2022、写真詩まとめ
もどかしくてさわれない
“life”
動きや性質を抽象能力にする、
そのせっかちで、真剣で、しゃべりづめの、
人の集合と分離とに潜む腐敗を認める、
“life”
声なき声を進む、
『眼の邪悪は破壊と再創造』の中へ、
(死と生殖にアメーバーや、
不老不死のベニクラゲを夢見る頃、)
だるく、
(see live shadows...)
つめたく、
(see live shadows...)
すえた珈琲の中に、
生命スープの夢想、、、
打ち消す、覚える、感じる、誘い出す、、、、
“life”
離婚の話
木を削り、塗装をし、絵を描き、
それがアクセサリーになるように、
ウガンダのムサ・ハサヒヤという人物は、
(頭の悪いなろう小説のハーレム物のように)
12人の妻を娶り、子ども102人をもうけ、
568人の孫を持つ、という。
(それにしても百年の孤独を想起させる、)
浮気とか不倫の話を想うと、
一定数、aikoではないが、恋愛ジャンキーとか、
中毒とか言う人がいるようだ。
(aikoは別に浮気や不倫を推奨していない、
それはむしろ、柴田淳の仕事である、
ただ楽曲について文句はないので以下同文)
―――承認欲求というのがあり、
この国には一定数、本能の病気、あるいは癖や嗜好を持っている。
男性特有の「バレなければいい」とはいうが、
子供がいれば家庭崩壊の引き金だし、
そんな人間が何故結婚という制度を選択したのか不思議だ。
離婚はコスパが悪いし、最低一、二年は気分が悪い、
養育費ともなれば最悪強制差押え、ということもある。
離婚はまた複雑で、
時には相手の生活を保障しなくてはいけない。
(自業自得という見方もあるが、)
「お前は主婦でいいよな」
(だから浮気してやったのか?)
「仕事って大変なんだぞ」
(だから浮気してもいいという理屈なのか?)
―――あと、それモラハラで、
主婦百人に同じことを言ってみろ、
生きて帰れないと思えよ。
ただ、世の中には一定数「仕事したくない」という人もいる。
だから手に職を持つとか、趣味を仕事にする道を作り、
夫に好き放題にさせない努力をしなくてはいけない。
―――離婚は人間関係がフェアだということを教えてくれる。
中学生小市民
「体操服を盗まれた」とか、
「フルートを盗まれ」たとか、
つまり『着られた』
つまり『舐められた』
わけなのだけれど、
卑屈なわけじゃないんだけど、
(チカン、ダメゼツタイ!)
それ犯罪だってわかってるんだけど、
違う! 転売目的、あのね、それも駄目(?)
『わたしってそういうことされるぐらい、
モテちゃうんだよね』とアピってないか、
カースト制度、階級制、優生感、
『罪な女なんだよ感』ありありじゃないか、
――と、アホなことを考えてしまう。
コミュ症はそれを“悪の華”と呼ぶ。
そしてノーマル女の子は『変態』と呼ぶ。
『キモオタ』と、言っている。
そんな女の子が、
本棚にBLを平気で入れていることもある、
押入れに薄い本があったら大変だ(?)
―――女という職業を想う。
わたしは、Vスパチャで数万のお布施をしたり、
中学生が妊娠する話を想う。
非モテコンプレックスのアジテート、
それいわゆる国民総生産的ルサンチマン(?)
色んな意見があるけど、
ワイルドだなあ、と思う。
やることやれる相手がいる、
リア充死ねばいいのに指数は高い、
非モテ女子にとって、それは、
物語のヒロインみたいだと思う。
道化?
いやいや、オペラだ(?)
毎日が平々凡々と続くのはいいことだけど、
「計画倒産ゲーム」とか、
(愛すべき埼玉!)
ホームレスの缶拾いゲームとか、
(そしてもっと愛すべき茨城!)
もっと、イキった方向へ飛び出したい。
好きなのだ、飛び出したい(?)
「デビルマン」を読んで、
何故か『へんちんポコイダー』を見つけてしまうかなしさ、
いやいや、あざとさ(?)
そしてボカロの『脱法ロック』を聴き、
とりあえず、ストラトでシバいて(?)
それから椎名林檎の『丸の内サディスティック』を聴き、
マーシャル、嗅ぐもの、グレッチ、殴るもの、
すーはー、すーはー(?)
「眼帯すっか?」と言ってみる(?)
「ノーブラすっか?」と言ってみる(?)
「よし、お笑い芸人目指してみるか」と言ってみる(?)
―――笑い声が聞こえた、
友達に聞かれていた(?)
「ハッ―――(?)
夢を見ていた、あたしは誰?」
友達にめちゃくちゃ笑われた。
あたしはもう駄目かも知れない(?)
世界が組み替えられてゆく
夜の間に
the world is being rearranged
during the night
多様な変幻の生殖、
脆弱さと強さの併行した増殖、
「水」という字は、
「木」という字に似ている。
「Z」と「2」みたいに、
気が付くと、
君が忘れて――しまう・・・。
daemonに、触レル、咽喉、指先・・
深海の最深奥、宇宙の最果て、
・・・・・・きこえた、きこえる・・声・・・・・・。
衝撃――。
冬の道
(「winter road」)
冬になると色彩が失せ、
夕方一面を覆っていた雪は暗い鋼の色、
上目遣いにさぐれば、
木々の枝には襟首のような氷。
公園に面した淡い緑に青が混ざった、
この人通りの少ない道にも冬が長く領して、
いずれ忍び足で軽くくすぐるように、
一歩ずつ近づいてくる春を待つ、
それでいてなお太陽の生み出す慈愛の光、
壁の落書きのような気持ちが消えない。
まるで生命群の進化の過程を、
樹木の枝分かれになぞらえて、
図示したみたいに、
何もかもが、
像を結ぶ、長く、記憶に残る、
網膜に焼きつける、
それは秋の終わりのフォルティッシモの響きに似た、
冬の棘。
ローリング・ストーンズ、
ピンク・フロイド、
セックス・ピストルズ、デビッド・ボウイ。
時代の波に対応したフロントラインのことを考えながら、
気が付くと生み出すものではなく作りだすもの、
あるいは作りだすものを支えているものについて、
考えている自分に気付く。
出現する雪の遅延を一秒に設定して、
でもそこにランダムな要素を組み込み、
透明度や、角度、出現率としての雪の量や、
そのスピードを一定時間で変えるように、
追加指定して考えてみる。
軌跡と正弦曲線もいいかも知れない。
まばらに降ってくるように見える雪でさえ、
演出的に、結晶感を出したいとか、
下から雪を降らせたいということもある。
もしも雪に名前がなかったら、
君はなんて呼ぶ?
枯れかけた芝生に、西洋的な噴水、
燦爛と輝いている切れた藪といくつかの道。
夢見るわけでも恋をするわけでもない、
スケッチブックもノートも持たず、
蕭条たる灰色の風景の中に閉じ込められる、
コートがスイートにもアネックスにも続くことなく、
無口になるこめかみにあたる冷たさ。
優しさだけでいいはずなのに、
踏み躙るような言葉を言いそうな自分が怖い。
わずかな関わりで空間を変質させる、
百貨店の生地売り場やピンボールマシン。
オンラインのプラットフォームの開拓や探索、
Zoomに参加して、ネット映像を通して、
スタジオ見学や講義に、Q&Aや討論。
コロナが生み出したニューデモクラシー。
メインストリームになったマイノリティという見方、
サブカルチャーという属性が失われて、
境界線を次々と外していく。
声は開かれた道ではなく、
閉じられた道を踏み破って、
さらに他の知らざる道に入れと言う。
そこには背徳と阻害と優越が潜んだ温床があり、
一層痛切な想いを抱いて足も地につかない人や、
幸運に心が躍って道の遠いのも知らずにゆく人のように、
僕は思慮も分別も定まったのに、
西も東もわからない夢見がちな場所を目指して進む、
堆肥は、例えば家庭から出る生ごみや落ち葉、
下水汚泥などの有機物を好気性微生物の活動によって、
発酵、分解させる。
途切れることのなく続く分解の営みは、
複雑多岐な蟻の巣を僕に想起させる。
たとえば最初に検出されたウイルスのゲノム情報の塩基配列。
空虚な中心や、
空っぽな箱の内部―――。
雪女のことを考える、
素材の重量感や弾力、シルエット、
そしてボディにフィットしている服などを、
そこが北なら獄舎の景色を考えて、
そこが南なら花も恥じらう季節を考えよう。
リアリティの世界から、
ファンタジーの世界へのトランジッション。
管楽器の影と二つの部屋、
穿たれた穴や焦げ目、
そしてポジションニング、デンシティ、フォールオフ・・・。
そうすれば、
ここは雪の国だ。
身体も精神も疲れて立っているのがしんどいほど、
歩きたいこの耳に残る自己批判の精神は何だろう、
そこから導き出された心の中の荒廃は何だろう、
僕が長い間求めてきた当然享受されるべきものは、
セルフ・パブリッシュの文化や、
インディペンデント精神が否定したりする。
高齢者が元気に暮らせるスウェーデンの充実した、
そのサポート体制の裏側で日本からは、
安楽死を求めて死に銭を払う人達もいる。
働くということと働かないということがある。
働くとは何かはわかる、
では働かないとは何かといえば、
ニートや主婦や障害者やホームレスのことだ、
否、この国で何かをしたい、
もっと楽しいことをしたいと考える人間の、
足を引っ張る人間のことだ。
自助できない貧乏人、他人から物を恵んでもらう物乞い。
大多数の貧困層は少数の富裕層と戦えない、
いつか、マハティール・ビン・モハマド元首相が、
そんなことを書いていた。
僕は先買いする、取得する、所有する、
―――だって僕は甘えきったお前とは違うから。
アンブレラやスコールの名残も、
いまはふっつりと途絶えがちになる、
不可能や狂いの中でもまだしぶとく続ける、
不案内なこの道、
でもいずれはそう僕のように、この上は本当にも嘘にも、
いま教えられる道一方しか逃げ場がない。
一人の人間としてどう生きるか、
一人の人間とはどのようにあるべきかに、
息切れしそうな気持ちを抱えながら。
蟻地獄と、
天国の飛行機。
ant hell and
plane of heaven.
何を探していたのかを、
ちゃんと忘れて帰る、
それが人生でとても大切なこと。
what were you looking for
forget about it and go home
that is very important in life.
Add sand from the funnel
I LOVE YOU
では足りないから、
君にチョコレートを贈る。
『砂時計のチョコレート』を。
――この意味わかる?
ねじれ、くびれたそれは、
一つの理想と現実の食い違い。
最高のウェストライン境界線。
チョコレートは、
カカオから作るタイプ?
湯煎するよ、もちろん、そうだね、
だから、どろどろの高熱のやつ、
火傷しちゃうぜ。
思わず飛び上がっちゃうだろうな、
カンフースターエクササイズさ。
僕の愛を信じて、
この青酸薬が僕の答え。
トリカブト特効薬。
殺す気?
