koichang’s blog

詩のノーベル賞を目指す、本を出さない、自由な詩人。

ビル管理の話








ビル管理を仕事とする上でやはり資格を取った方がいい。
とある会社では、資格が多いほど資格手当が出るからだ。
上位資格として三種の神器というものがあり、
「第三種電気主任技術者」「ビル管理士」「エネルギー管理士」
がそれだ。
そのどれか一つ取っているだけでも会社の待遇は変わるし、
福利厚生が充実した企業に就職できる。

ちなみにビル管理というのは凄まじいもので、
事業目的で使っているほぼすべての建物を管理する可能性がある。
オフィスビル、公共施設、学校、病院、工場、ホテル、デパート、
美術館、映画館、物流倉庫、データセンター、図書館、
大使館、博物館、遊園地、空港などなどである。

なお、ビル管理を仕事とするなら、
ビルメン四点セットは必須だ。
【第ニ種電気工事士】と、
危険物取扱者乙種第四類】と、
【ボイラー二級】と、
【第三種冷凍機械責任者】だ。

中でも第三種冷凍機械責任者は年に一度しかなく難易度が高いが、
是非とも取っておきたいものだ。
すべての会社にではないが資格手当というのがあり、
ビルメンの給料を上げていく手法である。
ちなみに未経験で無資格の場合、
大都市圏であればニ〇万円~ニ三万円前後、
地方であれば一六万円~ニ〇万円前後になる。
また、資格報奨金というのもあるところにはあるようだ。
多くのビル管理ではビルメン四点セットの中の三つ保有していることを、
正社員の条件としているところもある。
資本は肉体、資格は資産という考え方ができる。
とはいえ、数は限られるものの資格がまったくなくても、
募集しているところは存在する。
(人事部も資格を取るように指導する。それでも、
頑なに資格を受験しない人達もいる、)
何の仕事もしてもそうだけれど慣れれば一生の仕事になる。

ビル管理には良し悪しはあるものの、
「残業がまったくない」とか、
「ノルマ・納期が一切ない」というのがある。
朝に点検業務を終わらせて昼からはずっと待機、
ゲームしたり漫画を読んでいることもできる。
また、資格があれば、
四十代や五十代でも比較的転職が容易だというのもある。
ニートでも働きたい職業だろう、と思う。
ただ、現場ガチャという言葉があり、
時にはブラックな現場へ回されてしまうこともある。
(ビルメンは現場次第、会社次第、という言葉もあるようだ、
オーナー側から無茶な要求や契約、時には掃除や警備、
場合によっては鍵の管理や貸し出し対応することもある、)

じゃあそのブラックな現場って何かといえばだが、
ビルメンには三大地雷現場といわれるものがある。
具体的には「ホテル」「病院」「商業施設(百貨店)」だ。
(他にも「駅ビル」とか、
「空港」や「遊園地」や「水族館」がそうだ、
ちなみにホテルは客室関連でビルメンにお任せ状態、
机直して、壁紙直して、電球切れたなどなど。
温泉やプールがあると、深夜の営業終了後に点検。
厨房関係になると職人気質が多いから、
今使いたいんだすぐ直せ、)
これらの現場には不特定多数の人が出入りするという共通点があり、
ホテルや病院などは建物が二十四時間三百六十五日利用されている。
利用者が大人数で、さらに建物が利用されている時間が長ければ、
トラブルの発生頻度が多くなりやすい。
トラブルの発生が多いということは、多忙だ。

まあもちろん、ビル管理業務は、
「3Kイメージ(きつい・汚い・危険)」が最初からあり、
水漏れや空調の異常など、トラブル対応は二十四時間態勢で、
汚水槽の点検や高所での作業もある。
(トイレの便器・洗面台の詰まりはビルメンの鉄板作業)
そういう「裏方」の仕事であるのに加え、
特に独立系の中小企業の場合は給与レベルが低いと感じる人もおり、
中には残業しても残業手当が出ないという会社もある。
また会社によって異なるが、時間帯が不規則な場合もあるし、
「宿直」といって一日中会社にいなければならないこともある。
(宿直明けのミーティング、髭剃り忘れても大丈夫、
マスクつけて誤魔化す、)
全国規模で展開している会社では、地方への転勤を伴うこともある。

