痛みがある。
僕はそれをウー・ベイン橋の向こうの夕陽、
バガン遺跡群を気球に乗って眺めたら、
見えなくなるんじゃないかって思った。聞くともなしに聞く、
ざわざわという音が、平らな煙みたいに眼の高さを漂う。
抜いた声みたいに衝撃を受けて、
適当に、でも何かいい感じで弾いてる演奏に強く惹かれたりする、
、、
水平。
そこでしか息ができなくて、
それでしか確かな想いを見つけられない。
ばらばらになりそうなバランスで、
めちゃくちゃ難しい、
甘美な性の誘惑。
グレナダ産の希少なカカオから作られた、
チョコレートならわかるけど。
人によっては一生忘れられないプレゼント、
おかしいだろ、
ラブレターを書くみたいに、
詩を書いていた十代のこっぱずかしさを思い出したよ。
きらきらした光のトンネルを潜り抜けたら、
僕等はきっとひと筋の風。
動物的なレベルと、人らしいレベルと、
人ではないレベルまで一つの心の中に抱えて、
長く歩き続けた、
死を前にすれば人に優しくなることも知っているし、
人がそれでも弱いことを僕は知っている。
ヘリオスタット
日光鏡。
カイルアビーチパークで、
ウミガメが泣いてる。
そういえば僕はまだ津軽海峡へと行っていない!
電車が走り過ぎていったぞ。
遮断機の音が風に乗って僕等の頭上に雪が舞っている、
産業観光バスツアー、
廃墟もあればモダニズムもある、
ここは飛行機の墓場、
ここは船の墓場、
ここは象の墓場、
それからここは愛の墓場。
何処かへと運んでゆく、飛べない生き物、
あの日のように笑えない、泥濘、餓え、
ノックの音に飛び込んできたぜ、
冗談じゃない、
いつかきっと誰もがそうなんでしょうって言った。
秘密の洞窟、暗闇を震わせるこだま、
その先に天井はない、僕と君が出会った場所。
僕の眼はやがて訪れ来る死を待って、
口調に根強い憎悪を含めた、ルサンチマン、シュプレヒコール、
しっかりと焼いて丁寧に乾燥させられた煉瓦の持つ堅さ、
軍事国家では分からず屋がいて差別用語を連発し、
独裁国家では早く死ねばいいのにを無限リフレイン、無限リピート、
理想主義に陥り易く空想主義かも知れない僕の言葉は、
同時に体内に取り込んだ猛毒の化学物質の作用。
民主主義や資本主義だって触れられない水溜まり、枯れた花、
何処かへと運ばれてゆく牛のようだ。
仮面の中のエクスキューズ、サクリファイス・・。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、
昔馴染みの鮮烈なオーラと繊細な節回し。
赤ん坊が運命にもてあそばれたように息を止めて、
信念やプライドが何処へ行っちまった、
そこに僕の長い間の問い掛けがある。
人生の意味、生きる意味、自分の価値、
多重苦は命にまだ知られていない値打ちを告げる、
騙されていない人に騙されたと言ったってわからない、
骨格標本に深海魚、君が作る冒険の書だ。
すこぶる悠長なドリーマー、
いや冗長なメッセージソングのビリーバー。
騙された人が騙されていない人に気をつけろと言う、
そうやって救われて、
(売上高成長率、)
また足をすくわれて、
(総資産営業利益率、)
けれど僕等まだ人生の在処を探った射程距離、
満ちてくる潮に帆をあげろ、
消えそうな蝋燭の火を庇いながら、
運命に抗う愚かなナビゲーター。
東日本大震災、阪神淡路大震災、
原子爆弾が投下された日、
―――コロナが始まった日、
そして僕等が、僕等こそが、
石を投げた、心の中に爪を立てた、
お金が一番大切だと言った日・・。
お金は手段に過ぎない、
けれど、生きてゆく上でお金はあった方がいいに決まってる、
貧乏したいって思うような人間はいなくて、
日がな何もしないで酒をかっ喰らっていることもある、
麻薬でずぶずぶに溺れていることもある、
そんなのそうとはもちろんすぐには言いきれないけれど、
何か一つでいいんだ消えない名前を思い出せるような、
僕はただそれらの場面を取り出すにすぎないわけだけど、
何か一つでいいんだ嫌われ者でも馬鹿でも誇れる愛せる要素、
お金は大切だ、
でも僕だって誰か大切な人が人生で困ったら、
お金のすべてを投げ出してしまう。
お金が一番なんだって言うのは順位の間違いにすぎない、
よっぽどの人間不信で、動物にしか愛を感じないか、だ。
大丈夫、僕はそれも勉強してる、
