでも、いいが、)
でも人に迷惑かけない限りいいことだよ、
自宅を改造しまくってこんなのを作るということは、
有り得るかも知れないけど、
それはやっぱり空想じみているお伽噺みたいなものだ。
外国ならいざ知らず、日本の文化水準はもっと低いのだ(?)
有り得るかも知れないと、有り得る―――は、
月とすっぽんぐらい違う。
、、、、、
それに先程、窓の向こう、
(電車だから、動いているのだ、
最初はよく出来た夢だなあと思っていた、)
各駅じゃなく特急でもない快速だから、
主要駅に停まった駅名の看板が見えた。
地下鉄があったり、する。
それは、目的地へと行くまでに通過する駅の一つだった。
ということは―――ここだけ別の空間があるという、
異次元のようなもので、普段は人が入れないのだ。
だからイカ娘度は上がって世界征服企みながら海の家で働く、
ということはよくわかったけど(?)
宙吊りにされたように感じてしまう、
あるいはイエスキリストの十字架状態のように、
おお神よ、ジーザズ。あなたはオナシャスなのですか、
と言いたくなる(?)
「でもどうして、俺を・・・・・」
「知りたいですか、ええ、そうでしょうとも、
知りたいですよね」
別に知りたくなかった、
僕は異世界に行ってQしたいわけではない、
あれはきっとデスマーチ専門業者なのだろう(?)
早く帰らせてほしい、そう言いたかった。
拉致監禁やめろ、神隠しか、
お前、俺をどうするつもりだ、
トイレの個室で鍵を締めているし、使用中になってるはずだろ、
催促するのをやめろ、何考えてるんだホモなのか、
出るものも出ないだろ、あなたの気持ちもわかるけれど(?)
―――というようなことを考えていた僕に、
「・・・・・・恋をしてしまいました!」
どっきゅーん、と撃ち抜かれて―――は、いないな(?)
ただ、着物を着た美少女をまじまじと見ると、
ニコッとやはり笑って、
いい匂いしそうだな、とカブトムシは思った(?)
ある日電車の中で美少女と、
何やかやいろいろうりゃうりゃあって、
(何やかやの、いろいろの、うりゃうりゃ、なんです、)
駆け落ちするような設定があってもいいな、という気もした(?)
何の努力もせず、美少女が勝手に好きになってくれる、
どう考えても許せん漫画の主人公になったのだった。
、、、、
あざーす(?)
別に人間ではないとしてもそんなのはとても些細なことだ、
僕がそれを可愛いと思っていれば世界はそれを愛と呼ぶんだぜ、
と電車男の歌が流れるのだった(?)
だった!(?)
、、、、、
そして思う、
天かすと刻みネギにめんつゆまぶしてご飯に混ぜるだけの、
たぬきおにぎりは美味しい(?)
納豆にてんかすを入れるのも美味しい、と(?)
、、、、、、、、
舞いあがってんな(?)
嬉しいことがあると世界の果てまで走っていけるような気がする(?)
何処まで行きたい、
何処までも走って行きたい、
けれど、本当に行くのは普段はいらないお店だったり、
たくさん樹の植えられた大型の公園なのだ(?)
もう少しこのままと、
浮かれちゃいけないというのが、
繰返しやってくるアッピサイダウ(?)
「ありがとう、でも、それならまた会おう、
本当は色々言いたいこともあったんだけど、
そういうことなら―――許すよ」
まあ、恋人もいない独身男性にとって、
可愛けりゃ何でもありだよね、という気はする。
また会おうなんてえらそうな言い方してるけど、
おねげぇしますだお嬢さんみたいに訛ってるからね、これ(?)
また、許すなんて童貞の身分で何言ってんの(?)
現代社会の悲劇、
モンスター童貞なのというところもありつつ(?)
しかし、えらそうな言い方をしたのも伏線で、
「でも、仕事行かなくちゃいけないんだ」
「えーっ!」
わかるよ―――と、男は都内のホテルで携帯電話に電話をかけながら、
ダブルベッドの上で毛布をかぶった、
見た目がかわいすぎるクリスマスケーキみたいな、
裸の女を見ている(?)
ただれまくりのオトナの付き合い(?)
うひょー(?)
ハァハァハァハァ....(?)
