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●春の匂いというわけではないけれど、
三月から四月にかけて桜の匂いを感じることが多い。
咲いているからなんていうものではなくて、
何かそれが春のカラーを決定づけている。梅や桃にはない、桜。
ふわりと心地良く独特の上品な芳香を持つ桜の香り。
あの独特の香りの主体はクマリン(C9H6O2)という成分。
この匂いがすると、街にいる人間が浮かれ始める。
この春っぽさはまた、フロイト的な思想かも知れない。
二〇一一年の統計によると、
男性は七割もの人が告白を経験していると言う。
(話半分で読んでよね、)
それを読んで僕が興味深く思ったのは二つのこと。
女性は男性に告白を仕向けさせるというような小悪魔的な思想があり、
五十代は恋の病で、埃から糸が生まれるように、
何年も相手のことを好きで居続けること―――。
また、告白を何度もするという粘り勝ちで、
OKをもらえるような話もあり、
(ナンパの成功者の話では、もう手当たり次第に声をかけまくるのが、
いいらしいというのとはそれは全然違うが、
諦めないこと、という符合点は見受けられる)
これが若干の男性の成功率を高めてもいるようだった。
しかし告白に必要なものは結局勇気だ・・・・・・。
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ビュボ―――ン、と僕等は時々幽体離脱するナイトフライト(?)
イヴ・タンギー「無限の分裂」
いざ、小景を大観しよう、スペクタクル・モード・エナジーで(?)
のびのびと、体の隅々までも開ききっているのだ、そして、だべさ(?)
性的なイマジネーションが魔術的にエスカレートする、
消防車のサイレンが聞こえない(?)
真夜中シコー、シコーいわせながら、異次元の彼方へ行く。
歩くたびに心拍を光や音に変換する拡張現実なんだ、ウッ(?)
真夜中のサイクリング、新しいオリジナルなラブを探す・・・。
―――神崎竜也は思った、
これ、ストーリーの無視じゃないだろうか。
あのすみません、
これ、ストーリーの無視じゃないだろうか。
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「モット、シンプルデ、イヨウゼ...
、、、、、、
声を探してた・・・・・。
●給水タンク。事故や災害の味方、断水しない。
でも、電気が止まると動かなくなることもあります。
(あります、)
また、直水方式と違うので、
維持や設備点検の費用が必要になります。
いつもと何の変哲もない青い空には、ぐうたらな縮れ毛、
もしくは石投げで川を渡っていく軌跡のように雲がただよっている。
それはまた、川に流れている笹の舟が、
ひとりでにほぐれていったようにも見える。
空っぽの領域の無益な追跡。
ターナーを想像したり、ピカソを想像したりする。
誇張的懐疑から狂気や非理性を排除する―――連想力・・・。
そしてゆっくりと眼を閉じる、スイッチを消すように。
さて、サイトスペシフィックなものからはなれ、
するするとカメラは二階に焦点を合わせる。
●体育館あるある、教室では箒とちりとりで掃除させるけど、
体育館ではモップのようなもので掃除させる。
夜、ママさんバレーをしている。
体育館シューズと上履きの違いが、色付きかどうか。
音声情報伝達の悲劇。マイクがよくハウリングを起こす。
そして乾いた少年少女の眼が、壁に書かれた校歌を眺めがち。
ホームベースの上に雀が止まる。
(君はそれを瞬時に、“体育館の比喩”だと理解できない―――)
シェル型の体育館兼講堂、壁面にバスケットボールのゴールが設置され、
遮光カーテン、緞帳のある舞台の下には椅子や机が収納できるスペースがある。
ここではまた、
雨風が染み込んだ木の看板のような選挙がおこなわれる。
音センサーでピンポン玉の反発係数を測定するように、
銀色の投票箱の中に透いて見える社会の不透明な義務。
体育館の裏側で人知れず行われる、決闘と告白。
スポーツテストやシャトルランの隣で、
陰湿ないじめが行われる。
(そしてこれが“スポーツ業界の暴力への比喩”だと、
気付く者はまったくいない―――)
、、、、、、、、、
フェンシングの練習。
体育館を見るたびに、スライド・ショーを思い出す。銀幕を思い出す。
演劇を思い出す。そして図書館の片隅でエンドレスで流され続ける、
「drown(溺れる、夢中にさせる)」と、
「draw(描く)」
また「STOP」して、また「slow-motion」して、まやかし・・。
題名も内容もわからないディズニー映画を思い出す。
そしてスピルバーグの少年時代に想い馳せると、井上陽水が出てきて、
「探し物は何ですか?」と頭の中で歌い始める。シュールだ。
身の回りの熱気が一瞬流され、救われた気がする。
、、、、、、、、、、、、、、、、、
ドローンの実技講習が行われる体育館。
(あるいは、廃校となった中学校の体育館をそのまま使って、
注目EVの分解部品を展開する・・・)