とはいえ、楽なところもやはり存在する。
オフィスビル」とか「公共施設」や「大学」などは楽なようだ。
また設備員の人数が十人程度の現場は楽な可能性が高い。
ただ楽であればいいとはいうものの成長はしない。
電気系の測定器が使えない、
警報が鳴った時に何をして良いのかわかっていない
パソコンで報告書が作れない、
営繕対応をするときに必要な道具がわからない、
ビルの法定点検が何の為かもわからない、
図面を見ても分電盤やパイプシャフトの位置がわからない。

ともあれ様々な要因から総じて離職率が高く、
恒常的に人手不足なのに加え、
スタッフの需要も増加傾向にあることから、
経験、未経験を問わず求人は多いのだ。

なお、ビルにはオフィスビルやレジデンスといった、
種類や規模にもよるが、電力や空調、給排水、
ボイラーなど多くの設備が備わっている。
設備目安として、
照明器具は十年、給排水ポンプ類は七~十年。(メーカーによる取替の目安)
給水排水配管は三十年。給水メーターは八年が有効期限。
電気メーターは計器の種類により異なるが、三・七・十年が有効期限。
エレベーターは三十年といわれている。

電気設備 : 受変電設備、通信・照明(非常)・蓄電池設備など。
それに該当する資格は、
第一種・ニ種電気工事士・第一~三種電気主任技術者
空調設備 : 冷凍機・冷却塔・ボイラー・空調設備、送排風機設備など。
それに該当する資格は、
ボイラー(特級・一級・ニ級)・第一~三種冷凍機械責任者。
給排水設備 : 受水槽・排水槽設備・給排水ポンプなど。
該当資格は特になし。
消防設備 : 感知器・消火器・消火栓などの警報・消火設備など
それに該当する資格は、消防設備士(乙種・甲種)

ビルが日々安全かつ快適であるためには、
これらの設備を適切に維持管理していく必要があり、
法定点検などの点検業務を行いながら異常や不具合がないかを確認し、
必要に応じて修繕を行うことでビルのトラブルを未然に防ぐ。
(大型機械には専門知識が問われ、
下手に触ると故障を招く恐れがあるのだ、
資格というのはそういう保険でもある、)
法定点検とは、建物の安全性を確保するために、
法令によって義務付けられた最低限の定期点検のことだ。
建築基準法」「電気事業法」「消防法」「省エネ法」
「ビル衛生管理法」「水道法」「労働安全衛生法
「高圧ガス取締法」「浄化槽法」等の法令に基づいた、
各項目の点検を、例えば年に一回、年に三回といった、
定められた頻度で実施しなければならない。

そしてそんなわけでビルメンはホームセンターで、
工具を揃え、LEDライトを買い替え、
鍵の閉め忘れ、窓の閉め忘れに異常に敏感になり、
異音にはとりあえずCRC吹きかけ、
呼んだ業者の人が自分よりテナントの人と仲良くてビビり、
可愛い人や優しい人のクレームには行きたがり、
(逆の場合はみんな死んでおり、)
天気予報をチェックするようになり、
(宿直の日に台風や大雪だと、大体死にたくなる、)
汚い耐性MAXになり場合によってはトイレで暮らせるようになり、
DPD粉体試薬のゴミが機械室や測定場所付近に落とし、
作業着の下にネクタイをつける現場をダルいと思い、
ジャージで出勤し、宿直をやるあまり週五勤務に限界を感じる。
ちなみに、工場でトラック運転手が、
三日以上休むと社会に復帰できないと言っていたのに、
すごく似ている気がする。
僕もコロナで五日プラスアルファで休んだ折りには、
何だか休んでいる状態が怖くなった。
働き蟻なんだね。