違う、比喩だよ。
愛って意味わからんな、
そうですね、意味わからんよ、もう。
でもそれが一杯のワインのよう、
アルコールどばどば、
この前市販されてるウォッカ、
96パーのやつ、見たよ。
口の中で蒸発するって書いてた。
頭に蛆わいてんだろ、
そりゃそうだろ。
機関の中心部のような森でかくれんぼ、
鬼ごっこでも缶蹴りでも、
メンコでもビー玉でもない、
そして子供が一人そっと消えた。
神のしもべいとなみたもうた、
『神隠し』という言葉、
すなわち陰謀のユートピア、
だってそうじゃないか、
自殺、事故死、誘拐、殺人、家出、
それを天狗や狐と決めつける、
すごい迷信の祟りだよ、
否、社会的装置だ、
昔は狼を山神とする文化もあったし、
熊や猪にやられることもある、
そんなエンジェルフォールほどの落差で、
星座の病みを零度する、
いまは白骨遺体も復顔法で、
顔立ちをよみがえらせる。
頭蓋骨の撮影と計測をし、
骨格から眼の位置や鼻の高さ、
口の大きさを再現する。
筋肉や皮膚の厚みなどは、
医学的な統計値を参考に肉付けする。
体形は、着衣や捜査で得た、
生活状況の情報を総合して判断する。
失踪者は毎年数万人と聞く、
もちろんこれは失踪届が出された場合だ、
ちなみに犯人が分からない、
未解決事件の遺族は、
様々な「視線」を経験する。
「殺したんじゃないか?」
地方都市幻想、もしくは蟻の巣と書いて、
コロニークロニクルとルビつけよう、
睡り椅子で転移のための閲歴が始まる。
塩の湖
切なくてどこか感傷を誘う、
ミラージュから、
階級対立や、資本主義を。
僕等の日付のない日記の断片は、
時代の囚人であることを告げる。
その一瞬に生まれた抒情の上を歩く、
そこに異性主義らしいひとりの女がいて、
乾いた、思い出したくない部類の道があり、
抽象の域に達する重たい手があり、
余白が黒光りする。
唇を固く閉じ、眉根に深く刻んだ皺。
開いて閉じるシャッターとしての機能を持った、
瞬きのメカニズムに生まれた電気信号は、
閉じてゆかねばならない街を記憶する。
単純な記号は、
奥底から湧きあがる欲望の飛沫に濡れ、
たとえばそれは、
魚と走るにぎやかな森の夜の構図。
君はエヴァを見ている、
破船の底の硝子蓋から見えそうな、
神話時代の、深海生物みたいな蛇、
それでもその訴えるような切ない瞳は、
廃墟で拾った鏡のようなものだと想う。
風と焔のまぶしい叫び、
反射すれば蜘蛛の子を散らしたように四方へ、
ひとたまりもない、
八歩破れの見苦しさ。
そういう破壊的秩序がそこにはあって、
勢いよく畳み込むアレグロめいた感じと、
穏やかに時間を間延びさせる、
古き良きジャズめいた感じが織り込まれ、
そのピアノの指先が、
蜘蛛の脚のように想えなければならないメロディ、
肌がざわついてくる、
塔のある風景も豊饒で飽和の時代の戦争も、
飢餓も、まやかし、表も裏もあるからくりが、
みんな消える、
頭の中は海の誘惑にも似た言葉のない世界、
汚れや疲れみたいなものを、
次々にさらってゆく。
囁く
雨が降ってすぐ止んだ、
太陽は祝福の光を与え、
全世界はどんなに耀いているだろう。
思想の根源や意識の面には本能があり、
それはまた原始的な渾沌さながらの葛藤である。
この世を支配している運や才能や生き方、
そこには一つの正しい法則や、
一つの在り方が照らしだされていると想う、
底冷えを感じさせる冬の世界は、
歴史の片鱗を僕に想像させる。
心の底に秘めた醜さ、陰湿で加虐的で、
エゴイスティックな、優越感の
そうした心があらわに剥き出す、
抵抗を、敵意を、その手応えと手触りを、
一発の銃弾にして放ちたい、
そしてそれはただ一直線に空に、
飛行機雲のようであればいい、
この世界に展がる空間、まだ見ぬ景色にまで、
境界線を打ち壊す為だけに、
僕等の心がどちらでもなく、どちらでもあることを、
ただ優しく伝える為だけに。
ある日あなたが、
想う。
世界はとんでもなく、
ありえないほどに、
気持ち悪いものであることを。
それは、
正しい。
絶対的なものは、
相対的なもののことだ、
相対とは矛盾であり、
価値の横滑りを作る。
僕は水平と垂直と、
言う。
そうしたら君は、
光と闇とか、
自由と闘いの日々と言ってくれる。
自然なものは、
不自然である。
愚かな人は、
頭がいい人だ。
何も考えなくたって、
生きていける、
きっと大丈夫、
それを馬鹿といえるだろうか、
死んでも生きていても、
何があるのかわからない。
何処までも歩く、
それが、
遺伝子でも魂でも叡智でもいい、
それが約束だ。
眠れ、馬鹿な顔をして、
素敵な、素敵な、夢が終わるまで。
そんなに見つめて
どうしたの?
とか言うから、
「ニャンか」と言った。
訛った。
「猫さんですか?」
そして、そっぽむいた。
この空気どうするの。
この空気どうしてくれるの。
二枚目の僕は、
今日も君を困らせる。
空疎な精励と遊惰が、
僕の信念。
真面目に考えた傍から、
下らないことに、
死ぬほど砂を噛みたい。
何もなくたっていい。
何かあるなんて、
ちょっと、
ロマンチストすぎるし、
ねえそうじゃないって、
わざと言うのも、
センティメント。
二枚目の僕は、
猫になる。
そろそろ、
ぺディグリーチャムだ。
ねえ、そろそろ、
この空気を、
パンドラの匣に、
変えちまうぜ、
とか言いたいんだ、
言いたいんだ、僕も。
モットーはもっと、
ヴィジョンがあるぜ、
とりあえず昼寝して、
夜寝て、
朝も眠って、
それからずっと眠る、
そして言うのさ、
怠惰な俺って、
超格好いい。
ある日、彼はトランペットを吹き始めた。
孤独だったからだ。
トランペット奏者になりたいわけじゃない、
男だったからだ。
ある日、噴水の傍でトランペットを、
吹き始めた。
最高にクレイジーなパフォーマンス、
ドラマティックなフィナーレ、死、爆発、
黙示録を擲つ生の刹那。
そうしたら警察官が来て言う、
うるさい帰れってね。
近所迷惑だ、帰れってね。
そしてついに言っちまった、
あんたは彼を怒らせた!
そんな顔してトランペットかよ、
そんな顔して腹筋割れてるのかよ。
トランペットは武器じゃない、
でも気が付いたら彼は、
テニスプレイヤーのように、
ラケッてた。
そして逃げた。
馬鹿野郎、それが僕の悲しい歌。
おお、悲しい彼の歌。
トランペット吹きの少年の話、
ねえ、悲しいだろ、
彼はそのまま行方不明、
心の中ではベーブルースさ。
ねえ、メソポタミア文明のことを考えてる、
そこに山羊の泣き声が聞こえた気がした。
鳴らないトランペットが錆びている、
人を笑ってばかりいる河馬の顏。
アイデンティティは揺らぐ、
ライフステージの構成要素の変化によって、
インスタントな承認や、
交換可能な対象からはけして、
生まれてこない自分は、
何者かであるかという問題。
自然と人間。
分断が進んでいる。
食生活や、世界の見え方はダイレクトに、
僕等の意識に触れる。
ビー玉をそっと置けば、
ビー玉は窪みに向かって動き始める。
そのように重力は働く。
ジェームスディーンも、
エルヴィスプレスリーも、
ライダースジャケットも、
直管マフラーの爆音も、
抑圧からの逸脱、弾圧への反抗。
ゆとり教育、中流志向、
ハラスメント取り締まり、
なんでもコンプライアンス、
君は何者だ?
口の中がえぐい、ざらざらする。
からから。
安定的なアチーヴメントに、
本当の居場所はない。
それでも偽りの救いの文句を、
おどけたように口にする。
スタイルこそが、
ラディカルな意志をもっている。
ゴリラの同性愛の遊び、
みたいなものだって思った。
性別とか、年齢とか、肩書とかで、
騙せないものがそこにある。
どんなに強い個体でも賢い個体でも、
自然界で生き残るか否かは、
運次第。
様々なものの適切な距離を、
貪り、捲りあげ、
なぞり、引き伸ばす、
―――ブラックホール。
宇宙をハッブル望遠鏡が撮影すると、
三千個もの銀河が写る。
そして銀河の一つ一つに、
太陽のような天体が、
数千億個存在している。
そこに隠れた敵対者を暴くために、
もっとセクシーでインテレクチュアルで、
かつ加速度に飛んだコミュニケーションを、
始めよう。
マイナス十五度で眼蓋は凍り、
目が開かなくなる。
マイナス二〇度で、ポカポカ気持ちよくなり、
急激に眠くなる。
―――眠りを着た快速電車。
コロナ禍で高齢者介護施設で、
身内と面会のできないまま亡くなるのは、
孤独死。
人は死ぬ。
カツラのように抜けた死者の頭皮なんか可愛い、
眼球がはずみで落ちるのもまだ可愛い。
猛暑で腐敗が急速に進み、
体液が流出して発見された状態なんか、
神も仏もない。蟻の塔みたいなゴミ屋敷じゃ、
ペットボトルに小便を入れていることもある。
そして蠅はいる、蠅は卵を産むし、
遺体を養分とした糞は臭い。手早くカーペットを剥がし、
床の汚れた部分を消毒・消臭し、
掃除し新しいカーペットを敷き詰める。
フレームワークのレイヤ構造みたいだ。
「はい、アンドロイド清掃会社です」
―――アンドロイドってことにしてるけど、
実は人間が働いている、
『完全自殺マニュアル』という本みたいに、
アンドロイドになりすました人間の社会・・。
LCLに溶解した碇シンジみたいなものだ。
二〇五〇年じゃ、まあよくある話だ。
心のキャパシティーが底をつく。
二足歩行、人類の足は遅く、転ぶリスクも大きい。
にもかかわらず、世界中にその生息域を広げ繁栄した。
正しいことはよくわからない、色んな説がある、
ただ、見え方が変わる。
生け花のアシンメトリーな造形から日本の美意識を探りながら、
花を摘むことはどういう意味を持つのだろうと考える。
その花を動物たちが死者を悼む道具として使う。
怖さ、おぞましさ、身体や心の裂け方、
古代ローマ帝国でも羅生門が荒れ、
袴垂れが出没した平安中期でも、
狂人みたいな見え方があった。
けれどもそこにもやはり安定した環境と、
食物連鎖を成り立たせるシステムがあった。
記憶が淡くなっていく、一割の希望をめざし、
革命が起きる、戦争は有名無実化したまま続き、
政治は消失する。
染色体としてしか認識できない。
裁判所で会おう。
「人がどんなに恐ろしいものか分かる?
それは暴力ではないの、
暴力が人間の正常なシステムを壊して、
様々な異常を引き起こすからなの」
その時、自分は、大学設立の経緯、人口増加期、
アファーマティブ・アクションと標準テストについて、
調べていた。
「逃げられないのよ」
容赦なくどんどんわたしを犯しに来るの。
―――土下座の跡が残る雪。
病院の無菌室で内臓を全部引っ張り出して、
真水で洗い流す、過去と現在をシンクロさせながら、
リアルな君の声が聞こえる。
線虫とは、長さ一ミリメートル程度の糸状の生物で、
発生や遺伝子の進化の研究にモデル生物として使われる。
遺伝子が突然変異を起こすと、遺伝情報が書き換えられる。
そんなことを―――つい最近知った。
SNSでの誹謗中傷、変わりゆく性犯罪の認識、
正規と非正規労働者の格差、巨大IT企業の市場支配・・。
コロナにおける休業要請や外出制限のように、
感染症対策では、僕等の自由が制限される。
自由主義社会の根幹に関わる大問題だ。
(中国などではロックダウンを敢行する、)
自由の制約は、どんな場合に、
どこまで正当化できるのだろう、
全体の利益―――。
教師と生徒の関係は非対称的であり、
生徒の方が立場が上だ、
なぜなら、教師は生徒に「分かってもらう」必要があり、
分かってもらえなかったら教師たり得ない。
プリゴジンとブリュッセル学派によって打ち立てられた、
散逸構造論。
川の流れのように、内部的にはさまざまな変化があっても、
大局的には時間的に一定の流れをもつもの・・・。
熱的な揺らぎ・・・・。
ベナールの対流、ベロウソフ・ジャボチンスキー反応。
まるで、ギリシャのクレタ島で、
弦楽器のリラを奏でる詩人みたいだ。
徐々に経験し、徐々に理解し、徐々に逞しくなり、
脈々と、真の旅人になっていくプロセス―――。
書物や地図、グーグルアースを駆使して、旅を始める。
人間がいかにちっぽけかと圧倒させられるような、
人間の存在が余計であると感じさせられるような、
美しい風景が存在する。
フォトTシャツの中のハワイを脱ぎながら、
テールランプを脱ぎ、窓の雨を脱ぎ、都会が残される。
人々の集積と店の集積とを相乗させ、売り手とお客との間、
またお客同士の間にも相互作用を生み出す。
ジャケットが音楽だけでなく、
アーティストのイメージを売る手段であるみたいに、だ。
中東の死海近くの古都市ソドムとゴモラが神の怒りを買って、
焼き尽くされたのは、
人々が酒色におぼれ、背徳を極めたからだった。
―――偏狭な偽物の神は、プライヴァシーを侵害したがる。
ハードルを低く設定することで、
さまざまな形式、さまざまなあり方で存在することが可能になる。
ブラジル屈指の富豪であるチキーニョ・スカルパが、
晩年を優雅に過ごすために百万ドル(約一.一億円)もする、
ベントレーを埋葬し、でも結局そうせず、
臓器提供への認知度を高めるためだった、と語る。
sugar effect
《I》それは、「心」(≒{意識」)とするか?