わかるかい、
恋はスウィート愛はビター、
そして大人の付き合いはメイクラヴ(?)
、、、、、、 、、、、
飛ばしてんな、と思いゆ(?)
確かに、女は男に、仕事に行かないでと言うらしい。
わかる、いわばそのシチュ、愛犬に、
鎖ひきちぎって柵飛び越えて追っ掛けられるようなもの(?)
よく来たね、とはならない、
お前何してくれちゃってんの、紐もないから、
抱きかかえて家まで帰っていったよ(←感動の実話)
もちろんそんなわけにはいかないことを知りつつ、
我が儘を言う、いけない女の子だNe(?)
わたしと仕事どっちが大切なの、
と建設途中で廃棄されることになった。
未完成の原発が遊園地に転用されたようなことを言う(?)
そこで普通の男なら、
カレー味のうんこと、うんこ味のカレーみたいな、
究極の選択をするという(?)
開けてきたよ、おはヨーグルト(?)
けれど、おい待てよ、そんな両天秤そもそも成立しない、
女もわかってる、
所詮わたしは政令指定都市のひとりの女(?)
たとえセクシードレスにイルミネーション点灯式しようとも(?)
、、、、
でも言う、どれぐらい自分が大切か知りたいから、
―――と、男性雑誌にオシオマナブ/ダイブのように、
書いてあったとかいないとか(?)
いや、自分でもちょっと好きって言われて、
舞い上がってるのを自覚しつつ、
もはや何言っているかよくわからないんだけど(?)
あるある(?)
そういうことって、あるある(?)
、、
ふう、と深呼吸する。
いつまでも大学気分はいけないぞ、と自分に言い聞かせる、
社会人二年目、可愛い女の子だからって振り回されちゃいけない。
、、、、
―――泣きそう、だったけどウザいことを言った(?)
本当は、きらきらのラブモードしたいけれど、
ここは、残念ながら、通勤中の朝の電車内なのである・・。
、、、、、、、、、、、
そりゃ我にだって返るよ。
あるいはふざけきったがゆえに、我に返る・・・・・・。
「でも仕事は生活する上でお金を稼ぐ場所なんだ、
服を買う、ご飯食べる、住むところにお金払う、
お風呂に入る、電気を点ける、
何をするにも―――お金ってかかる、
だから、仕事をしないっていうことは、
いくらか大袈裟だけど、
僕に死ねと言っているのと同じことなんだ、
死なないという選択肢をすることは、
お金を稼がなければいけないんだ」
「じゃあ、わたしが養います」
じゃあ、おねがいしまーす、とは―――。
、、、、、、 、、、、
いかないよな、やっぱり(?)
驚くべき展開だった。
筋肉組織に電気信号を与えると伸縮する・・・。
いや、養うって、何処で働いてるの、お金は、と―――。
いや、もちろん、養われるつもりなんてまったくないけど・・。
だって、僕はヒモじゃないし、ニートでもない。
(ヒモだって女性がそれで幸せならありだろうし、
ニートだってアジア型の家族形態なら、
誰か一人だけ働いてそこに寄りそうみたいなこともある、)
―――いや、たんに、僕はそういう教育を受けてない、
そういうのを、受け入れられないと今現在思っているだけだとしても、
会社に行って働いてお金を稼ぐのは当たり前で、
それはやっぱりちょっと違っていた。
世間体とかいうのも若干あるけれど、
人間って昨日まで生きてきた自分を引き継いで生きるものだ。
そこにおける考えというのは、
隕石衝突ぐらいのインパクトがないと違う人生を生きないもの、
つまり明日突然ヘリコプターで拉致られて沙漠で目覚めるみたいな、
おおよそ有り得ないことが起きないといけないということだ。
僕が明日からマカオに行って性転換するとか、
いやいや明日から女装男子になるとかならともかく、
いやいやこれは馬鹿にしているわけじゃなくて、
本当にそれぐらいのことがなければ、
受け入れられない考えだということ。
社会人で二年働いて酸いも甘いも噛み締めたわけではないにしても、
そこまで馬鹿ではいられない・・・。
「・・・・・・え~と、」
「わたしは電車の座敷童なので、お金は大丈夫です、
皆さんが電車に乗る限り、わたしの通帳の貯金残高は、
常に無制限に等しいです」
仕事の話をするのかと思いきや、
通帳の話をしてきた。
いや、まあ、養うって言ったからお金の話なんだろうけど。
別に養われるつもりなんてこれっぽっちもなかったけど、
話は聞く、何しろ彼女のことを知らないからだ。
それに、電車の運行具合を見る限りまだ三十分ほど時間はある。
イチャコラーダしたいということは、
いや違うな、イエー、イチャコラーダしたいということは(?)