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●一人だけ違う制服を着てくるソフトテニヌ部。
彼等は言う、「自分の帽子だけ色落ちが早い気がする」
どの世界でもそうだが、後輩に好かれない先輩が、
よくやってきて先輩風を吹かせる。
そしてそんな時に後輩たちは「バルス」を唱える。
、、、、、、、、
上品な話をしよう。
ラケットのグリップのテープが切り刻まれ、
ノンプレッシャー・ボールは穴があけられ、
サーブする羚羊たちは麗容というなにか重苦しいものになっていき、
塑像のごとく、在りし日の詩をうたう。
宇宙を一人の人間にまで縮小する映画、
黒い霧が溢れ、欠落のような闇が一層深くなる、
STARWARSもジェラシックパークも。
(でも君が持ち出したい映画は“死霊の盆踊り”
それから“.アホリックス”)
、、、、、、、、
上品な話をしよう。
この心の異常な軽やかさのスポーツは、
ブルジョア淑女たちは午後になると蝶のはばたきをし、蜂のように刺す。
快い疲労を手に入れ、夜の晩餐のあと、野生に帰る。
物静かな水溜まりに突如現れた蛙のように、
大阪のおばさんたちは温泉へと皮膚をたるませに行き、
上空をジェット機が通過するような叫び声をあげながら卓球をする。
そしてもし夜のメシのあとベッドタイムなどというものがあれば、
相当ねちっこいプレイを披露する、アマゾネス。
初級レベルをクリアすると中級・上級レベルができるようになる。
マッチポイントを握られた時のように重要な場面では、
信じて使うことのできる技は、せいぜい一つか二つである。
it's showtime...
、、、、
上品な話。
おおよそ、なにかが放置されたままのテニスコート。
ウィンブルドンで一八七七年以来、
世界で最も有名なテニス 選手権大会が開催されているのを、
みんな知っているが、
ウィンブルドンとイスタンブールに場所を変えても、
誰もそれほど文句を言わないに違いないトリップ・コード。
、、
暴言。
けれども、プロのテニスプレーヤーでラケットを叩き付けたり、
壊したことが一度もない選手の方が少数派である。
バレエやクラシックと同じように、僕の眉間に皺を寄せるもの。
イメージ、脳の毛細血管が破裂していくさま・・。
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上品すぐる話で逝ってよし。
日本の選手育成が集団指導を軸としているのに対し、
米国のアカデミーは、集団指導だけではなく、
プライベートレッスンによって成り立っている。
個々の技術向上はカスタマイズすべきで、
プライベートレッスンでなければうまく指導できない、
というスタンスを感じる。
二頭のゴールデンレトリバーが、
一個のテニスボールを噛みながら一歩も譲らないように、
およそ歯車には力を変え、速度を伝える二つの役割があるように、
理論的根拠に基づくテニスのトレーニング。
そして体力と運動能力による才能がぶつかりあう試合。
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ラケットを蠅叩きの代わりにする。
図書館のテニス雑誌を見ていて、ポスターがないことに気付く。
テニス部員を調査して知ったが、観るよりやる方で、
僕が一時間で覚えたテニス選手や話題を全部スルーした。
知っている人は顧問の教師と、
テニスが下手でみんなに馬鹿にされているけれど練習熱心な生徒。
たった二人。
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上品。
狐潰しのように、栗鼠がいる枝を撃って落とす遊びなんかを思い出そう。
僕等は無感覚な神経を乾燥した冬の日の感電のように、痛いほど過敏になる。
スペシャルサンクス。
錦織圭やシャラポワが所属しているフロリダにあるIMGアカデミー、
僕はそれを猫と猫じゃらしだと思う。
でなければ、またたびだと思う。
キャット・フードだと思う。
でなけりゃ、そそり立った尻尾だとおもう。
僕はテニスプレイヤーが大嫌いだ。
グランドスラムは・・・満塁ホームラン・・・。
自浄作用とは違う、ホワイトイメージ。
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上品な話が大嫌い。
●悲しきサッカーポスト、そこには必ず虫が止まっている。
土埃の気配、草の臭い、単調で物静かな絵画のような時間。
忘れ去られたボールが停まっている。
歩みを忘れた人が留まっている。
サッカーポスト、ならし、石灰のひかれたグラウンド。
そして甲ー人工芝と乙ークレー舗装。
まるで学校から学年や時間割がなくなったような夕方の時間帯、
倶楽部活動。それは哲学の欠陥や、実在としての神を知る瞬間だ。
ダーウィン的な進化モデルも、ラマルク的な進化モデルもない、
ただこの渇いた気持ちの中にオルタナティブがある。
悪意こめてますよね、
、、、、、、、、、、、、、、
でもそれあなたの意見ですよね?
