koichang’s blog

詩のノーベル賞を目指す、本を出さない、自由な詩人。

無法地帯







無法地帯という言葉を聞いて何を想像するだろう、
存外、治外法権という言葉を思い浮かべるかも知れない。
とはいっても治外法権とは、国際法上の権利で、
在留外国人がその居住する国家の法律に拘束されない特権を意味する。
その延長線上で、無秩序、
混沌といったイメージに結びつくかも知れない。
北斗の拳、マッドマックス、ゾンビ作品とかね。

人を殺しても罪にならない「ゾーン・オブ・デス」と呼ばれるエリアが、
アメリカにある。イエローストーン国立公園の細長い西側だ。
そこにはアメリカという国の法律の問題がある。
簡単に言えば犯罪が起こった時、その州から陪審員を選ぶのだが、
このイエローストーン国立公園は複数の州が管轄する場所、
ましてやこの細長い西側に人は住んでいないので、
人を選出することなど出来ず、
裁判自体が行われないと理論上はそうなっている。

もちろん、法の抜け穴を利用した犯罪が行われる可能性のある、
無法地帯という意味にすぎない。
建前と本音というのを、忘れてはいけない。
もしここで凶悪な犯罪が行われてそれで済むということはない。
裁判所だって重い腰をあげるだろうし、
大衆の声を無視することはないし、
無茶苦茶がまかり通ってよしとするほど国民は馬鹿じゃない。
マイケル・ジャクソンとか、ジャスティン・ビーバーみたいな、
スーパースターを無罪放免にさせるなら話は別だろうが、
いや、むしろアンチ合戦でより正常に作用するかも知れないが。

アメリカの織物工場で謎の虫に刺されたという事件があった、
でもその虫は何処にでもいる普通の虫。
けれど、多くの人はそう思わなかった、集団ヒステリーだ、
とんでもなく危険な虫に噛まれたのではないかと思った人が、
眩暈や手足のしびれを感じた、それが同じように虫に刺された人達に、
一気に伝染したというわけだ。
こういうパニック系統を信じがたいと思う人もいるだろうが、
(たとえばオレオレ詐欺を含めた特殊詐欺に騙される心理を、)
僕は一度体験している、
断言してもいいけれど思い込みや先入観はなくならない。
幽霊だっているいると騒ぎ続けていればそれが見えるようになる。

いやいや無法地帯といえば、
銃撃戦が行われる、麻薬の売買が行われる、
そんなダークサイドでアンダーグラウンドを想像するかも知れない。
具体的に言うと、東京の中野とか、
大阪の西成を想像するかも知れない。
山奥や孤島でハッピーターンみたいなフォー・トゥエンティの草を吸い、
瞑想する洗脳漬け宗教団体とかね。
管理が行き届いておらず、横暴または悪意のあるユーザーや、
サイバー攻撃で埋め尽くされてしまったインターネットサイトなどを、
「無法地帯」と称することもある。
世紀末ヒャッハーだなと思いませんか、
誹謗中傷、無断転載、虚偽の情報の記載、個人情報の暴露、
削除荒らしに白紙化、マウンティングや私物化、
下らないスキャンダルや残酷なニュースばかりが流れる、
現代に疲れている人もいるだろ―――う。

実のところ、うつ病というのは大半が重大ではない。
申告制で、なんだったらゆるゆるのセーフティーしすぎたネットだ。
別にうつ病が仮病だとか言っているわけじゃない、
れっきとした病気だ。
ただ、深刻な症状になる前からケアしてしまうと、
抗鬱剤によってセロトニンの量が増えて、
バランスが本当に崩れてしまう可能性がある。
一度拍車がかかると生活できないレベルにまで追い込まれる、
僕はそのことを指摘している。

僕の考えでいっていいなら、
ビタミン不足ないしは栄養不足というのは、
家庭を離れて一人暮らしすれば大抵そうなる、
それで心のバランスが崩れることだってあるのだ。
慣れない仕事に悩まない人間がいるとは思い難い、
そこで安易に心療内科へ行ってしまうのはどうかと思う。
ただ、そういう僕の考えもまた結局、荒療治とか、
似非の救済方法を促すキッカケになるかも知れない。

Q&Aが必要だ。
どんなものでも引き受けられる細かな説明が必要だ。

幽遊白書じゃないけど、
ナイフエッジ・デスマッチでタイマン張らせてほしいとかも、
これは実に無法地帯的だ。
分かり易い漫画が多くて助かる、全員馬鹿になりたいみたいだ。
YouTubeを観ていてこの人達、頭大丈夫なのかなと思うシーンがある。
もちろん、彼等がどうかとかも関係ない、九割マトモだろう、
受け取り手がどうかを計算していない、
あるいはそこまでの説明が行き届いていない。
現代は情報が完全に近い状態でダウンロードできるようなものだと思う、
けれど、その分、距離感をはかりかねているような、
人と人同士が絶えずズレながら修正しあっているような印象を受ける。
この気持ち悪さが断崖の底を覗きこんだ沈黙に変わった、
その次の瞬間に、マシンガンのような言葉が弾き出される。