モテなかった男によくあることだ(?)
ところで、パリにはオタク通りと呼ばれる一角があり、
日本のアニメや特撮のフィギュアやマンガの専門店、
コスプレショップまで並ぶ。
、、、、、
だから何だ!(?)
「それは―――えーと、どういう・・・・・・」
「簡単に言えば、切符に支払う賃金、駅の自動販売機、
キオスクなどの売り上げから、
すうっと、わたしの貯金残高にお金が移動するわけですね(?)」
「つまり、働かないでお金もらうってこと?」
「掻い摘んでいえば、そうですね!」
―――掻い摘まなくてもそうだと思うけど!
なにその、詐欺師の架空口座みたいなスキル(?)
「駄目だよ、そんなお金、真っ当なお金じゃないよ」
口をとがらせ、腕組みして怒ったようなポーズをしながらも、
でも真っ当かどうかで言ったら、
税金のシステムだってそうだろう・・・・・・。
―――税金の仕組みはわかる、そういう血税で、
色んな人達が悪いことをしこたまやっていたとしても、
僕等はそれについて何も言えない、
表面上は変わる、蜥蜴の尻尾きりだ。
でもそういうものはなくならない、腐敗ってそういうものじゃない、
イタチごっこだ、
そこにおける人間たちにしみついた糞みたいな考えというのは、
世界中何処にでもある、美味しい汁にありつきたい、
自分が可愛い、自分さえよければ他はどうでもいい、
という甘えなのだ。
それはマスコミの姿勢にもある、
それはきっと世界中どんな立派な人間の中にもある、
きっと―――僕にだってあるだろう。
、、、、、 、、、、、、、、、、、、
だとすれば、お金はやっぱりお金なのだ。
、、、、、、、、、、、、、、、、
真っ当なんてよく言えたなあと思う・・・・・・。
賛成とか反対のイデオロギーを出さず、
淡々とその内部空間とシステムを吟味する・・。
「でも、わたし、電車の座敷童だから、
よそで働くとかできません。地縛霊じゃないけど、
ここから動けませんしね」
ウーン、と思いながら、呑み込むことにした。
まあ、座敷童だものな、通帳とかいうアイテムがあるなら、
何処で作った、ATM何処にあるなど疑問は湧いたけど、
そんな無茶苦茶が通るなら大抵のことは、
座敷童Q&Aないしは、座敷童あるあるで説明できるのだろう(?)
文化祭のポスターがマジパネエエエエみたいなものなのだろう(?)
カオシスティこと秋葉原という劇場都市の舞台裏みたいなもの(?)
それに、仕事できない、ここから動けない―――。
ってさ・・・・・・。
ってさ・・・・・・。
、、、、、、、、、、、、 、、、、、、、、、、、、
なんかよくわからないけど、お金持ちのお嬢様みたいな(?)
―――いや、あるいは、こういうべきか、
神、ゴッド、と・・・・・・(?)
きっと、世間知らずなんだな、
人が蟻のようだとモンキー興奮するムスカ大佐なんだな(?)
マッチョなフィギュアにドレス着せるということなんだな(?)
、、 、、、、、、、、、
いや、お前何言ってんだよ(?)
「でもちょっと急展開過ぎるよ、
もうちょっと、ゆとりを持って考えようよ」
「だって一度逃がしたら、もう帰ってこないかも知れないですよね」
どうも、僕の信用度、ゼロらしい・・・。
まあ、信用するも何も建築的要素すら見いだせていない状況では、
そういう言い方になるのだろう。
これが他人事だったら、爪が食い込むほど(?)
頭掻き毟って白眼になるほど(?)
死ぬほど悩めやボケがと思うところでも、
いざ自分のことになると本当に途方に暮れるなと気付く(?)
―――ひとつ、賢くなる、
ブロッコリーは、六〇〇wのレンジで三分加熱が正解!(?)