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僕は謎めいたとろりとしたゼリー状の空気感の、
午後の陽射しのなかで、
廊下に項垂れながら座っている。
ニーチェのことを考えている。
萩原朔太郎のことを考えている。
コム・デ・ギャルソンの変な服だったらいいのになとも思う。
でなければ、今日の献立は何かと考えている。
背中に無数の雀の巣箱ないしは蜂の巣のような、
下足箱がある。
まったくもって、それも糞だ。
みずむしに感染する。
みず臭い奴がアメーバー状宇宙に放される。
“反応速度”が追いつかない
悪い根がぶよぶよとして、さながら腐った蜜柑が、
徐々に段ボール中の蜜柑すべてを蝕うように、
栄養は循環することをやめ、うじゃうじゃと腐敗細菌、
真菌、酵母などの微生物によって、
蛋白質などの窒素を含んだ有機物が分解される。
そして僕は海底の岩にはりついた海鼠になりたい。
コンスタンティン・ブランクーシの《無限柱》だったら、
もっと幸せかも知れない・・・・・・。
雑草のポートレートおよび都市の地質学―――。
、、
いや、
●そして一瞬、微妙な慄えを残して、そっと窓の方角に逃れ出る。
夢の中の夢のように、眼で音を聞いたり、鼻で見たり、
舌で考えたりする―――その糸巻、蛇腹は、この花の文学的な要素だ。
手にするものすべてを黄金へと変えてしまう王のように、
朝早く小鳥の巣みたいな靴箱へ放り込んだ。
そして何度も緊張のあまりトイレが近くなり、
友達からはマスター ベーションだの、
オナ ニーだのという隠語なり、
婉曲語法なりをぐねぐねつかって茶化された。
しょうがないから僕も社会のネジ穴でなければドリル工事のところに、
教科書をいれてふくらませておく、という手法をとった。
、、、 、、、、
ゆかり、何を今更(?)
●普段借りないような本を借りる図書館。
ブラックジャック先生の腕前にあこがれている、
五十代ながら好々爺然として、
親愛恩情の一斑を記すべき人物。
花壇の管理もしている管理人さん。
「ぎざぎざのある顔はたまらなくハードボイルドだ
―――という、わけのわからない三段論法を使って、
ブラックジャック先生を賞賛したのち、
病院の悪口がはじまりそうなのを見越して、
(歯医者のぼったくり、医者の見識不足ならぬ思い込み診断、)
、、 、、、
メシ・タイム。
管理人さんと糞不味いインスタントコーヒーをずずと飲み、
(でも安かったと話す管理人さん、)
正確にいうと啜り、
二段系、おかずとごはんのセット。
卵焼きと、鮭の塩焼きと、昨日の残り物を炒めてくれた、
家族サービス文句言わず食べろよなという野菜炒めのお弁当を取り出し、
その傍らでラヴワイフ弁当を自慢する管理人さん。
(ちなみにお弁当で一番POINTが高いのは、
愛なのだと言う、)
―――その彼の脇腹なぞを孫の手奥の手でつつきながら、
ふたり仲良く退役した参謀と満州国の皇帝のように、
談笑しながら食べ、
その内に校内一のプレイボーイ山崎秀一がやって来て、
姉の希美衣さん手作りの、クロワッサン半分たべたやつをくれた。
「姉さんもうっかりしてるよなあ」
「てめえが喰ったんだろ!」
でも竜也兄貴、ヘへへ、と何故かコントが始まる。
管理人さんが腕組みしながら眺める。
「もしこれが、姉さんの関節キス付きのクロワッサンだったら・・・・・・」
「ごほうび!」(?)