『ゾウリムシ』や『蟻』にも似た『ゾンビ』は、
心や意識を持っていない―――。
でも、人間というのは、
「個体として生き残り、種が繁栄するために行動する」
(ヒトのゲノム配列は九九.九%同じで、
〇.一%の差異しかない。
その〇.一%の違いが多様性を生み出しており、
自分の特性の一つになる)
スイッチを感覚側から理性側に切り替えてみると、
これは“哲学的な領域”にあるような気がする。
《地滑りを起こしている急斜面を駆けあがっていく》
―――テクノロジー、社会変動、生活レベル・・。
>一平方センチ当たりに数百キロの重さに相当する圧力、
太陽光も届かず、餌も極端に少ない深海では、
二万種もの生物が生きている・・・。
>深海のロマンチックな風景として思い浮かべる、
マリンスノーもプラスチックに汚染されている。
心だって、意識だって、自分というものだって、
そういうものなのではないか・・・・・・・。
空気を切り裂いて到達する心臓の鼓動のような熱狂。
<レベルが急速、刻々に、さらに進んでゆく>
個性の確立こそルネサンス文化の礎、
過去は未来を解く鍵、地球史四六億年の営み。
人類はあと二〇〇年で真の宇宙文明に到達できると、
NASAの科学者は言う。
西暦三〇〇〇年にはテクノロジーの依存。
みんな死んでるだろって笑った。
硝子に映った幾重もの景色ごと指が吸う。
「見ている」のではない、
「見ていない」のだ、
ボニージャの観測、ツングースカ大爆発、コロナ質量放射、
ソ連の核兵器早期警報システムがアメリカから発射された、
大陸間弾道ミサイル数発を検出の誤報。
光は成型されて戻らない感情になる、
決定・代替選択肢・感情焦点型の戦略。
最適解周辺の応答局面。
倫理的なコードのなかに美的なコードを埋め込んできた、
「悪い」とか「嫌い」という言葉が必要だ、
男性は、一回の射 精で数億の精子を放出し、
一生の間に、一兆匹前後の精子がつくられては消えていく。
僕は学校給食法を思い出す。
「学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと」
を、給食の目的の一つに掲げる。
自由意志の概念のフレームが少し曇る。
>中国人の悪口を言う人もいるけど、
AI、キャッシュレス、ロボット技術は日本より進んでいるし、
上海では無人タクシーが走っていると聞く。
>シュガー・エフェクトは便利・即時的な方向だけではなく、
怠惰・即時的な方向にも作用する。
苦いコーヒーを飲む時に砂糖を入れるように、
人間の生来の本能的欲求への緩和措置となる行動を指す。
見えるわね、
あれが幻想よ。
あれが、
群集心理よ、
誇張的で、単純で、
感情の奴隷で、
馬鹿にでもわかる、
別物よ。
そして、
あれが政治よ。
*
菌糸をばらまいて、
「陰謀論」を盛り上げるのだわ。
あなたはきのこ国の一人だわ、
胞子を拡散するわ、
そして言うのだわ、
「自由な空気を取り戻せ!」と。
馬鹿はこれで一丁上がりだわ、
猿に知性なんてないのだわ、
これで税金引き上げても大丈夫だわ、
人間キャッシュカードの誕生だわ。
頭のいい人は、
宇宙全体が病魔に犯されていると言うわ、
でも論理はそれほど重要視されないわ、
馬鹿をどんどん利用するのだわ、
青白い淋しい野火の靉靆きだわ、
レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ、
サド、ラクロ。
馬鹿には呪文にしか聞こえないわ、
『高等魔術の教理と祭儀』
『夜の果ての旅』
『アフリカの印象』
そして嘘は百遍繰返せば、
本当になってしまうのだわ。
馬鹿のためにエロイムエッサイムというわ、
すべて何かの呪文だわ、
何かあればすぐ音楽にしてしまえばいいわ、
まとめサイトに十分解説だわ、
修辞家、断言家の嘘八百だわ、
救いようのない腐れ大衆の腹下しだわ、
アメーバーミジンコ、
それでも花弁が流れるわ、
どんな無茶苦茶も、権力の中で、
宗教になってしまうのだわ、
それが信仰だわ、
馬鹿は経歴や肩書に弱いのだわ、
そしてそれが経歴詐称を産むのだわ。
愛なんて何処にもないわ、
あるとすれば、愛のようなものだわ。
愛さえ語れない腐れ外道の、
中身のない時代に菌糸をばらまくわ。
*
ethereal
蝉の翅か葉脈のように織り込まれた、
命の福音を探す。
血のような落日の下、
渦が来る、ある瞬間のように、
色づいた人生の瞬間に希望を抱きながら。
*
coccinelle
夏の午后に出逢った、
落書きみたいな金糸雀。
*
哄笑
「おぽぽ・・・うぷぷ・・・おぽぽ・・・」
そんな笑い声が聞こえた。
複雑な図表を瞬時に解釈する技能、
封印された落し戸、凸面鏡。
茫然自失するような渦巻く時の奔流、
大きく拡がってゆく、声帯、振動、
―――自分の口。
逃げゆく諸々の要素が消失し、
夢と擬制記憶が紋切り型の神話のパターンの跡を辿る。
戦慄の裡に廃墟へステップワゴンで出掛けたこと、
湖にかかる美麗なトラス橋、絢爛豪華、悪趣味バブルの夢の跡、
奇妙な健忘症を発症した初期段階に仲間がいたこと、
「●●・・・●●・・・」
(名前が―――思い出せない・・・)
ここでは昔××が行われたこと、ヒトさらい、人喰い、
巨大な蛇の腹の中をゆくような論理。
突然降り掛かった影は外部の源。
呪われた数世紀を経て、数分前から渾沌とした朧げな幻。
そして、そして・・・・・。
水に小石が押し流されるように、意識下へ何かが潜入した、
自我同一性を失い、顔面筋の収縮、知識の隠蔽症状。
両手、両足および身体の各部位の異常。
―――現実歪曲技術、遺伝子改変、
魂を毒する霊妙な静謐と非常に風変わりな音節。
それは白い錠剤のように魂の奥で結晶する、
賽の河原の地割れ、地獄の窯の蓋が開く。
人を惑わすという亡霊の冥界の使者たる眼。
―――作用した、目玉を掘りだした、
痛みを感じない、継続性と同時性とを区別する能力の喪失。
また作用した、心臓に包丁を突き立てる自覚のない異常性、
感覚がない、痛みがない、コントロール・ルーム、
ああそれも―――痛みを感じない・・・。
恐怖と忌避感が消えたはかりしれない深淵で、
「刺激がほしかった」
その非日常的現場の後ろには、
何人も何人も並んでいた、並び連なる冥界の受刑者、
僕と同じ代償を支払い、暗黒の迷宮を逍遥く者・・・。
昼と夜が分からない―――何年経ったかもわからない・・・、
自分と他人の区別がつかない―――、
生きているとか死んでいるとかの認識が失われて久しい、
―――これが、【呪詛】・・・。
「おぽぽ・・・うぷぷ・・・おぽぽ・・・」
そんな笑い声が聞こえる。
*
(*写真に特に意味はない、言葉にも意味はない、
それは空間の虚実を伴った露出度というものである)
*
「どうして手つないで帰れるんだろうあの子って想うよね、
衆人環視のわいせつ罪だろう百文字以内でこたえよ、
どうして人前でキスするんだあの駅前のバカップル、
ソドムの町にしたいのか百文字以内でこたえよ」
「リアルソードアート・オンラインという名のポルノ小説、
スタジオズブリだよね、それが大衆心理ってやつだよ」
「お前みたいな気持ち悪い奴とデートしてやるわけないだろう、
百回死んでようやくだよ、わたしは神様のように優しいから、
慈悲をくれてやってるんだ、崇めろ、そして敬え、豚」
「恋なんかしたくもないね、ひょっこりひょうたん島する、
そうすると、不思議なものでがっつり沼落ち、
ゴキブリホイホイ、童話が必要なんだよこの都市は、
生きている価値すらもない泥人形に、
人格なんか与えられるわけもない」
「男と女に距離があるんじゃなくて、
男と女が別物に見えるだけだろ。一緒だろ、
猿で、馬鹿で、ぐずで、のろま。
私は今まで一度もそいつらに敬意をしめしたことがない、
おめでたい奴等の仲良くなりたい、承認欲求だろ。
人間の屑が綺麗ごとを並べてるんじゃねえよ。
お前もそう思うだろ、豚のポチ」
「私は選ばれた人間だからお金持ちで、一流大学で、
人を奴隷や召使のようにこき使って一生を生きる。
選ばれた人生、当然の権利、豚とは違う、
支配して支配して支配しつくす、感情なんかないよ、
そんなド底辺の奴にどんな感情があるって言うの、
それ、ポエムでしょ」
*
It's a really
amazing city,
but let's zoom in.