馬のケツの穴にペ ニス突っ込んでるだけだから、
そして馬に蹴られてお亡くなり。
あろうことか車にセクロスしているだけだから、
矛盾は立派、何万件膨れ上がる何億件。
でもね、色んな人がいる、その人の大切な夢がある、
本当に本当に、沢山の人がいる。
きれいごとぐらいなくちゃ生きていけないでしょ、
愛がなければ守れないものがあまりに多すぎるでしょ。
、、、 、、、
吸って、吐いて。
馬鹿だっていう言葉で理解を狭める限り、
今日も世界の背後に積み上げられてゆく痛みと愛は、
見えない、俯瞰。
てっぺんに攀じ登ってもまだまだ雲の上は見えてこない、
宇宙、
まだまだ積み上げられてゆく骨と孤独。
僕等の覚えた記憶は次の日に半分以上失われ、
一か月後には八〇パーセント以上失われる。
大切なことだから何度も言わなくちゃいけない、
はばかり様、おつかれ様。
大切だと僕が思うから何度も言わなくちゃいけない、
そしてあんたどこの馬の骨のどちら様、
いか様、さか様―――。
グローバリゼーション、地球温暖化、
超高齢化社会、見て見ぬふりは性に合わないんだ。
ピッチング
縦揺れしながら―――。
腐りこんで、蝕みつくしたような僕の毒のある声だって、
哀愁もいくらか交じる。
ヒエログリフを眺めていて象徴っていうのを想う、
何かを繰り出すってこわいものだ、
もっと出来ることがあるんじゃないかって思うと終わらなくなるんだ、
何百時間、何千時間費やしてきたものがゼロになったこともあるんだ、
だからかすれて、甘く、正確で厳しく、耳から皮膚へ浸透してゆく、
それでいて震えを秘めている僕の声。
世界で一番美しいものを探したんだ。
そして世界で一番優しいものを見つけたんだ。
、、、
呪って。
スウィートハート
心の片割れ。
何度でも呼んだ名前、何度も刻んだ鼓動、
選んで選ばれることの残酷さに胸打たれる夜、
余計な道具なんか何一つもいらない、
余分な要素なんかきっと一つもいらない、
それ以外はすぐ些細でも歴史を持った感情の記憶、
恨み悲しみ、悲歎、 呪詛、規則正しいフォース、
熱を持ってる、
僕がまだ足掻きながら人生の向上を目指す理由みたいに、
学問を諦めないで、働くことを忘れないで、
生きる意味を見失わないで、自分にもっと自信を持って―――。
そうやって何度も繰り返していたら、
誰かがいる場所へ戻れる気がするし、
こっちへおいでって笑う声が聞こえる、
適当に合わせて、笑って、誰かを喜ばせてわかる、
ああ僕もやっぱり人間だ。
、、、、、、、、、、、、、
片方の手袋が道路に落ちてる。
コンビニでチンジャオロースが売っていて買った、
電子レンジでチンして食べてみたんだよ、
一口食べてすぐにわかった、
これはチンジャオロースじゃないってね。
けど、僕は言った、でも味はしっかりしてる、
このチンジャオロースのようなもの。
一人じゃそんなことは言えない、
二人だからそんなことを言える。
商品が入れ替えられた陳列棚、
物語の展開と構成みたいに、
そこで忘れられてゆく商品がある、
そこで潰れた会社もある、
奪い取って光を浴びてもてはやされた人もいれば、
どんなに才能があっても世界に嫌われた人もいる。
、、、、、、、
遠くから飛行機。
落ちないように、
なくさずにいる良心やきれいごと、優しさ、弱さ、
さみしさ、温もりを忘れずにいるんだ、
心の底から抱き締めてみたい本当の世界があるんだ、
本当の自分をさらけだして見つけてみたいものがあるんだ、
精一杯、力一杯、心の底にある、美しいもの―――を。
、、、、、
ようなものは、ずっと、きっと、もっとこれからも、
まだまだ続きやがるんだってこと君も気付いてた。
もう沢山だ、同じことの繰り返しだ、
ずっと同じ場所にとどまっていたい、
こんなんじゃない、こんなはずじゃない、そう思いながら、
それでも本当のあるべき姿、自分が求めているものを探すんだ。
泥にまみれて這い上がろうとする、頭を下げて、夜に苦しんで、
長い歳月、さわれない人の命を掴むためにもがいてる。
、、、、、、、、
明日を信じている?
孤独なんだろう。
僕等は目隠しされて、耳を塞いでいた両手で、
人を指差し、それはまた自分の胸に刺さったナイフだ。
本当の可能性に眼を開けるなら愛に賭けてみるしかない。
地獄の坩堝みたいなパニックの声。
信用を裏切った声、応援してくれる人を蹴った言葉、
誰が? 何処に?