ちなみにコントで忘れてはいけないのは、
ありえないぐらい声を大きくすること(?)
「でもこれが俺が食べた呪われたクロワッサンだったら・・・・・・」
「おやくそく!」(?)
「残り二発、恐怖のロシアンルーレット」(?)
「・・・・・・でもやっぱり納得いかないな」
そこですかさず、秀一が、希美衣さんの声真似しながら言う。
「ダーリン、わたしの食べかけが気に入らないの?」
「う、ウッン!」(?)
管理人さんが爆笑してくれたので、よしとしよう。
ちなみに最初から秀一が食べていたのはわかっていたので、
ちゃんと食べさせた。
(希美衣さんは、そういう変なやり方はしない、)
管理人さんは、若い僕等に、
(ちなみに老人の世迷言を聞くのは若者の仕事である、)
ハーレーに乗ってアメリカ大陸を横断するとか、
パリに行って高村光太郎するとかという夢物語をする。
それを誇大妄想だとか、地に足がついていない、
精神遊離的だなとは思いながら、
、、、、、、、、
宇宙の命根の聖火・・・。
かなり可愛らしいお爺ちゃんの喋り方をするものだから、
また普段は良心的で、決められた時間の中できちんと、
仕事をするのも知っているから、
僕と秀一はふむふむと肯きながら、
人生設計の必須項目にすべきかどうかを検討する。
宇宙の脈のうちを流れる創造、魂の錬成・・・・・・。
(百年人生の愛と幸せはお金から始まるが、
タイミングを失い、しくじるような夢ではいけない、)
プレイボーイはポーズをせねばならないロッケンローラー、
秀一は恥ずかしがってやらないが、
僕は管理人さんとおいっちにおいっちにとラジオ体操をやらかし、
見よう見まねの太極拳をしたのち、
手首・指の関節をぽきぽき鳴らしてデスクワークする。
実際、ゆかりじゃないけど、学業とどっちが本業かわからない、
ジャーナリスト志望である僕は、メモ用紙片手にあっという間に、
一○○○文字程度の記事を作成し、
メールでジャーナリストの仕事をしている師匠に、
文面の確認をおこなってもらい、OKサインが出たところで、
今月の新聞をプリントアウトして図書館の掲示板に貼り出した。
(ちなみにコピーは自由で、
管理人さんに許可を取って好きな人が持っていく形式)
管理人さんは写真が趣味なので、昨日の夕方、朝方に、
デジカメで撮ってきてくれたのを使う、もう新聞部の写真係。
また趣味で俳句・短歌・川柳を二十数年ほどやっているらしいが、
蝴蝶の数々が翩々として花に戯れ空に舞うがごとくというやつで、
明らかに僕の方が上手いので添削をやって技術向上の指導をする。
とはいっても、白雪姫のりんごを奪う真似はしない。
「非常にいい・・・たとえるなら世に放たれた神のいかずち・・・・・・」
新聞といっても結構な分量がある、
こういうのを一人で作るとなると相当骨だ。
僕は一か月で十万文字を目指す馬鹿だから、
他にも詩も載せたり、学校のランキング投票をしたり、
面白ネタ、流行をすっぱ抜いたり、
あるいは告発まがいの際どいこともやったりしている。
先物取引や、嘘吐き無料エステや、出会い系クラブの実態、
倒産の現実、オレオレ詐欺についてなど多岐に渡る。
(人を騙す人間がいる、そのことを伝えるのはいいことだ、)
またホラー路線をやりたいと思うから、
町の伝説や、恐怖体験なんかにも取り組んでいる。
ただ、一番の人気は読者投稿で、
被害妄想めいた電磁波プラス系の投稿や、
近況報告マイナス系の投稿や、
何故か別人になりすましてストレス発散しているらしい女の子や、
あるいは新聞の熱狂的なファンらしい、
カタカナ多様のエキセントリックな応援の投稿であったり、
時にはいじめの報告や、
誰かのどうしようもないことに対する抗議文などが舞い込んでくる。
(ナイーブな感性が通底した休符だらけの音楽装置、)
時には誰にも話せないような真面目な話であったり、恋の相談、
時々には便利屋と勘違いしているんじゃないかという相談まで受ける。
新聞の題名は“my life”
*
yeah! yeah! yeah!
だからもうちょっとこの話を続けさせてよ。
だからもうちょっとこの話を続けさせてよ。
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