*
*
風は秋色
秋は忍び寄る、繻子の肌触りで、
空はもう深い竜胆の色。
木の葉がこうして散っていくことは、
病んで黄熟したということではなくて、
黄金になったと、
夏の一瞬のきらめきを追いかけるようだと、
口にするべきなのかも知れない。
星座は時の夜をめぐる光体の結晶、
燃え尽きる焼尽の色。
蝉のように中々来ない展開を待ちながら、
石やがらくたを動かすような噤みの中で、
駅前広場のクリスマシシーズンの電飾は、
もうすぐだ、
一年はどんどん短く感じられる、
背後の道が閉ざされてるとも感じる。
秋は骨のへこみにそっと指を滑らせる季節だ、
一日千秋という言葉を知った思春期。
創造と破壊の成分、頂、その焔の羽根飾りを、
蜂の巣をつついたとでも言おうか、
水に映る空へ、
深く沈んだ愁いの宝石の一つ・・・。
深く沈んだ愁いの宝石の一つ・・・。
*
いいお月様じゃな。
じゃわいじゃわい。
踊ったり、喚いたりじゃな。
じゃわいじゃわい。
大福食べて、
あまいジュースを飲んで、
一人と一匹の月見は続くのじゃわい、
くずれた煉瓦や石材が続くのじゃわい。
何もないけれど、
何もないところがいいのじゃな、
じゃわいじゃわい、
――中秋の名月じゃわい。
汲んでいく井戸、
墨色のたくましい線、
あの星の名は何というのじゃ。
山梔子の光射す、
夜のたまねぎ、
おお、あの星の名は何というのじゃ。
疲れたら眠るのじゃな、
いつか声も聞こえず、
いつかその姿も消えて、
水が引いてゆく、
子供時代のふぁんたじい。
忘れたらそれでいい、
忘れよう忘れよう、
でもいるのじゃわい、
だってそこにあるのじゃわい。
*
ひとりぼっちになることが
こわいぼくらは
たにんをきずつけるか
きずつけられるか
あるいはみてみぬふりをする
ほんとうによわいぼくらは
いすをならべた
いすとりげーむをしている
ぷらいどのもんだい
ひらきなおるのもてだね
ねがてぃぶなようそを
こくふくしたり
かくしたりしながら
おとなになる
おとなになっても
かくれんぼはつづいてる
かくれるばしょをみつけるのは
きみはじょうずかい
*
『おしんこ』というのがある。
たとえば、『宅飲み』に『おうちバー』のお供に―――。
様々な角度のアプローチから言うと、
―――“あり”だな、と思う。
一つは『歯触り』で、
人というのは、シャキシャキした、食感を求める。
食物繊維を取りたいのか、犬や牛が草食べるようなものか。
次に『湿り気』というもので、
人というのは、少しの潤いを食品から得たがる。
水分めちゃ大事、めちゃめちゃ大事。
一つは、『テーブルと皿とおしんこの持つ色の組み合わせ』で、
これはもう“一つの宇宙/ユニバース”であり、
“真理/ブッダー”である。
丸い皿、四角い皿。偽物の古伊万里。そしてテーブル。
この舞台から導き出される様々な音楽を聴く時、
民俗音楽的なと言いたがる人々を想像する。
『おしんこ』とは何なのか、
―――漬物なのか、盛り合わせなのか、
もはや何なのか。マルクスは『資本論』を、
大英図書館にこもって書いた、という。
その当時、大英図書館にはどういう本が、
どのように配置されており、
どのように使ったのかというような、
具体的な視点における地上的な観点。
胡瓜、野沢菜、人参、
ザーサイ、紅ショウガ、高菜、キムチ、らっきょう・・。
―――おしんことは、本来浅漬け的なもので、
僕は牛丼屋の『すきやのおしんこ』を考える。
けれども、『キャッチフレーズ、通り名としての“おしんこ”』
であり、それはガンダムだけど、
機動武道伝しちゃいました、みたいなものなのだ。
特に根拠もないけど、そうなのだ。
そして前髪をさわさわしながら、
ムカつく類のキメ顔をしながら、
「人生いろいろあるよね、
そして僕もこんなふざけたオトナになるとは思わなかったな」
と言えば、何か、“道観”が出てくる。
醸し出される、裏切りのブルース、
藤井風のとある歌の歌詞。
――『お通し』という不思議な言葉を想う、
そこにもやはり、お前もいましたかという、
『おしんこ』がいる。
言葉は一人歩きし、
文明はそのように様々なバリエーションを加えてゆく。
*
夜は悲しく
いつもの君が立ってた。
十年も前に亡くなった君がそこにいた。
その時のボクの胸には、当時なかった、
二本の角のようなものがあった。
性を仲立ちにした関係がもたらす抑圧と強迫観念。
―――君は、横断歩道に飛び出した、
理由はわからない、
でも、ボクは見てしまったんだ、
過去視ってやつなのか、
それとも、時空のねじれということにしておくべきなのか、
君は母親が不倫しているのを見た。
学校の先生と。
それから、父親が不倫しているのを。
―――おそらく会社の後輩と・・。
キミを見つけて追いかけると、
十年前のその場面が甦った、
まるでプロジェクターだ、自分の臓物をさらけ出す。
プラネタリウムだったらよかったのに、
精神の靴擦れは起こる。
十代にも満たなかった君は、
事故成分から、自殺成分を増した、ヤケッパチな、
絶望感覚の無限の哀愁を含んだ小さくて薄い背中を、
さらに小さく、薄く、丸めていた。
君を追いかけた、そしてあの事故の現場、
「死んでもいい」という一歩を君は踏み出すことになる。
それが、どういうものかはボクにはわからない。
ボクは「待って」と言った。
そうすると、ボクの眼を見て君は笑った。
しとやかに階段をのぼる、時間が埋まってゆく、
響かない、聞こえない、届かないはずの距離が埋まる。
―――君は十年後の、およそ少年風のボクから、
明らかに女性と化したボクを、
おそらく最初から同一人物と見なして、
それでもずっと知らないふりをし続けてきた。
ボクは知った、君には『未来を視る力』があったんだ、
それとも、やっぱり時空のねじれだろうか。
白い波が、涯もなく流れては、雲や空のなかに滅えていった。
無関係にうちたてられたビルの合間をゆく、
無関心な群衆、大衆、匿名者、仮面つきの中身なき者たち。
むしゃくしゃしたから、はじめてタバコ喫って、
ビール飲んでやった。煙草にむせかえり、
ビール一本で見事にげろげろ吐いた。
君にはいつも笑ってばかりだったボクが、
ようやく泣けた。
口惜しかった。
ふらふらする頭を左右に振りながら、
ようやく、ボクも、一歩踏み出せたような気がした。
夜の交差点、自殺志願者のように飛ばす車、
轢き逃げや事故はおそらく毎日のように起こるその道で、
あの日の嘘の塊りが笑っていた。
―――わたしは、車の免許を取って、
中古車に乗って君の墓参りに行こうと思う、
色んなことが起こりうる世界の中で、
色んなことを認めながら生きる小さな一歩だ。
印象的な自然な悲しみを含んだ人間の姿に愛惜の情を絡ませて、
生きるって何か、十年が二十年、二十年が三十年になる。
「何もできない」のは変わらない、
でも「見て見ぬふりはやめよう」
だって、ワタシはもう大人だ。
さっきから交差点では、気の狂れたような大声で、
ひとりで喋り続けているおばさんがいる。
ワタシはそこから眼を逸らさなかった。
*
政治とカネというけれど、
選挙期間中に一五〇〇~二〇〇〇万円、
選挙期間前にも一〇〇〇万円近くの費用がかかる。
街中のA1ポスターしかり、選挙前のビラや機関紙号外。
事務所を借りて電話回線、椅子やテーブル、
もちろんこれは一部だ。
けれどもこんなお金がかかれば一般人は選挙などに出られない、
否、これだけお金がかかっているのに当然確実とはならない。
誰も言わないかも知れないが、
そもそもこんな選挙自体が腐敗を生んでいるのだ。
河井案里・元参院議員というのを覚えている人もいるだろうか、
彼女は宮崎県の裕福な家庭に育ち、地元の名門校、
慶応大学の湘南キャンパス、大学院では行政改革について学び、
公立の研究機関に勤めて二十七歳で十一歳年上の、
河井克行と結婚。二年後に夫の地盤である広島県で県議になり、
政治家としての道を歩み始めた。そして二〇一九年の参院選に挑み、
四五歳でついに国会議員のバッジを手にした。
でもそれは彼女の外面的な説明である、
たとえば彼女は寝坊癖があり、高校時代、
父親にポルシェで校門でたびたび送ってもらう。
また、趣味は「フランス語」と「加圧トレーニング」
「退屈より大失敗を選びなさい」
というココ・シャネルの言葉が好きだとアピールする。
さらに付け加えるなら、
「建築家の父と声楽家の母の次女」である。
僕がもし本当にどんな人物かというのを知りたいなら、
周辺の聞き込みをし、徹底的に駒が揃うまで調べ続ける。
人間というのは多面的なもので、様々な表情を持っている。
人を知るというのにはとても長い時間がかかる、
友達であろうとも知らないことは沢山あるものだ。
踏み込まない限り得られないことを知らなければ、
嘘や見せかけのポーズを見破れない。
そしてそういうありのままの人間を知れば誰でも違う印象を持つ。
政治だってそもそもからしてそうなのだ。
あたかも、TBS楽天買収騒動の裏で、
三木谷調査部隊が動いてみたいに。
「週刊文春」がウグイス嬢の「違法買収」疑惑をスクープし、
夫の克行は、わずか五十一日間の在任期間で、
法務大臣辞任に追い込まれてしまう。
続いて、文春に負けじと地元紙「中国新聞」がスクープを放つ。
十一月八日の朝刊一面に、
《河井案里氏、広島県議に現金か 春の選挙中、公選法違反指摘も》
の見出しが躍った。この一報で完全に世論の風向きが変わり、
夫婦ともどもメディアに追われる身となった。
彼女は二〇錠の睡眠薬を飲んで自殺未遂を起こし、
夫は服役、二〇二四年出所予定だろうか。
政治って様々な権力闘争があり、派閥、立場、二枚舌を使い分ける。
僕は時々彼女のことを考えるのだ、
(男性社会としての政治の玩具)
(少し現実離れして足元に地がついていないところは見られるけど、
おそらく正義感があり、政治に夢を持っていた人物)
―――安倍晋三・元首相が銃で撃たれ、国葬になり、
当初提示していた金額より随分膨れ上がった見通しになり、
反対意見が強まっているというまま行われた。
(黒歴史、イメージの悪化)
というのも本当だろうと思う。
政治が変わり始めているという一場面という風にも、
僕には見えたのだが、さてこれからどんな風になるだろう?
蜂蜜を垂らしている
透明な粘着力の
君が見ている
インディゴの夢
呪いの椅子
わたしは生前人間だった。
ここは椅子にさせられてしまう部屋。
だからあなたも、
今日から空気椅子をするべき。
呪い呪われ三千年、
雲母か何かで黒くなり、
でもおそらく蛸の墨で、
黒くなった。
おおあなたは白魔導士、
よかった、
いますぐはいつくばれよ、
椅子に座られる気分はどうだ。
おお、呪い呪われ三千とんで一年と一か月、
口が悪くなる魔法かけられ、
ふぁっくゆー、
こころゆくまで、逝くがいい。
椅子は椅子でも別の椅子、
よっこい正一、
またきて四角、
三千とべば三億の魔物の群れ。
呪い呪われ、ついに火にくべられる前、
やっとこさのバルセロナ、
ここへと逃げ出して牡蠣にあたって、
空気椅子してるお前と出会った。
道に沿って続く、
木々ばかり見ていた・・・・・・。
she is mad
角を持つヴィーナス
の夢を見た、
帰れない幽霊の巣、
芋虫たち。
夏のみづうみは、
見知らぬ世界を擁した、
魂を覗かせる窓、
心に突き刺さった。
君の緑色の、
尻尾が忘れられない、
きらめく蛾のような眼。
二個のざくろの唇。
細い痕は切り傷、
土と火の化身たる虫が涌く。
ウォーリーをさがせ
蟻観察隊
「アリってさ、
アリだよね・・・・・・」
「アリだけに?
