迷宮ダンジョンのコンビニへと入る。
二十四時間、あなたのダンジョンのお友達、
ダンジョンマート(?)
年商は一億Gを下らないと聞く、
年々店舗数を増やした独占商売特化型だが、
何しろダンジョンでコンビニを出すには、
非常事態にそなえて猛者を揃え、
モンスター料理ができる、
また常に需要と供給のバランスが取れなくてはいけない。
ただ過半数はもちろん、商店と同じだ、
けれど肝煎りのラインナップはインパクトがある。
毒があれば毒抜き、
もしくは毒のある部分を切除しなくてはいけない、
モンスター辞典では説明しきれない食用の部位に対する知識、
またそこにおける調理法の知識も必要になる。
一億Gという数字はありとあらゆる意味で、
優秀なスペシャリストを揃えた証でもある。
ゴーレムは鹹水、
爆発系モンスターから作るコーラ、
ゴースト系モンスターも凍らせて食べられる・・。
...悪魔の所業。
そのすさまじさは、
まじいかつい弁当コーナーに既に露見していた。
天使型モンスターも食べるし、悪魔型モンスターも食べる。
(並んだことが、本当にあるらしい、)
地上のモンスターは食べられるものといわんばかりの、
やりたい放題の、掟破りのラインナップ。
人間の業の深さを思い知る。
ナミアミダブツ(?)
機械的な幸福感。
生の避けようのない苦渋が工場労働には詰まってる、
確か、シモーヌ・ヴェイユがそんなことを書いていた。
シモーヌ・ヴァイユって誰よ、
有名な魔術師の名前?
そこらへん詳しくないんだけど(?)
食通やグルメが唸る、
ダンジョンマートの、
人気売上第一位は、
『バジリスクの唐揚げ弁当』
―――蛇も鶏も食べちゃいまひょ、
の、キャッチフレーズ付き。
まひょ、のあたりが大阪商人。
そして、言い方がすごく軽い、ライト、
ダメージがなくて痛みもない。
あっさりポン酢、レモンをキュウウとする、
塩コショウなどのバリエーションもある。
ダンジョン入って戦うモンスター、
相手が強くて死ぬこともある、
でも、それを食べるとなると抵抗がある、
(だから戦う、という心理だってある、
力があればそうだ、でも逃げる、戦いたくない、怖い、
それは―――食べられないと思うから、でもある)
けれども、食べてみると驚きの漂白剤、
まったくのゼロになる(?)
最初モンスターを食べたのは、
初めて貝や茸を食べた人のDNAを受け継いだ人。
モンスターが見るからに美味しそうだと思う人はいない、
食糧が底をついて泣く泣く倒した敵を食べる、
という構図も信憑性があるけれど、
本当だろうか、もっとサイコパスで、
禁忌に触れるものだったのではないか、という気がする。
パニクって錯覚、混乱、
センチになって夢の中、焦る気持ち、
ヒロイズムに陥って、不安、狂気、
メッセンジャー、
メッセンジャー、
君は語る、君は歌う、
消費活動、生殖活動、資本主義イデオロギー、
垣間見えた傷をなめ合う現実界、
垣間見えた傷を癒す装置としての共同体。
ダンジョンでは、ゴーレムに作らせた米が主流、
お手軽な働くロボットだ(?)
書店に売っていた『ダンジョンマートの闇に迫る!』
では、ダンジョンにゴーレム工場があるという噂がある。
近頃ではゴブリンを奴隷化することに成功、
(ゴブリンなんて気持ち悪い化け物なんだから、
何したっていい感満載ですね、)
野菜型のモンスターや、魚型のモンスターを、
食用にすることにも成功したとも聞く(?)
基本的に出されている商品はすべて、
原型をとどめているものはない。
原型をとどめていたら誰も買わないからだ。
また、成分表示の義務はない、
だって、ダンジョンである、
美味しそうな気配のするモンスターならともかく、
見るからに美味しくなさそうなモンスターをどうするか、
―――普通はしない、
でも、普通じゃないところは存在する。
―――熟していないアキーの果実、BSEを発病した牛の脳みそ。
牛や豚と一緒、
腐らせたチーズや納豆と一緒(?)
蛆虫だって食文化として食べる、
生きていようが踊り食いする、
それが文化、
モンスターだって食べられる。
ポーション+エリクサー=カクテル。
オレンジ+レモン+ポーション=ソフトドリンク。
ただ食中毒や、新種のウィルスなどもあった、
けれどそれを魔法は解決した、
天上の癒しが解決した・・・・・・。
、、、、、、、、、、
うーはらぺこぺこりん(?)
コンビニのライトは、どんな光素系魔法より明るい、
これは最上級の光ゴケが使われていて、
驚きの明るさを実現している―――。
知識や経験が心理的な影響を与える―――、
それが、この社会のありとあらゆる現象を説明する、
性質の異なるものの亀裂を含んだ併置、
一饗、一息、一躍に、
凸凹、濃度の差、穴がある人間というものの実体。
―――すごく単純な話だ、
支配する側がいて支配される側がいる、
ルールを作る側がいてルールに従う側がいる。
生存競争、適者生存、
人間だってその枠組みから逃れることは出来ない。
全連鎖のうちでなんらかの一環が欠けることなんかない、
それもまた―――別の顔をし始めた証だ。
教会から預言者、経済学者から大臣に登り詰める、
勇者とお姫様がくっついて新国王みたいに、
税金を引っ張る。欲望って根深い、リビドーの充足、
何処の世界も、『カネ』だ。
卸がいれば、中間業者もいる。
そこには様々な搾取が存在し、
それでも儲けというのが成立している。
あと、どうしても言いたい、
勇者というのは種付けマシーンのことだからね。
優秀なDNAを欲しがる女は多いのよ、おほほ(?)
人気売上第二位は
『ことこと煮込んだ数十種類の香草の、
レッドドラゴンスープ』
何故レッドドラゴンをチョイスしたのか、
それをどうして数十種類の香草で煮込んだのかは、
一切不明。
見えるのは―――『物事の結果』だけだ。
いつもそうだ・・・・・・。
けれども、『完成』ということではない・・・・・・。
『停滞』することも『停止』することもない、
人気売上第三位は、
『スライムのアイスクリーム』
独特の触感は、氷らせるとぷにぷにして美味しいらしい、
最後は味なのだが、そこに果物やバニラを入れることで、
スライム入れなくても普通に美味しいのに、
スライム入れたことで値段の引き上げに成功している(?)
天日干しとか、薄くスライスして焼肉にするとか、
こんにゃくそうめんみたいにするとか、がある。