なお、アナーキズムは資本主義的労働形態、
つまり賃金奴隷制度も、軍事的階級制度も、地方豪族も、
教会も、あらゆる権威的支配に反対し、
搾取が存在しない状態を目指している。
そんなものが存在するのは頭がロマン派の人だろうが、
侮るなかれ、その延長線上の究極の理想はだから、
宗教の集団死かもしれないとも思えてくるのだ。
信じ難いだろう、でもアナーキズム的な在り方って、
僕には本当にそう思える。

無人島に十数人が流れ着いて生活するという小説よろしく、
絶えず心が揺れている、
何もかもに絶望するのは実のところ、張りつめた心の状態の時だ、
僕はそういう経験を何度かしている、
それが宗教的装置で増幅されるようなことがないと言い切れるだろうか、
生きている間、そういう心理を知らないで生きる人が、
わんさかいることにたまに驚く、
平和って素晴らしいなと思う、ずぶずぶの安寧に騙されて、
何もしないで生きていられるほど甘くないことがわからない。
でも騙されて、眼を瞑って、
フツウニキチガイになりながら生きるのも悪くはない、
熊の被害で電話をかけまくっている優しい人が、
誰かに迷惑かけまくっている状態だ。

何が正しくて何が間違っているのかなんて、
本当のところはわからないって素直に認められない人もいる。
集団の中で小さな意見は巨人と蟻のようなものだと思い込んでいる、
そんな人が何百人、何千人もいたらどうなるだろう、
その小さな意見がとても大きな意見になる、
バタフライエフェクト
そんな人の為に無法地帯って必要なのかも知れないとふと思う。
世界から切り離された場所が人類救済の鍵かも知れない。

しかし外国の無法地帯だって実のところ、暮らす人にとっては、
楽園であるのかも知れない。住めば都ともいう。
「ポスト・アポカリプス」とか、
「アフター・ホロコースト」という、
言い方も出来るかも知れない、九龍城砦もそうだろう。

元々は香港付近の海賊に対抗するために作られた、
軍事要塞で、一八六〇年頃に清と、
イギリス・フランス連合軍との間で起こった、
アロー戦争がきっかけで、
イギリスが九龍城砦の主導権を獲得。
その後、中華民国の樹立で清朝は事実上滅亡。
九龍城砦がイギリスから返還されたかと思ったら、
中華民国政府はこの城砦を放置。
そのままくたびれて廃墟になるかと思いきや、
中華民国内で国民党と共産党が対立し情勢が悪化。
その際に大量に難民が発生し、
政府が手をつけていないこの城砦になだれ込んだのが始まり。
九龍城砦では事実上中国やイギリスの法律が適用されず、
無法地帯として名を馳せることになる。

といっても犯罪温床地域という差別や偏見はあるにせよ、
そこは、エデンの林檎は美味しいけれど、食べると恥が生まれ、
それを隠し通すことはできなかったという譬えを用いるのがいい。
法がないゆえの厳しさは、
それ以上のマナーモードを求めるというわけだ。
法がなければ、人が出てくる。
それは別属性の動物的な派閥や縄張りが出てくる。
人は報復をする。
道徳はそんな時に最高の法律だ。
たとえばブラック企業ゆえに、
社員同士の結束が強固になるようなもの。

九龍城砦の見所といえば違法建築のオンパレード。
建築家が想い馳せるかも知らないワンダーランドだ。
他のスラム街とか貧困地域って、
背の低い建屋がズラーッと並んでるイメージがあるけれど、
九龍砦の面積は二七〇〇〇平方メートル。
東京ドームを半分にした程度の面積、
そこに五万人以上の人を動員じゃなく住居させようっていう、
密度の高さは満員電車よりはマシだが、
違法建築でもしなけりゃ、そこに人は住めなかった。
こんな具合なのに学校や病院、老人ホームといった、
福祉施設もちゃんとあったりする。
九龍城砦にはお年寄りや子供を大事にするという考え方があった。

スラム街とか貧困地域ならまず省かれることは、
まず、お金にならないことだ、自分のことで精一杯、
それが結局全体をどんどん疲弊させる。最悪の悪循環になる。
だから九龍城砦は管理されていたという言い方もできる。
第二形態から第三形態に移行する場面さ。

無法地帯は未来を探る上で一つの虫眼鏡だ。
電気や原材料の輸送は止まり製造工場や機械は稼働しない、
物資の新規製造は困難である、そんな未来。
道が崩壊、瓦礫で塞がれ、僅かな照明で夜を過ごす、未来。
救援物資や避難救助を求める人間がそのまま暴徒と化す、未来。
致死性ウイルスに化学防護服やシェルター内で過ごす、未来。
あって欲しくないけど、あるかも知れない未来。
食糧や安全な水もない、生活必需品もない、トイレも外、
風呂もない、そんな生活が想像できるだろう―――か。
自律神経が乱れ、食欲不振、不眠、肌荒れ、
あらゆるストレスが加速する、そんな僕等の未来。