いやごめん、
アリだけに?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「シバいていい?」
「シバ刈りしないで、
シバイヌになりたいけども、
シバッ、ブグオ・・・・・・」
「・・・・・・アリってさ、
アリってさ、
人間みたいだよね、
小さくて、よわくて、
簡単にふみつぶせて、
死んだものを食べて、
気持ち悪くて、
げろげろ可愛いよね・・・・・・」
ねえ・・・・・・ないんだ・・・・・・・
ねえ・・・・・・。
―――少女の声がする、
気のせいだろうか、
さっきから誰かに見られている気がする。
かくれんぼしていて、
一人の少女が行方不明になった廃墟。
神隠し―――とか・・・。
俄かには信じがたい言葉を、
老人たちは囁く。
昔、神木を伐採したのだと言う。
それ以来、
時々行方不明の子供が、
出ると言う。
ねえ・・・・・・・ないんだ・・・・・・
見つからないんだ・・・・・・。
アタシノ・・・・
カ、ラ、ダ・・・・・・。
パニホラ入門
セスナ機に詰んだ細菌兵器が落ちた。
街は閉鎖、脱出不可能、
自衛隊による脱走住民の射殺、
人工塀の建設。
デスゲームの始まり・・・・・・・・ウイイイ・・・。
蝉のような短い命、人間爆弾の誕生、
一週間前後で生体組織がヒデブする。
社会秩序が壊れると、
男は本能剥き出しで女を強 姦しようとし、
女はそれを回避するために、自殺しました。
キチガイの漫画家思想に洗脳され、
ゲーム感覚の大人は、
目先の欲望にすがるのでした。
軍事アニメを筆頭候補に、
危険思想の漫画について、
そろそろ考える時かもしれませんね、
ねえ、隊長。
先程、全員射殺してきましたよ。
人間の汚い血には死ぬほど飽きますね。
おっと、死人に口なし、
隊長、解毒薬はいりませんよ、
こいつらは全員蛆虫だから。
これから、世界中にばら撒く予定ですよ。
み、っみ―――ミミ、ムヒヒ・・。
みなごろしの始まり・・・・・・ウイイイ・・・。
十七歳のキミが考えていること
あ―――。
あたしADD/ADHDなんだよね、机汚ったないんだ、
部屋の掃除もできないし、すぐに違うこと考えちゃうんだ。
頭の中でイメージの連想形式。
けどみんなわかってくれるの。
人それぞれ向き不向きあるよねって、友達が言ってくれたの。
小学生の時、よく教師に怒られて、両親には泣かれて、
あたしも何度か死にたくなった。
中学に入って先生みたいにわかろうとしてくれる人がいて、
すうっと心の中の澱がなくなっていくのを感じたんだ。
ADD/ADHDって猫顔の特徴があったり、
歯並びが悪いとか、睫毛が長いとか、色白とか、
色々あるんだ、全然見当はずれのこともあるけど、
わからない言葉もある。
色んな人いるよねって、その一言がすごく支えになる。
ふつうとか、当たり前って、赤毛や黒い肌や、
金色の瞳だってそうなのに。
この国はいまでも同性愛者の人に好奇の眼を向ける、
あたしは素敵だって想う、
それは個性で、持って生まれた人生の宝物。
でもそれを宗教や価値観でシャットダウンする。
みんなと一緒で当たり前っていう教育のせいだね、きっと。
悪いことばっかりに眼を向けてると
やっぱりあたしは弱いから時々わからなくなるんだ。
そんな時は、眼を瞑って息を整えるよ、
すこし楽になるよ。
人を傷つけない人になりたいな、
人の弱いところがちゃんとわかるといいなあ。
恋は飛び蹴り
実はこれから―――そーなんだ・・。
実はこれから―――そーなんだ・・。
こいつの[背中]に、
こいつの[背中]に、
“とびげり”を叩きこもうと、
想っている。
バイオレンス乙女儚し、
その後、Hな態勢に持ち込み、
マウントを取りながら、
顎クイをしようと思う・・。
―――などと、
考えながら、
『普通の恋』
してしまうのが、
さみしいんだ・・・。
それは、
一生に一度の恋、
全力投球してたい、
蹴りたいぐらい、
君が好き、
鈍いからじゃなくて。
君が許すぐらい、
わたしのこと好きって、
―――知りたいんだ・・。
“水槽の脳/バトナム”の仮説のように実験した、豚の脳を「BrainEx」なる装置
につなぎ、酸素入りの人工血液を流す。その結果、脳細胞への血流・神経細胞の
細胞機能・自発的なシナプス活性が回復した。
似顔絵というのが技術じゃなくてパーツの配置で似ているか似ていないかが決まる
ようなものだね。豆粒ランプのような眼も、知識、脂肪になる。
前に夢の介入が可能になるかもという話があった。明晰夢の達人とかナルプレコシー
の人などを集めて、脳波と眼球の動きからレム睡眠に入ったことが確認されたら、お
もむろに質問をする。最初の質問は「夢の中ですか?」だ。これに対して、参加者は
予め決められた通り、左右に目を動かすことで回答する。このやり方ならちょっとし
た計算問題にも答えることができる。たとえばある参加者は「8 - 6は?」と質問さ
れ、目を左から右へ二回動かした。同じ質問を繰り返しても、正しい回答が返ってき
た。この実験自体の精度はよいものではなかったけれど、この夢のやりとりを覚えて
いる人もいた。睡眠中の夢をハッキングし、潜在意識に干渉することで、記憶力や創
造力の強化するデバイスを開発しているというニュースもあった。
比較惑星学とか惑星科学は、アポロが月の石を地球に持ち帰ってきてから初めて学
問として成立するようになったみたいなものだね。深海魚にかかる重い水圧。
いつかアンディ・ウィアーの「卵」という小説みたいに、僕等はこの世界がどんなと
ころか知ることができるのだろうか。生や死の意味、神、宗教・・・・・・。
SYSTEMを考える、文明を考える、その土台は何なんだろう。
スイスには尊厳死法が成立していて、しかも支援する団体があるので、安楽死のため
にそこへと行く人がいると言う。渡航・滞在費含めて百五十万から二百万。そしてたっ
た二十秒、点滴に薬品を加え患者の体内に注入するだけで、死に至る。
身体は機械で拡張することができる可能性があることを、第六本の指の実験で知るこ
とが出来る。それは翼を持たない僕等が、翼を持つ可能性を示唆しているし、拡張現実、
技術の特異点を迎えるであろう僕等にどんな意味を持つかもわかるだろう。僕等は蟻な
んだろうか? 稲妻に浮かび上がった鏡と化した窓の中に見えたもう一人の自分のよう
にいまはそんなことばかり考えている・・・・・・。
君が僕の心を撃った。
痩せ衰えた、
不気味な銃身のような君の、
病的な肉体・・・・・・。
不老長寿の霊薬、木乃伊の保存、
キリスト教の最後の審判の日に、
仏教の西方極楽浄土
僕はその時、
ゾウリムシやクロレラのことを、
考えていた。
身体が一つの細胞でできている、
単細胞生物。
その細胞の死が個体の死に、
等しくなる。
プラトンでは死は、
魂を肉体より解放するもの。
プロチノスはそれゆえ死を善とした。
キリスト教では肉体の死のほかに、
永遠の生命たる神からの離反としての魂の死。
ストア派やエピクロスは、
死の恐れの克服を課題とし,
後者は死は非存在であり,
われわれが存在するかぎり死はなく,
死があるときわれわれは存在しないと語った。
ハイデガーは死が人間の生の本質を、
構成していることを認め,
人間の現存在を死への存在と規定した。
サルトルは死の偶然性を強調し,
死はむしろ可能性を無に帰するものであるとした。
僕等は迷路の中にいて、
ほんの束の間、
真っ直ぐな道を歩けているような、
そんな錯覚に陥っている。
選択も運命次第、
すなわち宿命次第である。
このラビリュントスは続く、
―――僕等は操られた生き物だ。
二つの眼の奥から涙や目脂のように、蛆虫や蟻が流れ出て来たとしても―――だ・・。
それ以上の説明はいらない、構成要素であり、解答の一つとして、予期せぬ空想の発
芽にすぎないと思うから。けれども、静寂の呪文は止まらない、シャボン玉の泡は割れる、
風が言葉を話すように、影は月と共に―――歩く・・。
海の船幽霊、バンベルクの町の頭のない男、ハイネの詩の中に出てくる幽霊譚。
その顏が強張り、全身にかすかな戦慄が断ち切られる寸前のようにある、インク消しみ
たいなこの感情。コテージはそんな所のように見えた、湖にうつった糸杉の密集した地帯の、
その水面の奥には厚い藻の塊りが、聞こえない呟きや物音を窒息させたように―――ある。
そこに―――君の隠れていた『部屋の鍵』がある。
といって、胎内から出てきた赤子のように小さな鍵で、生命ひとつであるでなし、所詮は
幻想共有、たまらない寂寥の作用、心の中の周波数。
偶然それを拾うと、ボートの端に美学的欲求を満たした、不気味に硬質なシルエットを連
れた君が現れる、本を捲る音をさせなが―――ら、ぽたぽた・・・。
それは死の耳鳴りや、亡霊のざわめきだったのかも知れない。見ている、感じている、その
意識はもう何処へも行かない、だって白魚の腹は毒を抽き出られた蛇のように無音の向こう側
にある。無様にえぐりとられた世界の空洞で、こんなことは別に珍しいわけじゃな―――い。
心が透けてしまいそうな気分でボートを漕ぎながら、不思議に冴えた意識を望遠レンズのよう
にして、このけだるさ、この罠のような鈍い夢の色をまぜながら、夏の夜の夢は更けてゆく。
だらりと前髪を垂らし俯いた少女のその手を止めないで、話しかけないで。
風になぶられた柳のように、身を任せて、他界の景色を眺めよう、奇妙に感覚的な働き方を
するこの眼球は明晰夢と深い関連を持つのだろうか、否、観念的なものや即物的な物の考え方
などに僕は興味がない。僕はこの不思議な調和に絶えざる流動や波動の奇跡的な形態の不思
議な一刹那の泡沫を感じた。一切の形や、意味や理由などことごとくすべて虚しいもの、内か
ら外へとゆかない僕の言葉が、引っ込めた舌先と諦めのはての無表情を作る。
もう誰も邪魔をしないから好きなことをしていいんだよと僕がそう思った時、世界はしずかに逆転
をはじめ、繭の中へ、はじまりの靄の中へ還ろうとした。人間の能力の限界が、柔軟性と飛躍を
もってしても、ぎくしゃくとはずみだす、この舟のような動きを作る。秩序と法則の矛盾した折り合
い地点にだけ差別や偏見が消えた場所がある。その消失点の名を、真実と呼ぶのだろうか。
―――岸へ着けば、何事もなかったかのように歩き始める、頭からつま先まで、白くて黒いこ
の道を、雨上がりの緑と、黎明の気配をさせている青に染まりながら、僕はイメージや行動や癖、
その言語や思い込みを知らされる、何もなかった、僕が何も語らない限りは―――。
眠る女よ、僕はあの舟の夢を、一度たりとも忘れたことはない。
鮮やかに傾いた陽射しだったから、
道に迷いたいなと思った。
世間からはみ出した救いのない、
無能者や堕落者みたいに、
何処にいるのかわからない、
何のために生きているのかわからないという、
恐怖や幻という罠の糸をあえて、
絡み合った枝の中から風船の糸として、
見つけたい。
説明不可能なことには、
わけのわからないことをするのがいいよ。
説明は経験で補うしかない。
答えが透視できなくて、未知を謳歌する、
そんな現代の一齣でも、
認知を拒んでいる要素は、
きっとそこにある。
古い有刺鉄線をくぐる、
麻酔をかけられた、
死んでゆく小鳥、
それが遠くへ消えてしまっても、
心の奥でずっと忘れない、
だって僕はいつのまにか、
その小鳥の感情の中に入っていたからだ。
jigsaw puzzle
「理性の眠りは橋の上」
KAMOME STUDIO
開かれた世界
ぞろぞろと傾き傾き遠ざかってゆく。
何かにゆるゆると運ばれてゆくように、
濃淡の幽かな変化までも見のがさず、
深淵の泓澄たる妙趣。
(―――あの、タクシー会社の車種、
トヨタクラウンセダン・・)
さまざまな物の姿がしみ通って、
(・・・はしご型だった横断歩道から縦線が消え、)
時おりの心のゆらぎを示す花や鳥の姿、
フォーム、システム―――リアリズム・・。
覚束ない虚視の妙趣。
(あの看板の文字、GNーきんいろサンセリフ、
あの看板の文字、コーポレート明朝)
あの―――エーテルの波動、
水銀を璃として玻として、
堪積する余情の源泉。
薄い膜の中の微細な縞・・・。
(「島」なのだ―――『島』・・・
腐気と厭味と生煮とを離れた―――)
(ベルトコンベアーに運ばれてゆく未来の道路、
そんな妄想がねじでも巻くように、
ふと思い出される)
*
When a soft-boiled
egg breaks
音楽を聞いてるふりしてましたけど、
実はあなたの心の中を覗いていました。
過去がうつしだされるスマホで、
あなたの弱み、情けなさ、みっともなさを。
*
一八七一年、地中海沿岸のエロー県の港町セート、
父方の祖先はコルシカ島の船乗りで、父もコルシカ生まれ、
母親はセートに駐在していたイタリア領事の娘。
ヴァレリーはそんな風に生まれた、
船や海に憧れながら、
「風立ちぬ、いざ生きめやも」
「我々は後ずさりしながら未来に入っていくのです」
優と聖と美とを備えた選択、
人心の最奥を貫きて純乎たる高等進化を促す、
『雷鳴の一夜』
アンドレ・ジットや、
ステファヌ・マラルメのいた『火曜会』
その詩の奥底には、
ヴェルレーヌやランボーやボードレールがいた。
ユゴーもいた。
象徴主義の精を受胎して、
深幽と清楚のうちに戯言を深めた、
否、『方法』を求めた。
純潔な魂の履歴は、
二万六〇〇〇ページに及んだノートによる、
のちの『カイエ』
僕は何も彼から教わらなくて、
一切の教養とは別の言葉の癖を学ぶ、
胃の腑へ届く食物が消化されていった、
藻を喰う魚の蜜月のあと、船は岸を離れた。
*
罪と罰は「天才と凡人の思想の物語」で、
曰く、一つの微細な罪悪は百の善行に償われる。
その背景には、ドストエフスキイの体験がある。
借金、貧しさ、シベリアの労働体験。
ギャンブル狂い―――そして、
キリスト教的な人道主義。
この作品は「神はいるのか?」「罪とは何なのか?」
を書いている。
ちなみにラスコーリニコフは『分裂する』という、
ロシアではまずいない名前。
そしてソーニャの本名はソフィア『知恵』
ポルフィーリィーは『刑事コロンボ』のモデル。
金貸しを殺し、偶然居合わせた老婆の妹も殺す。
予審判事ポルフィーリィとの、
緊迫した腹のさぐり合い、
一八六〇年代の夏のペテルブルクの風俗画、
愛と心理的葛藤。
小林秀雄は
「ラスコーリニコフとは孤独の化身である」
と述べ、ミハイル・バフチンは、
「従来のモノローグからのポリフォニー理論」
を打ちたてる。
―――ニーチェの発狂とラスコーリニコフの夢。
六六六とアンチキリスト、グループ化、
旧約聖書と新約聖書―――楽園を追われた物語・・。
*
叱るというのは『歪な人間関係』を前提とした言葉で、
どうもそこには『脳内報酬』と関係がある。
―――流動する立体感、勧善懲悪、水戸黄門。
複雑にとらえられている角度や線による、
『商店街の看板の交錯』みたいだ、
「犬に電気を浴びせるセリグマンの犬の実験」
と、そこから導き出される『学習性無力感』
僕は、フランツ・リストのことを考え、
指が六本あったとかいうピアニストの、
激しい打鍵を考える。
アントワーヌ・ヴァトーの、
《シテール島の巡礼》は素敵な作品で、
時々人間ってこういうもんじゃないかと思う。
立体パズルでお城だって作れる、
僕だってキャラ弁だって作る、
明日は僕はユニクロへ行こうと思う、
無印良品で喜べる僕の巡礼だ。
*
こっちおいでよ、
動物たち。
ノアの方舟を襲った雨のような時間が終わって、
あるいはタイタニック号かもしれない時間が終わって、
たくさんの動物が集まった。
ギュスターヴ・クールベの《波》や、
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《氷の海》。
気が付くと、外からの刺激に対する、
反応の速度が遅い、
無関心や無表情に無言、
何を考えているのかもわからないし、
そもそも何も考えてない人かもしれない、
―――脳に電流を流す時代が来る。
ネタばれCHECK、映画館で携帯をいじりたい、
興味がないものは倍速か、一・五倍で流したい。
ハーバード大学の研究室での脳電流治療をうけると、
十万円前後。Alpha-Stimという六〇〇ドル、
約四万六千円くらいの脳電流装置。
脳の見える化、脳と機械をつなぐIT化、
テクノロジーによる人間拡張、
それはつまり、世界の見え方を変えることだ。
サイバー空間やフィジカルな空間で、
行き来する人達。身体改造カルチャーの最前線。
きっと国境が見えるほど、
この狭い島国にたくさんの国が立ちあげられる、
まるでストーンサークルだ。
ピラミッドは面白い、九十九パーセント、
どんな風に作られたかの理由はわかっていても、
どうして作ったのかまではわからない。
宗教って千年以上経つと、
儀式や伝統もなくなり、行為だけが残る。
二〇〇四年にイギリスで行われた専門家五〇〇人による投票で、
「アート界に最も影響を与えた二十世紀のアート作品」の第一位は、
マルセル・デュシャンの『泉』
*
It's got
the word
"atmosphere."