説得タイム・・・・・・。
「でも座敷童はわからないけど、人間というのは、
やっぱり何度も会いながら距離を詰めて、
心を寄せ合っていくものなんだ。
お互い違う人間、違う人生による違う価値観だけど、
最初の信用は大切だよ、
だから帰ってこないなんて、悲しいな、ちゃんと来るよ」
「それ、座敷童ティーヴィーのドラマで見ましたよ」
なんだ、座敷童ティーヴィーって(?)
それともあれか、あれなのか、テレビ局にも座敷童はいるのか(?)
NHKみたいに謎の理屈でお金を回収し(?)
いい機材揃えて、色んな番組をやっていたりするというのか。
アメリカのアニメの一枚絵のクオリティは低いけど、
動きはすごいよみたいなもので、
製作費パネエよってことなのか(?)
「座敷童と人間の恋ってドキドキしますよね」
、 、、、 、、、、、、、、、、、、、、、、、
あ、ごめん、そのドラマ見てないからわからないや(?)
でも、と僕は斜めに視線をやりながら、想像する。
気付けば君に向かって想いが走り出していた、とか、
動かないでね、いまはもうちょっとこのままでいたい、とか、
思い出すのは君だけ、僕の心のフォトグラフィー、とか、
おっと、髪にイモケンピが、
とかいう、ポエムるドラマだというのはわかるよ(?)
きっとハーレクイン洗脳なんだろう(?)
いやいや、神経過敏な世の中、アメリカじみた絵看板が欲しい、
単細胞だって、違う違う、シンプルだから何処までもゆける、
一つのことには様々な側面がある、
ハリウッド、アメリカドラマの方が儲かる、そういうこと(?)
僕もあれを読むと世界には愛しかないんじゃないかって、
鳥の雛が初めて見たものを親と思いこむみたいに、
刷り込まれてしまう(?)
心はバランスが必要だし、社会は七人の敵、
愛とか夢とか理想ばかりは言っていられない―――から・・。
でも彼女がそう言って、楽しそうにしている姿に、
心が洗われて、少女や少年特有の浅瀬の考えに、
拍手して、お小遣いあげたい気がした(?)
「じゃあ、百歩譲って、今日はここにいるよ、
でも、明日は仕事に行かせてほしい」
「え~っ!」
譲歩とか、ないらしい(?)
ヤバイぞ、ここにいるだけで、
一秒ごとに駄目人間になっていく気がする(?)
セットした目覚まし時計の電池を抜く悪戯みたいなものだった、
すごく困る、でも漫画やアニメなら何故かはにかむ(?)
「それに、座敷童さんは俺に恋をしたというけど、
生活してみたら好きじゃないところだって出てくるでしょ」
「あ、大丈夫ですよ」
「へ?」
「座敷童って、幸運の象徴じゃないですか、
だから一度その家に入ったら、ずっとそこは幸福なんです。
つまり、その人が悪くなるなんていうことはないんです、
それに仰っているのは、そこにおける恋では見られなかった、
愛の段階のレッテルのマッチ箱ですよね(?)
だから大丈夫ですよ、
一緒の生活をすれば生まれてきます」
なんか―――それ、人間の尺度で考えると、怖いな。
洗脳とか、マインドコントロールじゃなく、
(限りなく、そういうものに近いんだけど、)
もっと別の運命とか、宿命とか、天の配剤みたいに、
してしまえるような能力を持っているということ・・・・・・。
いやそれ、神じゃん、ゴットじゃん(?)
つまり彼女が好きといったら、その恋は百パーセント叶う。
―――まるで、当初用意された僕の人生のシナリオを、
書き換えてしまう・・・・・・強制執行力―――。
怖い。誰がどう考えても、怖い。
恐ろしい。
だのに、ニコニコしていて、美少女で、可愛い(?)
可愛いからって、何でもありってわけじゃないんだからね!
別にツンデレじゃないんだからね!(?)
―――傍若無人なのに天真爛漫、
いやそれすらも通り越して、天上天下唯我独尊(?)
