koichang’s blog

詩のノーベル賞を目指す、本を出さない、自由な詩人。

イラスト詩「お似合いのカップル」








「たとえば恋人っていうのも―――健康になって欲しい、
幸せになって欲しい、家族を増やしたい、そういうことなんだな」
「・・・・・・またすごい薄っぺらいことを言うな、この男。
しかも、森本レオの声真似しながら(?)
―――てか、そう言いながら、
何で当たり前のようにこっちの席に座ろうとしてんの、
太腿つっぱってんだよ、その左腕じゃねえよ、
そのなりふり構わない感じでつっこんでくる、尻だよ、尻」
「ごめん。いや、指定席かと思って、
ポケットには収まらないモンスター的に(?)」
「指定席じゃねえよ、自由席だよ。
てか、大切なのはそこじゃない、幼馴染の距離感を守れよ。
ポケモンはカードならいいんだよ、
カビゴンは可愛いし、ピカチュウは輝いてるからいいの。
向かいの席に座れよ、トイレからさりげなく本当の席に、
戻ってきましたみたいな雰囲気やめろよ」
「でもさ、やっぱり愛があふれているよな、
静岡茶をしばきながらお前を見てるとさ(?)」
静岡茶の下りはよくわかんないけど、
ドリンクスターにあったのは、
静岡茶じゃなくて爽健美茶だった気がするけど。
てか、さりげなく、

注文しておいたチョコレートパフェを、
こっちに寄せるのやめてほしいんだけど。
買収? ね、それ、袖の下?
そんな低予算のチャーリーとチョコレート工場案で、
愛を語るつもりなの(?)」
「その、なんて言うんだろう、素直で、純粋で、一生懸命で、
思ってること、全部隠せない、
まあ真っ黒な上履きとチョコレートでフォンデュして(?)」
「うるさいよ、なに、その長い下り、
お前の汚い上靴なら解約返戻金が発生するよ、
あと、フォンデュは溶かすって意味だぞ、一番いらないもの、
病原菌のみなもとが、溶かされようとしているぞ(?)」
「バナナも腐りかけが一番美味しい(?)」
「黙れ(?)」
「逃げちゃ駄目だって碇シンジも言った―――ところでさあ、
俺達もう付き合い始めて十年だよな」
碇シンジの台詞言った意味はさっぱりわからないけど、
それは幼馴染の年数、
あたかも、恋人の年数のように詐称するな。
あと、そのキメ顔、なんか腹立つ」
「どこからどうみてもイケメン俳優」
「そうだな、どこからどうみてもラーメン俳優」
「ラーメン俳優って何だよ! ムカつく。
ああ、つまりスーパーで唐辛子とピーマン間違えたみたいなものか、
あるよな、そういうこと、あるある発見隊、
からの―――あるある八犬伝(?)」
「・・・・・・ファイナルスリル味わう快楽主義者、
修羅場超えて、阿修羅になって、
ドキュンソングのadoのうっせえわ聞き直して、
手に汗握りますね、この試合、どう滑り倒してくれるのか、
寿命が縮まる、伝説作る、
このあらいぐまラスカル―――助かる助かる(?)」
「シーンとしたよ、あのさ、シーンとしたって言ったの、
感動した(?)」
「さいですか(?)」
「てか、詐称なんて人聞きの悪いことを言うなよ、
それは絶対叶えたい夢、羽根も生えて、泳いで、陸上を走り出し、
宇宙を横切っていくような夢(?)」
「スーパートライアスロンだね、その宇宙戦艦ヤマト完結編(?)」
「茶化すなよ、夢が気持ちを上向きにしてくれる、
この気持ち忘れんなよ。生きていてよかった、
今日カレーライス(?)」
「知らないよ、てか、何で言ったの?」
「いや、いつでも同じ釜の飯を食いにきていいんだぞ、
一つ屋根の下で、ほんの小さな出来事に愛は傷ついて、
サボテンの花(?)」
「からの、心にダムはないです(?)
大体ね、親の庇護下にいる奴が何言ってんのよ」
「でさあ、遊園地のチケットあるだけど―――行く?」
「へぇ、ふーん、あのね―――行きゅ(?)」
「待って待って待って―――ちょっと待ってね、
えーと、それって何? 何なの? 
遊園地のチケットは欲しいけど、
付き合うのは断固拒むってどういうこと?」
「なんていうんだろう、もう少し考えたい大切なことだから、
弱みも傷口もえぐみも幼さも分け合っていきたい関係だから、
不安や失望や涙も越えていきたい、
そういう―――大事に育てていきたい関係だから、
遊園地のチケットが欲しい、
一緒にジェットコースター乗ろうよ(?)」
オトナ語? ポエム? 欲望の声はダダ洩れだけど?
さっきまで、何かすごい罵ってきたけど、
え、何そのてのひらがえし?」
「ひ、卑怯だぞ、遊園地のチケットは欲しい、だから欲しい、
それあたしのもの、返せ、絶対行きたい、それわたしのもの(?)」
「あのさ、雑貨屋さんにこんな万引き防止の注意書きがあったんだよね、
“万引きしてオシャレしても心はブスです”ってさ、ね、何か響かない、
ね、何か響くでしょ、いま、どんな気持ち? ね、どんな気持ち?」
「ごめん、あたし、万引きしないから、
ハイリスクノーリターン(?)」
「そういうことじゃねえよ。
ジャイアウーマンの極致だな、まったくこの女ときたら。
で、ライブのチケットもあるんだけど」
「・・・・・・まず、誤解があると思うんだよね、そこ、
訂正したいなって思う、というか―――させてね。
幼馴染っていわば付き合いたてのカップルみたいなもの、
恋人未満友達以上、そういう諺もあったよね(?)」
「ねえよ! さっきまでと言ってることと百八十度違うじゃねえか、
何、改まって言ったけど感出してるの?
あと、急にチョコレートパフェ食べ出すのがムカつく、
何でこれ美味しいなみたいなあざとさ出してんの?」
「・・・・・・照れてたんだよね、わかるでしょ、
幼馴染ってものに胡坐掻いてて、
こんなに大切な人に気付かなかった、
すぐ大人になるよ(?)」

「何それ、何処のJーpop(?)」