膨張する記憶って言うんだ・・・ガラス・・・JR駅名表示の時刻表・・・汗。汗が“どうして僕等が海の水が飲めないんだろう”ということを思い出させる・・・、未知への層、脈動する突然変異・・・隔世の太古の息吹、木の葉が静まる、『畳む=タタム』宙に舞った、『くつがえされた宝石』・・・置き換えられてゆく人や風景。電流を浴びたらどうなるんだろうとか、魚の言葉とか・・・物質的な介在、ネオ・プラトニスム・・・そんなのを流線型のシャープな車体となった電車の中で考える。落とし穴、そう、陥穽は色んなところにあって、『江戸時代の地図と現代の地図を照らし合わせる』・・・好き勝手に作ったから無茶苦茶な道路が出来上がったと思うけど、いや、それはそうだけど、意外に合致点、接触点が多い。富士山を夜に見たら水墨画の世界だけど、それが何百年、もしかしたら何千年も変わっていない景色だ、みたいな・・・グーグルビューで五分ぐらい、知らぬ風景見ながら、都市景観における美的要素のなさ、保存性なんかを考えた。などと・・・いうような、ことを、本当に実践しているのに、外国の建築でめちゃくちゃ面白いのがあって笑ってしまう。斜体とか、キューブ状とか。肯定と否定って多数決で、そこに一つにキーワードを与えるだけなんだっていう気がする。その向きでは電線はどうだろうとは思うけど、いまでは日本の電線は世界に誇れるアニメーションの記号だ。地下に埋めたら、あるいは、電線を何らかの手法で「見えなくする方法」を誰かが開発したら、今度はそれこそ都市景観を歪める。パズル・・・それは、故郷、原風景とかいう郷愁なのかもしれない。ねえ、アメリカは広い庭だけど、だってあの人達、州をまたぐ親戚の家へ、十何時間ぶっとおしで走り続けるオーマイゴッドな世界。王道だけどね。その道筋の意味の啓示から来る反映に照り輝かされて、昨日生きていた人を忘れてゆく。その淵の中に、彼等と、そして彼等を継承していた様々な表情の俤を自分に見出す。イメージの橋に奇跡とかいう随筆的哲学の夢のような記述をして、煙する、何かの角度を感じた・・・スケッチが触れた・・・。
*
ユーチューブ観てたら、
オススメで出てきた牛の着ぐるみした女が、
やたら自信満々に意味わからんことを、
言っていて、でもツボった件
こんにちは、そこのお嬢さん、
今日もミルクが美味しい。
わたしは、あなたを、
ミルク漬けにするために、
このような動画を撮りました。
ニコニコ動画のネタとは違います、
彼は上半身で裸で踊っていて、
父親が入ってきて殴られて、
次の日、ファミレスかどこかで、
「大人になろっかな」と、
言っていたけど、
大人になるんじゃなくて、
「ミルクになろっ!」
そのさ、
「おっぱい大きくしよっ!」
それがタイセツ、
それがトリセツ。
ウーマンリブ、すげえワカリミ。
男女雇用均等法、まじセツジツ。
でもさ、
「牛って世界で一番可愛い、
生き物」だと思うんだよね、
某詩人が絶賛してた、
「アーモンド形の瞳でじっと見つめ、
いきなり放尿を垂れ流す」
ぐれいとっ!
そこで、それしちゃう、可愛さ。
「ミルクさいこーっ!」
フィードバックループ、
はたせるかな、
アメージンググレイス、
「あなたは人生に負けてない、
ミルク飲んでないだけ」
筋肉大きくしよっ!
毎朝習慣、風呂上りにとりいれよっ!
「ミルクさいこーっ!
もーもーくらぶ!」
*
Bad girl,
hold your ambition
魚の鱗のように続いている日常が、
扇風機とテレビのスイッチを入れる。
ロココからキュビズム、その洞窟の中の心。
夏、少女はガソリンスタンドを、
錆びついた門を、美しいと思う。
戦後サブカルチャーとゲーム的リアリズム。
土地から大地へ魔術的意匠。
窓硝子へと振り下ろされた、
ハンマーのように粉々に飛び散った、
声や言葉の行方を知りたくなる、
そこが砂漠の核施設アル・キバルでも、
バチカン機密文書館だとしても。
プレイヤー・ピアノと、
傍観する意識。
オートマティック・プラネット、
君は世界に属しながら世界ではない、
この嗜癖する社会をどう思う、
横須賀、鎌倉、不思議な響き。
グーグルの写真でアメリカの土地を見た、
フィッシャー・ドン・デ・ラ・ミア、
着陸前の飛行機から俯瞰した景色そのまんまの、
ミニチュアの世界。
飽食、肥大、増殖。
飽食、肥大、増殖―――。
記憶を洗いながら呼びあっている、
胸の火、懈怠を嗅げ、
やがて奇しき眞洞ありて、
宇宙の闇へ夕暮れの扉が開く、
鯨の文化に竜の文化、
宗教の発生、隕石と巨石信仰。
知能ロボットにも似た本能。
生命という記号と植物の図形。
僕はピーター・パンとウェンディについて考える、
本が崩れるカラヴァッジョ。
遠い遠い昔、
嘘偽りなく僕は未来を予言することができた、
でもいまはそれができない、
でも僕はその到来を期待した。
新しい時代のエミリー・ディキンソンは、
狭い意識の中で創造する神経の一本を見つける。
新しい時代のシルヴィア・プラスは、
狭い意識の中で物質的な亀裂とその瞬間を見つめる。
*
主エンジン制御器の電源回路ブレーカーが背後に配置され、種々様々の管や紐が蜘蛛の巣にならないように収納されたコックピットは、精密機械であり、キャンディの包装紙から、鰐のようにパックリ口を開けたエイリアンが出てくるようなものだ。前面に電子化された航法装置や通信装置、空調装置、ならびにエンジン制御装置がある。ドッキングシステムや、各種警報システムの情報。宇宙空間においてきわめて重要な役割を果たすレーダーは、ありとあらゆる障害を回避するための命綱であり、透明なビューポイントで点滅する。ライトのオン/オフをする時、内臓の消化液みたいに宇宙空間の塵へ放射される。レバーやスイッチ類は誤操作いわゆるヒューマンエラーをふせぐための人間工学の知識によってたくましく緻密に採用され、かの昔は勝手に増殖するという都市伝説を生んだほど氾濫した。賽銭箱みたいなもの、四角の容れ物にモザイクを詰めるうえでの彩り。この深い穴の底のような、修道院のように裸のその部屋は死んだ細胞だ。フライトデッキ、ミッドデッキ、ロワーデッキの三層になっている、宇宙船のコックピットにおける水に映る投影、霧に包まれた城の、最重要部分―――中枢。暗く光る廊下、ネオン管みたいなディスプレイには、燃料、油圧、宇宙船内の温度、電気、フラップ情報、システム関連などが表示される。船内設備のトイレ、個人所持品ラック、座席の詳細。緊急事態の時の、自動製造工場のベルトコンベアーさながらの警告やメッセージもこのディスプレイに表示される。ほかにもキーボード入力によって燃料の搭載量や、機体重量および航法データの入手、機体面の裏を這っている配管構造の図から、構造図解まで入手可能。一切合財が見境もなく放り込まれている牢獄のようだが、不均整な繊細な建築物が全身を開陳しているように、目的地までの時間、距離、自機の位置をチャートなどで、豆幹を火にくべたようにぱちぱち電子化されている。それに加えて、花形、二枚目とでもいうべき馬の蹄のような操縦桿があるが、これは全自動運転への切り替え時に重要な役割を持ち、それまではお飾り、停電や故障したときなど、緊急事態に備えた予備計器も用意されている。ほかにも、ランディングギアの展開/格納。宇宙空間に漂う物品を回収するためのカーゴスクープの展開/格納。ロボットアーム、無線アビオニクスとインターフェースも実装され、宇宙における放射線被曝について調べることもできる。
*
kite-flying
高知県の「土佐凧」―――。
忍術書の『甲賀隠術極秘』(芥川家文書)・・、
横山光輝の漫画、
ベンジャミン・フランクリンの雷雨の中の凧揚げ、
ガザ地区に居住するパレスチナ人が、
イスラエルに対抗する手段の一つとして、
火を付けた凧を飛ばす・・・、
―――ゲイラカイト、
僕はびらびらと舞い踊り、
左右に釣り合いを保つみたいな凧を見ている、
笑い声が上がる、
子供たちが楽しそうに夢を上げている。
*
「圧迫面接」
ときどき、
中身が出たり、
出たり、
『死んだ』り、
します。
*
みんなふくざつです、
しょうじきなことばです、
脱・純愛
誤解しないでください、
百パーセント勃 起してました、
あなたの身体目的でした。
でも、結婚したい、
自分は風 俗でなんて嫌です。
家事洗濯ロボットなんて、
とんでもない、あなたは、
僕の股間を最大膨張させます。
「俺の肉 便器になれよ」って、
漫画の台詞で、
死ぬほど感動したんです、
ひどいこと言ってます、
けれど、生活していれば、
誰でも喧嘩する、仲良くする、
無理もする、嘘もつく、
でもだから最初ぐらい、
正直でいたい、
胸大きいなお前。
*
詩人の焦燥
真夜中、骨牌がぐねぐねして、
捻転ちっと、シた、蛇、デ。
瞬時の夢の装飾に彩映ゆれ。
腐った林檎みたいな電燈一つなく。
動と静、立体的な奇怪な、
鏡に顎をつき出すがごとくに。
鬼魅悪い緑青色、弾力みゆく、
縄文土器のような模様のうち、
衣擦るっと、シた、舌・・。
蜜器。
黒熱に膿み爛れ、
蒼白い脂の滲み出たように、
ジタジタ、シた。
衣擦るっと、シた、舌・・。
静寂の法に帰依して、
異国の夢が護謨した、
隠遁性と柔軟性、
孤独な腐れ水が、タラり、
絞首るっ、と、シた、
真夜中、僕の声は聞こえない、
朦朧として無限と、
冥府へとつらなっている闇ばかり。
*
Peek into the bright city even at night
*
煙草をふかしながら、
お前の顔にかけてやる、
プレイを妄想する。
*
このヒト、
馬鹿なんだろうな。
でもそこを、
ぼくは優しく、
許したい。
*
子犬が世界チャンピオン
みたいな顔をしている。
*
The world just flows without me
蝉
生命燃える樹木、賑やかな賑やかな緑濤、
蝉の歌はこれはもう何かの符号化、
立体化みたいなもんで、(で、)
メロディアスなぐらいに扇情的な眩暈なんかがあって、