けれど―――けれど。
そういう能力がある方が本当はいいのかも知れない、
たくさんの人生を垣間見ながら思うのは、
結局人は幸せというもの、運というものを、
上手につかまえられなくて破綻しているケースが多いような気がする。
傷つけ合うとかぶつかりあうという前提条件がおかしいのだ、
平和だってみんなの利益を考えたら誰だってそのはずだ、
けれど―――そうは絶対にならない、
だって人は自分の利益を求める生き物だし、
社会自体はそういう腐れ根性の人間どもの巣窟だからである(?)
そこで、人は妥協点を見つけたり、
大人という冷静な態度を身に着けたりする。
それをさらに無理矢理にしたのが、ある種の中毒のある要素、
麻薬みたいな沼だ。カルト宗教だってネズミ講だって、
客観的に作られた幸せの箱庭の中で喜んでいる構図がある。
、、、、、、、、
やられる前にやれ、という処世術という名のレ イプ(?)
―――彼女を見ながら、ここは竜宮城みたいなものなんだろうな、
非日常の理屈が満ちているけれど、
それはきっと、心の何処かでは、
あるいは心の奥深くではわかっている、
人のさみしさや悲しさが生み出した理想の類なのかも知れない・・。
でもしみじみとそうは思いつつ、
そうかといってこのまま済し崩し的に―――というわけにはいかない・・。
「でも―――そうだとしても、することなんて、
そんなにないでしょ?」
値踏みしたような言い方をしたのも、実を言うとわざとだった。
場合によっては、怒らせてでも、
現状打破しなければという想いからだ。
「あ、それも、大丈夫です」
そう言ったかと思うと、箪笥から、ドバドバDVDを出してきた。
それを見ていて、えにょ~っ、と口から魂が出てくる感じ(?)
あったんだ、こんなにも凄い裏ワザが(?)
この座敷童、プロの自宅警備員ならぬ、
電車警備員なのかもしれぬ(?)
走行中のトラックの巨大なタイヤを至近距離で撮影する迫力(?)
「本や漫画もありますよ、ゲームもしたければ、
Amazonで注文しましょう。
ネットも繋がっていますよ(?)」
ジグソーパズルもありますし、
人生ゲームもありますよ、と言うのを聞きながら、
思った(?)
ここにAmazonの配達員が来てくれるらしかった(?)
Amazonすげえな、と思う。
というか、座敷童パネエな、と思う。
嵐のデビュー曲『A・RA・SHI』のスケスケの衣装の如く、
もう僕わかっちゃったよ、この子、一人遊びのプロだってね(?)
「で、でも、料理だって―――」
彼女は、冷蔵庫を開いて、ぎっしりとした食材を見せた。
もはや、どうやって買ったんだとかはナンセンスだった。
Amazonの配達員(?)
また、当たり前だけど、そんなにぎっしりした食材があるということは、
彼女、料理が上手いのだ。
―――専門家になるほど量が増えるという法則、
一万時間の法則みたいな考え方だ。
もう何を言っても無理なんじゃないか、という気がする。
帰らせろと怒るのもなんか違う気がするし、
ここまで詰めて来られると、お前そんなに仕事が好きなのか、
彼女そんなにフェアじゃないことを言っているのかとも考えられ・・・。
―――たとえば、檻へ入れられたら逃げたいと思う、
スターリンやレーニンやヒトラー、と思う。
刃渡り二十五センチの凶器さながら、
銃で脅されたら相手が許せないって思う、
それは人間が損得勘定を考え、不利益だと判断するからだ。
拷問の歴史、兵器の歴史、殺戮の歴史、戦争の歴史・・・。
難しい理屈はいらない、
嫌だって思うことは世界中の九十九パーセント同じだ。
完璧に百パーセントとは言えない、
何事にも例外はあるものだからだ。
それでもするのが人間の歴史だけれど、
彼女は僕を檻へ入れないし、銃で脅さない、
ある意味もっともタチの悪い支配かも知れないけど、
たった一つのルール、ここにいて欲しいを守りさえすれば、
あとは何をしてもいいような扱い、
社会や世界は、そんな風なことを一度でも言っただろうか、
どちらが正しくてどちらが間違っているとかじゃなくて、
それがこの世界のルールなのだ・・・。
そこまで考えが進んだ時に、彼女が好きなのか嫌いなのか、
上手くやっていけそうなのかと思うのだけれど、
それも既に解決していた。
(だって彼女は座敷童なのだから、)
説得どころか、逆にものの見事に言いくるめられていた。
だって常識では考えられないことをいくつも保有している。
そうなのだ、論理のスケールの前提条件が変わってしまったら、
のきなみそれに合わせるもの。
こういうのって普通は、地に足がついていないと言う、
まあ、電車だから地に足はついていないけど(?)