何を? それが一体何だってんだ、
あれもそれもこれも含めて人生を語りきるしかない、
悪いことや嫌なことに眼を背けるべきだとは思わない、
でもそれも因果や運命や法則だと呑み込んで、
呑み込みたくないけど呑み込んで、織りなして、いなして、
腹の底から一気に咽喉もとへ突き上げてくる、
この世のものとは思えない地獄を謳うよ。
神様に与えられた才能なんてものがもしもあるのなら、
棺の蓋も開く地震の夜、
嵐の夜のあとに打ち捨てられた鳥の死骸、
何処までも見抜こうとする僕のこの誠実さ。
アタカマ砂漠の南十字星のような誠実さ。
、、、、、、、、、、、、、
マチュピチュ言いたいお年頃。
なめるなよ、世界がそっぽ向いた時に、
中指を立ててた演技派の俺様だぜ。
才能なんていう曖昧な要素は、
〇月×日の周回予想表、
サバンナの腹が減った動物に通用しない。
氷の世界では暖を取らなかったらただちに死ぬ、
毛布でくるまってまんじりともせず朝を待つ。
駱駝に乗ってピラミッドまで行ってみたら、
それが風を受けて進むファルーカになるだろうか。
鳴らない音楽をやけくそに叫んでみたことから始まった歌もある、
どうにもならないから、
本を百冊無理矢理つなぎあわせて作った歌もある、
無茶苦茶だってことは百も承知、全長も体重も規模も不明。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
アフリカゾウの背中に乗って林檎食べさせてみたい。
魂のステージを変えて、愛のレベルを引き上げて、
人生でもうこれ以上出来ないところから、
更に一歩、また更に進みがたいその一歩へと、
落とし穴みたいな人生の罠へと踏み込む勇気はどうだい、
日本代表、世界代表、宇宙代表なんてものがあるとして、
胡散臭い希望、だってどうにもならない、
矢面に立たされた状況を打破するための宣言をしなくちゃいけない、
そんな時の希望、
燃えくすぶってるランプ、
そんな時のひとつまみの希望なんてポケットの何処にもない、
あるとすればマニフェストじみた十の内の二つか三つ、
場合によっては一つしかできないようなこと。
頂点から弛緩したように現実へ引き戻される脳の眩暈を感じながら、
肺を使い切るまで大きな声を出してどうにかなったって、
ひと心地ついたと思ったけど、
自分の内側から語りかける声がする、
いやそれはいつか僕が問い掛けた声であるのかも知れない、
夜の森の中で寝転がっていた空、
まだまだ語り尽くせないこの世界の光はあるか?
終わりがない道を進む良心。
、、、 、、、
吸って、吐いて。
足が動いてくれる、
心がまだ動いてくれる、
生きる意味を見失ずにいられる、
君のおかげなんだ。
沢山の人の気持ちを背負うんだ、
背負っているからえらいんじゃない、
背負っているからすごいんじゃない、
それがたまたま僕の普通で常識だった。
男の娘を見ていて、
そっちの気配はないけど、ずっとないけど、
ちょっと思った、
、、 、、、、、
―――おい、ケツ出せよ。
終わらない喇叭とファンファーレ、
日々変化があるけどそれでも祝福の声に耳を傾ける、
いま人生で滅茶苦茶辛いことになってる人間には絶対届かない、
いま人生で死ぬほど嫌なことを味わっている人間には絶対届かない、
押しのけ、そこのけ、早く上がりたいすごろく、人生ゲーム、
違う、こんな人間証明書に忍び込むエゴイズム、
わけのわからない選択制、
パカヤ火山、流れ出る溶岩のすぐ横、
その道なき道を歩いているみたいに、
時間における栄枯盛衰。
ジャックと豆の木のあのわけのわからない比喩じゃないけど、
分かり合うことは夢であるかも知れない、
世界平和なんて土台無茶な夢かも知れない、
何が正しくて何が間違ってるのかわからなくなった僕等に、
生きている意味を思い出させてくれるものとは何だ?
この胸の中に残っている、誰かの泣き声の成分は何だ、
この胸の中に残っている、誰かの怒った声の成分は何だ、
歩き続ける右に左に斜めに人がゆく交差点の意味は何だ、
止まらないで動く時計の意味は何だ、
心臓の意味ならわかる、みんなの心臓の音は聞こえないから、
止まらないで動く時計が思い出させてくれる、
それが子供の頃に見た海の映像を思い出させる、
だから思い出すんだ、動くんだ、世界を創るんだ。
何処までも行くんだ、
何処に行くかもどんな意味があるかもわからないけど、
それを見つけながら立ち止まったりしながら行くんだ。
掛け値なしなんだ、何か一つの真理に辿り着くんだ、
そうやって僕は生きてきたんだ、
大丈夫、大丈夫、それは優しさの真似事の真似事。
そうやって僕等生きていくべきなんだ。
大丈夫、わかっている、それは平気なふり、錆びついた車輪から、
伝わってくる凸凹した道、静かな、静かな街。
ゆっくり離されてゆくドア、
星がきれいだ、太陽がきれいだ、
―――背を伸ばして歩いて、
時々眼を瞑って、
時々立ち止まって。
、、、 、、、
吸って、吐いて。
呼吸した。
呼吸した。