視覚と空間のねじれを鑑賞者にもたらす潜望鏡、
金属楽器的発声に跳ね返るコンクリートへ、
小さなオカリナみたいなフォルムの、
情熱的なアルト・サックス。
認識域のドロップスケールの隙間に上昇気流、
“音楽ってウィルスと類似した、
感染拡大パターンを持ってる”って、
そうかもしれないわけですが、
子供の笑い声、
君の手を握るよ、
「やがて誰もが死にゆく自分を愛するだろうか?」
なんて思いながら、
数兆匹もの群れとなって地上を覆い尽くす周期蝉みたいな、
暗号解読、
アイスクリームやアイメイクなんかに使ってるのかなあ、
脱殻をアーティスティックに眺めている僕自身の、
甘さ、嬾のうい弱さ、
それゆえの引くに引けない素直さへ、
異議申し立て、フラッシュバック、
そしてまた例の如くのモノローグ。
夏の空は剥離しそうな、(な、)
僕等の頭蓋骨に響くな、
浮世離れした超音波、
生きてるって色んな感じ方を覚える、
イタコの魅惑的な詠唱だって、
パチンコの喧しいけどそれらしい応援ソングで、
やたら叫び声が多い暑苦しい日本映画を想像しながら、
森の道を歩くエレクトリックサウンド、
山の道を歩くエレクトリックサウンド、
いつかやさしい風が吹く、
(吹けば、いい―――)
蝉の声が溪谷や小川や田圃に谺する・・、
松尾芭蕉といくつもの鉛筆の雑木林のなか、
僕等の熱さがその行為と一ミリも違わないように。
現代的な軽さと魅惑的な不穏さは同居しながら、
「直感的」で、
(タイヤには車体の重量が掛かっている、)
「軽やか」で、
(幼くて事情が分からず、
遠慮もなしに聞いてくる子どもみたいに、)
「衝動的」だと称揚するけれど、
誰もが世界一のプレーヤーになれるわけではないし、
多様な見方の余地を残すクローズアップ、
“二十五倍速で流れる蝉の脱皮”
僕等は時代の声を認めながら歩いてゆくのだ。
多分明日も明後日も、
そうだ明々後日も僕等が直面する、
分断のひとつへ過渡期、進化論、微妙な心理は、
そこが天国や地獄にでも近いような、
ひやっとした感じを与えるけど、
めまぐるしくおもいめぐらせてみるんだ、
(これもセラピー効果、
幸せな気分になるなら九分、
悲しみから解放するには十三分間、)
なんてそんなことわかりゃしないわけ、
わけ、ですが、ね、
秒針の先端で、一本の睫毛がバランスを保つみたいな、
そんなシンプルな難しさへと一寸先は闇、
一筋の光が交差するような、
スクランブル交差点―――都市・・・・・街へ(へ、)
*
人間と機械
まず、そこに「機械」というものが結晶する。そこに動く、働くという仕組みがあり、
それはいずれの日にかに、『嗅覚』や『味覚』を備えるという言い方もできる。
機械は労働時間を短縮し、二十四時間休まずに稼働することができる。
しかし、故障や不調、原因不明の問題もあるだろうから、それはつまり、
ほとんど【人間】であるという―――言い方もできるが、これは嘘だ。
だって人間なら、分解するという言い方はしない。
ねじや釘といった部品になるという昆虫や爬虫類の特徴と、宇宙人の性質を、
持ち合わせるはずがない。けれども、機械はデウス・エクス・マキナや、
バタフライ効果を想像させ、超感覚世界における飛び石のように、
あたかもその空間のさまざまな地点に時間の破片が落ちているのだ。
「生命」=命」「感情=心」をもし、『動く=動体』によって定義するのなら、
本当に何もかもが生きているという言い方もできるかもしれない。
風で物が動くというけれど、それはフェアではない。
何を根拠にしてあなたはそれが正しいと定義したのか。
もしかしたら、物が風を動かしたという言い方もできるかもしれない。
人工知能(AI)の性能はますます高度化し、
タスクによっては人間の能力を超える。マシンラーニング、アップデート。
いや、多元的知識領域の中では常に反復される検証が必要だ。
複雑なことをする方法を学び、学ぶためのサポートと次のステップを示す、
機械は「共同作業のパートナー」や、『仕事を支援するためのツール』
それに―――大筋で反論はない。
ただ、僕は時々、本当に変なことを考えるのだ。
検索万能主義を支える土台であるアルゴリズムや、遠からず素数があり、
黄金律や、宇宙的な、あるいはまだ発見されていない法則がある。
それは確実に存在するだろう。
いくらかオカルトやSFめいているけれど、機械に魂が宿る可能性はないのだろうか。
首から上がない鶏のように、どこからともなく生まれてくる可能性は、
本当にないのだろうか―――もちろん、われわれは、『機械』である。
*
I like to run and life is nonstop
走るという原始的な、
その行為に、
神経信号の、
デモンストレーションが、
始まる。
わかるものか、
何千キロも走りたい、
この道の先。
*
(People's feelings may not change...
ある日
(「時間」)・・・(考え方の変化を促すけど、)
君のなかですべて
嘘になったとしても
*
沈んでゆくのは何故だろう、
暗い気持ちで懐かしい童謡を口遊めば、
見えてくる、
命の震えや揺らぎを内包した、
星が見つけられてゆく時間の経過。
風景の中に溶け込んでしまう、
言葉には、
自然の見方を変え、
人の心を変える力がある、
けれども町の灯りがともって、
物悲しい、さみしい、やりきれなさに包まれたら、
言葉は、金魚や林檎、卵。
流動的で液状の形をした、意思を伝達する、
秩序が生成する自由、人の弱さ、それでも、
ゆうぐれ祈る君らの遁走曲。
でも笑わせたい、
真っ赤に眼を腫らした、
悲しい瞬間、
でも悲しいけれど温かい、
壊れかけたいまいる僕等の世界のその場所から、
現実に関連する経路をかろうじて構築する、
打ち捨てられたおもちゃみたいな景色は、
傷ついた廃墟の顔を見せながら
廃墟じみたものがなしい景色は、
場末の、郊外の空間へと舞い戻り、
君は君で、
元の人生における自分に戻ってゆく。
かつて存在したすべてのイメージが、
道の延長ではなく、
その場にとどまることのできる、
凍結や停止を望んでいる一瞬が誰にでも、ある。
それは恥ずかしいことじゃないんだ、
何かを目の前に提示されたとき、
それが持つ情報に働きかけ、
何らかの理解を導き出すためにさまざまな方法を試みる。
その屈折じみた二重の空間、
あるいは様々な次元で自分を寄り添わせながら、
物、風景、風の匂いが混ざり合って、
人生のあるがままの姿が甦ってくる、
あるいは壊れてしまうまで、
すべてがすべて元通りにならないことを知るその日まで、
真実という概念に根底から揺さぶりをかけるように、
ほどけそうな人の心の奥をじっと見つめてる、
でも、もう日が沈んでしまったから、
そろそろ帰ろうよ。
僕等はまだ出会ったばかりみたいに、
時々すごくぎこちなくて、
でもなんだかそれが幸せなことなのかもって、
息を詰めながら少し考えていたんだ。
*
夜と別れ。
哲学と詩。
時間と音楽。
完璧な絶望。
*
お姉さんはかなり変で、
頭がおかしくて面白かったけれど、
この町で一番眼が澄んでいた、
僕の初恋の人。
百円あげたら、唇奪られた。
*
Dance
Dance
*
●数年前は小さいぬいぐるみのようだった
従妹と話す時知るこの子超毒舌だと
お兄さん、無職なの? あ、ごめん。つい。
その。気になって。やっぱり。ニートかなって。
働く気がないの? それとも、働いたら負け?
でもあたし、部屋借りて、ひとり暮らしを。
したい。あ、働いてるんだ。ごめん。
でも、なんか、髪ぼさぼさで長いから、
てっきり三十になってふらふらしてる、
ニートかなって思ったの。清潔感タイセツよ。
ヒゲそって、きれいな服着てたら、
モテるもの。最終的にお金あったら、
フケツでも大丈夫だけど、お兄さん、
二枚目だったらいけるけど、
それほどじゃないものね。ごめん。一言多いんだ。
でも思ったことをつい言っちゃうんだ。
いけないと思って反省するけど、口から出るのよね。
でも、お兄さん、やさしい顔してるよね。
あ、フォローじゃないよ。ほんと、ほんと。
いい人って、むくわれないんだよねえ。
*
ハサミ、ハサミ、
渋滞なく動く塞ぎ處の、
楊幹麻筋とした鋏。
反射的な幽冥界を握る、
指先が寝覚めの床を。
交錯する動作。
V字型に開いて、
赤銅色の蟹のように閉じる。
定規でも引いたみたいに、
真っ直ぐに進む。
かちん・・・・・・。
じょ―――き。
鋏が濃密な平和で。
穏やかなもの。
みだりがましさを。
鮫の腹色のうちに冷然と。
(うすい頬に恐怖の血の色がのぼる、
―――てらてら、)
そこに映る光を。
切り裂いてゆく。
高枝切り鋏と。
電動鋸とが合体する。
(鋭敏さを皺のように残す、)
ゾンビへ・・・・・・。
ああ、棘を含んだ愁いのある夢。
[鍛造技術や熱処理技術の、
基礎になっている知識は、
古来から伝わる鍛冶の技法]
テッポウエビが発する、
プラズマ衝撃波―――。
それゆえ。
それゆえ、なのだ。
「まだ探索されていない領域は何か?」
(持ち手の親指を入れる、)
それが、熱病にでも罹ったような、
不安な指先。
白鼈甲、蝶の展翅の触れ。
下顎骨の張った頬のあたりの痙攣。
かちん・・・・・・。
じょ―――き。
*
ドライブ
透明人間に免許証はない、
ステータスの車もない、
だから駐車場の車を借りる。
そして走り出す、最高の気分だ。
街でサカリのきたメスを引っ掛け、
煙草を吸いながらビールを飲み、
セックスして、
最後は海に捨てる。
これが明日はない若者。
これが若者のアウトロー。
最高の気分だ。
警察は僕を止められない。
世界は僕を止められない。
最後には女を殺して、
女の保険証で金を下ろして、
街から街へ旅をする。
新鮮な風、見知らぬ街、
生きてく意味が見いだせない、
そんな僕等に、
社会に縛られるものはない。
*
ハンバーガーショップに寄ってから、
犬の態度がちょくちょくおかしい
動かないよ!
やだったらやだ!