「でもそれならせめて、会社に長期休暇とか・・・」
いや、会社って一週間行かなかっただけでも、
居場所はなくなるものだ、
長期休暇の理由が、真っ当なものでなければ、
もう働いてくれなくていい、となるだろう。
社会って残念ながら、そういうものだ。
働く意欲があっても一定の年齢に達すると、
リストラになったりする。
場合によっては、そんな人がホームレスになっていたりする。
仮に働けたとしても安い労働力だ、
外国人労働者がいれば日本人なんかいらない。
そういう考えが資本主義なのだ、
利益追求の姿勢だったのだ。
だからみんな副業したりする、経営者になったり、
自分の夢を叶えようと努力するのだ。
きっと、長期休暇を受け容れられても、
いずれクビになるだろう・・。
―――人生における一度や二度の失敗はつきものだ、
成功者は何百回、何千回も失敗する、
リスクが大きいからこそ儲かる、
失敗をしてでも努力するという姿勢なしに始まらない、
でも、その一度が大きいか小さいかは個人の考え方による・・。
「あ、大丈夫ですよ」
嫌な予感しか、しない。
だってそれに接続する言葉が本来あるわけはないからだ。
「もう、会社にはわたしから、辞職の旨を電話しておきましたし、
同様に、マンションの賃貸の契約も解除しました(?)
荷物は一旦別の場所に預けさせて明日にこちらに持ってきます。
ご両親様には、秘書を装って、アメリカへ行く、
もう帰ってこれないかもしれないという話をでっちあげておきました、
何も心配しなくていいですよ(?)」
「ははは、そっかそっか、そうだと思って、」
、、、、
思えるか!
座敷童って、ハッカーとスパイとFBIとKGBとマフィアを、
混ぜたようなものなのかも知れない(?)
ていうか、それだったら今までのやりとり何だったの、
僕には最初から権利とか選択とかまったく与えられていない、
実際、僕はここから逃げれるかどうかだって知らない、
それだのに僕は、譲歩をしようとしていたウルトラバカだったという・・。
でも、怒っているかといえば、不思議だけど、怒ってはいない。
これが、座敷童効果なのか(?)
普通ならそれどう考えてもヤンデレ設定である(?)
このまま流されてしまうよりほかないのか―――。
いや、もうなんかそれでもいいかなって思えてきている、
思えてきているからこそ、逆になんか、なんか―――。
―――この子って不憫だな、と思った。
「でも、それはまあいいけどさ、
いつまでもここに君を閉じ込めておきたくないな」
「旦那様❤」
いやまだ結婚もしていないし、
付き合うとかも言ってないからね!(?)
もうデレたか早いなあ、と誰かが言っています(?)
「でも、大丈夫ですよ」
ほら、と窓を指差すと、景色が変わって、
百人に一人がパニック障害を発症するという、
運転中の視界みたいに、
外が真っ暗になった―――。
流星のように流れ去っていく街の灯を思い出す・・。
「わたし、外へ出られないかわりに、
色んなところの景色が見られるんですよ。ほらあれ、
百万光年先の、
あなたと同じような人間が住んでいる惑星です・・・・・・」
そこには宇宙という水平線に横たわる星の河のようなものが、
望まれた、堅い蕾のような電球の玉。
どんな星も重力のために、丸くなる。
それは僕の世界で知りうる一つの考えだった。
でも、もしありとあらゆる可能性があるなら、
四角い惑星や、三角の惑星というのもあるのだろう―――か。
本当の意味ですべてを知りうることができないということは、
ぼんやりと寝ぼけながらゲームをしているような状態なのかも知れない。
何でもありの世界、
本当は何もかもが満ちている世界・・・・・・。
―――揺り醒まされる・・・。
「う、うん」
もはや、肯くしかない。
どうも、僕の傍にいる女性は、
想像を絶するような能力の持ち主らしい。
景色を壁紙のように変えられる・・・・・・。
場合によっては、座敷童ティーヴィーという単語から、
ふっと想像したのだが、場合によっては、
僕等の科学レヴェルよりずっと進歩しているかもしれない。
百万光年先に行けるのだ、
(見えるだけかも知れないが、いや、行けるだろう、
見える限り行くこともできる)
宇宙人と既に交流を持っているかも知れない。
タイムマシンとかだって作っているかも知れない。
、、、、、
座敷童一族、と僕は思った(?)
でも、とその時ハッキリ思った。いや、悟らされた。
いやいや、そういうことではないのだ、と。
こんな相手と、どう考えても僕が釣り合うわけはない、と。
彼女はそれでもいいのだというかもしれないけど、
いや、一連の流れでそうだと言うのはわかったけど、
それでもいいのだといわれるほどのものが、
僕には本当に何もなかった。
「その―――恋をしたというけど、
俺なんかじゃ、役不足じゃないかな。
もうちょっと相手選んだ方がいいんじゃないかな?
その、これは純粋に、嫌とか何だとかじゃなくて、
君ぐらい何でも出来るんだったら、
もっといい相手選べるんじゃないの?」
そう言うと、ニコッと微笑まれた。
釣られて笑ってしまう、情けない僕である。
実際いまの言葉は、これまでの抵抗してきた言葉とは違った、
つまりそれは僕の利益ないしは、
僕の生活を守るための言葉だった。
でもいまの言葉は違う、ありとあらゆるものを認めたうえで、
―――彼女の利益を考えた言葉だった。
でも卑屈にもなる、嫌な気持ちにもなる、
だって僕の心は、ぽっきりと折れているからだ、
考えれば考えるほど、彼女は優しい。
でもたった一つだけ僕には呑み込めないことがある、
相手はきっといつでもたくさんのものを与えてくれるけれど、
僕には一つも与えるものもない、
返すものもないような、そんな気がしたのだ。
こんなの生きてるって言える、と。
「わたしは、あなたが生まれ変わる度に、
何回も同じセリフを聞いていますよ。
どんな惑星にいても、どんな世界線であっても、
たとえどんな姿をしていたとしても、
役不足ということはありませんよ、
一緒にいてくれるだけで嬉しい、
一緒にいると楽しい、
一緒にいたい、それだけでいいんですよ」
―――その一瞬、彼女の淋しそうな表情が垣間見えて、
僕はおよそ自分の中にあったとは思われない、
様々な記憶の断片のようなものが浮かび上がってくるのを、
感じた、そしてそれはきっと、先でも後ろでもない、
僕はこの不毛なやりとりが彼女にとってどんな意味があるのか、
全然わかっていないんだろう、それは間違いない、絶対そうだ、
でも、この恋にどんな意味があるのかとかも関係ない、
ただ、一緒にいてみたいと思える相手が、
そこにいる・・・・・・・。
そして同時に僕は理解しても、いた。
彼女は最初から僕がそう言うのをわかっていて、
この茶番を、わざわざ僕のために用意していたのだ―――。
男─女。虚構─現実。生─死。
―――といった二分法の狭間や、ズレ、ねじれのようなものを、
いつか、僕は理解するのだろう・・・。
僕は浅草寺の雷門とかいう大提灯について考えた、
高さ三・九メートル、幅三・三メートル、重さ七百キロ。
そういうことなんだよなあ―――いや、どういうことだよ(?)
などと、考えている僕を余所に、
ぐっと近くに引き寄せてカメラのシャッターを切るように、
彼女は僕の隣に座って、腕にコアラした、
小さなおっぱい略してちっぱいを押し付けた(?)
夢の地平線上の視界と、熱病患者特有の唸り声をあげながら、
―――仕掛け花火が始まる、推進器のように、
エレヴェーターは落ちてゆく、あべこべの世界へでもゆくように、
僕は青色のシグナルを見ている。
そこは美しいのだろう、
僕等の惑星のように、きっと美しいのだろ―――う・・。
いつか滅ぶとわかっていても、生物の誕生と知性の発達の関係が、
怪物のように思えるとしても、その夜の海の夜光虫のような人を、
―――愛するのだろう・・・。
、、、、、、、、、、、、、、、
「とりあえず朝御飯を食べましょう」と座敷童は言った。