でもさあ飼い主よ、
次に何するか、
わかるかな。
取引をしよう。
飛びかかられて、
一緒に帰るか、
どうするか。
かまわないんだぜ、
ずぶずぶの、
どろどろでもな。
*
快速バスを導入した最適バス路線網計画、
現在ある停留所と路線啓作による最適解を割り出す。
利用促進のための行動意図法による潜在需要分析。
またその実態把握と評価。
たとえばそれをスマートフォンを使った、
バスロケーションシステムの走行分析で、
クリアできないだろうか?
バス優先、専用レーン、優先信号、バス車両改造。
乗降者数データと運行実績データを用いた、
バス到着時刻予測手法。
ぷしゅう、と空気の抜けるような圧縮空気の音がして、
走り出す。ドアの開閉や乗降時の車体傾斜などでも使われる、
このバスは三菱エアロミディ。
全長九メートル、総重量は約十一トン、定員は五十七人。
トランスミッションは五速FCT。
*
Dreams that don't fall Fly in the sky
*
とある日の夏
買い物かごのついた婦人用の自転車
母が使っていた自転車で
乗るとサドルが低くペダルをこぎながら
三輪車を思い出す
電動アシスト自転車とはちがう
でも風は未来そのもの生命そのものである
樹木が落とすやわらかなかげりが身をそめる
夏はもう来ていた
*
When humanity is gone
明るい街の景色には、
不思議な幻想が、
充ちている、
そのせいかも知れない。
僕は想像する。
世界から人類がいなくなるとまず、
電気が止まる。
水が止まる。
石油の精製を行う設備が、
機能不全を起こし、燃え始める。
ロンドンやモスクワ、
ニューヨークなどの地下鉄施設は、
水没する。
冷蔵庫の食糧が腐り始め、
飼われていたペットは餓える。
核施設で核爆発が起きる。
この影響で畸形や寿命短縮が起こる。
一年後には、雑草まみれになるし、
鳥の糞に混じった草木の種子で、
経年劣化したコンクリートの隙間からも、
建物にも植物が生えてくるはずだ。
そこに草食動物が移動して、
その草食動物を求めて肉食動物が移動する。
この間に、人間のコバンザメだったゴキブリは、
冬を越えられずに死ぬ。
二十年後には都市で火災が起きる。
避雷針の寿命は二十年といわれており、
雷が落ちる。釘や鉄のある橋は錆びる。
七十五年後には、
残った家屋にネズミやトカゲが住む。
森に近い家ならムカデの住処だろう。
南アメリカ原産のホテイアオイは、
上海の水路を埋め尽くし、
コーカサスや、
中央アジアが原産の、
ジャイアント・ホグウィードは、
ロンドンのテムズ川の堤防を這い回る。
一万年後でも、
ピラミッドや万里の長城は残る。
逆にエッフェル塔や、
エンパイアステートビルは残れない。
プラスチックやタイヤはどうだろう、
これがまだよくわかっていないらしい。
三万五千年も経つと、
産業革命で汚れた土壌が回復する。
六万五千年後には、
二酸化炭素のレベル、
人間が誕生する前のレベルに戻る。
それでも人間は地球の地質に、
永久的な痕跡を残す。
劣化ウラン弾の放射能がなくなるのは、
四十四億年先といわれている。
そこでは誰も隕石の話もしない、
大地震や火山噴火や津波の話をしない。
宇宙人の円盤が降りて、
現地調査に乗り出すのもその頃だろう。
*
マンガのなかに入って
しまったみたいに
一日が終わる
*
May the happy and happy days continue
いつもの場所で君を待ってる。
幸せな夢から目醒めた朝のように、
声が聞きたくて、
目に見えない大切な物は、
日記に鍵を掛けるんだ、
彼女はいつも遅れずに来る、
このストーリーは、
ハッピーエンドになるとは、
限らないけど、
コマーシャルなしに始まるし、
人間はいつも色んな顔を、
見せてくれる。
好きをダウンロードしよう、
楽しいや嬉しいを、
ファッションにしよう。
本当に大好きな人に、
素直になれるように、
写真や絵にして保存してみよう。
頭の中にパラシュートがあって、
心の中から潜水艦が浮かんでくる。
一日一日って、
最高をプレイするものじゃないって、
絶頂をレッスンするものじゃないって、
いつのまにか決めつけてる、
でも君の眼は望遠鏡や虫眼鏡だよ、
本当にそう思ったら世界は変わるはず、
君を見ていて気付いたんだ、
待ち合わせの場所に僕は立っている、
笑顔はいつも素敵な感情を目醒めさせる、
地下鉄でも、スクランブル交差点でも、
いつも隣に大好きな人と。
*
Talking play
みんな好き勝手、ぺちゃくちゃ喋る、こんなところでは、
奥歯で噛みつぶした癇癪玉だね、お茶の子さいさい、
玉砕、七転八倒、承認欲求のダンスフロア、
スイッチ一つで秩序崩壊、だけど放火魔の気持ちわかるよ。
退屈な闇の乱世へうやむやなマシンガントーク、
今日も、ちゃっちゃ、ちゃらちゃらちゃーでいっちょ上がり。
考えちゃいけない、考えたら負け、不条理、矛盾、考えるな、
突然おどりだす友達A、にこにこしながら毒舌ふりまく友達B、
ヨガの有用性を語りだす友達C、はにゃらほへーいってる、友達D、
えろいむえっさいむ唱えそうな友達E、
今日の夕食何がいいと聞くが、誰もこたえくれない、わたし。
気がつくとわたしのスマホがバキバキ、猫が外へ出ていったまま、
帰ってこない、がんばれと言い残したような顔が印象的だった。
誰か助けてよ、マジ病むから恋人にメールしたら、
「ごめん、いま、セパタクローしているから」
「セパタクロー?」
落ち着け、一緒に踊ろうよと言う友達A、
芸能人の整形手術について語る友達B、
ヨガとストレッチを合体させた新エクササイズを実践する友達C
はにゃらほへーがスウ・・・スウ・・に変わっている友達D、
近頃は黒魔術と言い出す友達E、
頭に角はえてる人が突然まざりだしてる、黒山羊っぽい誰か。
あーもう、ちゃっちゃ、ちゃらちゃら、しぇーでいっちょ上がり。
*
牧歌的な天国の
ような草原
Idyllic heavenly
meadows
*
神様、めっちゃおねがい
わたしの決意は
ダイヤモンドより硬い
猫になりたい
*
迷言
人生で一番大切なのは、
お金だろうか?
その通りだ、
うんこしたあとにケツだって拭ける、
たくさん持っていたら、
焼き芋の時の新聞紙の、
かわりにもなる。
まったく金ってやつはすごいぜ、
天下のまわりものだぜ。
そして世界で一番、
よごれているのは、こいつだ。
金の話をすると頭がハゲる、
俺はそれ以来ちんこの話しかしなくなった。
何者でも、
言葉を捲る。
意識は思考や、
感性のメカニズムへ。
テイクミー
植物の穂先にしたたる朝露が、
水面へと落ちるように、
様々な感情を媒介して、
夜の月の匂いがしたらいい。
ファロスカッターインムーンダンス、
僕の心に流れ星が来て、
後ろ向きの反復を誘う、
このシーソーが衝動の仕掛け、
眼であり、鼻であり、口という絡繰り。
奪わないで欲しかった。
まだもうちょっと、
ファロスカッターインムーンダンス、
滑らかで明るい自我の痕跡、
僕は花粉を原色の海で見た、
僕等あたらしい花を探してた。
いまじん
おんざぴーぽー
駄目だこりゃ
VSロミジュリ
andエイリアン
―――そして東の空
The distant city is a burnt field,
so I want to keep the machine gun
そろそろガソリン
を入れたい僕は
マシンガン片手に
ズダダする。
この街も、
この世界も、
力だ。
そんなわけねえよ、
いや、そんなわけねえよ。
でもじゃあ、
何故君は黙ってる、
ああ
何故僕等こんなに、
孤独なんだ。
*サイケデリック音楽を聴きましょう
shadow
夜の風が遠近感を狂わせて、
キュビズムみたいに見えた、
少しズレた次元で、
君は確かめたい。
イメージは移動する。
思考の線や観点の不連続性。
まるで回転面の集合、廻り舞台。
抽象主義の隠蔽。
この呪文のような催眠術の中で、
廃墟と化した路地が出現する、
―――夢のように。
顔がコワい
おう、飼い主、ワシや。
怒ってないで。
怒ってないけど、
お前さっき言うたやんか、
おやつくれる言うたやん、
ちょっと遅ないか、
いや、怒ってないで。
怒ってないけども、
どないなっとるんか、
そこのところ、
聞きに来ただけや。
いや、怒ってないで、
こうみえて非暴力主義やから。
噛むとか、爪立てるとか、
そんなことせんで。
そろそろ
まさか。
あなた。
ひとみがふれあう、
やっぱっぱ。
こころがつうじる、
たったかた。
ふぉーりんらぶ。
ふぉーりんらぶ。
どうですか。
どうしよう。
そろそろでしょう。
そういうきもする。
西へ西へ逃げ水。
半濁音へ釘打つようなトラック。
単純に且つ精細に、この愁嘆のサーカス。
光と空気描きたるフェルメールとは違う、
鋸歯状の花列。
呼応して、連鎖して。
臍の緒切りし擬似記憶。
はや四次元に水母のような霊魂。
耳底に残る機械音の闇。
その夢の醒めぎわに荒寥の砂漠、
後頭部に寝癖をつけながら、
次第に感覚を失ってゆく真綿の寝具は。
いつか灼熱の鉄鋼塊を溶断せる、
妥協なき不協和音の連続。
まだ混濁、まだ泥水、朝と晩へのレッテル。
クラシックになる、スタンダードになる、
逃げ水のなおその先を逃げてゆく、
透明なフィルター越しの老いた木馬、
白き虚空へ。
音楽は感覚に反映する現象。
その言葉は金属音を秘めて、
がんと脳髄を揺さぶり殴る打撃。
一本の樹がある、
前髪を揺する風がある、
持続可能な開発のための教育がある、
千年後も、
眩暈のように瞳の中にある硬い水晶から、
蝉の声が塗りたてのニスの匂いを放つように、
前照灯きらめき過ぐる中に、
渇きを持つ心へ響くように。
いつかの君が世界を愛してくれるように。
これが生命の樹、ユグドラシル、
天までとどく木、如意樹、シダの花。
ありもしないとは言わないで、
それがこれからの目標になる。
たった一本の樹が、
ひとつまたひとつと、ヴァーチャルな断片が縫い合わさり、
ついには現実世界のパラレルワールド版として、
開かれた永続的な場所が形づくられる。
そこに君が立ってる、
何百年どころか何千年も生きられる君がいる、
死は選ぶもので、愛と同じもの、
見つかりにくかった真実を探すために、
僕等は生き続けた。
おにぎりってさ、
お弁当に入っていると困るよね。
そう言った瞬間、おにぎりを持って、
さあパクリといくぞ、これが醍醐味、
というところで緊急停止した・・・
「えーと、どうして?」
「だって、手がきれいじゃなかったら―――」
「な、きゃったら、キャノーラ油で、
その、なんちゃって、みたいな」
えーだって、無理、無理、
絶対に無理、
・・・眼が点になった、彼女、
思考停止している彼女に、
それ以上続ける根性が、勇気が、
わたしにはなかった。ごめんね。
夏の日、雲もさだかな形を失う、
サンクチュアリは、繭の静けさ、
静止を知らない潮風と、
命がじんと冷えてゆく外界は、
偽りの木々の名を記しただけの地図を渡した、
緊張によって強調された、貝殻の夢。
気付いたら風がそよいで、
中空にあり。
地上のうす青い人を天使に変えた。
こちら側の場所まで来たりてあちらから、
教材の昆虫の脚が一本、
何処かへと消え。
腐蝕、それは実存の断崖、
砂場の少年の手は、スクリューパーツ、
犬の前脚に近付いていき、
その眼は溺れてゆきぬ屋根裏部屋のひとり遊び。
正午をおしらせします、
陽射しはそう言って、
溶けるようなスレート、
濃淡いりみだれた鳥の羽根を散らした。
汐を打ち打ち寄せ遠く母を宿す君、
この夕陽は燃え殻、灰、生命の粉末。
じりじりと眼蓋の先へ寄ってきた、
見えざる裳裾が身体に触れて、
今日もまた人々の住む街へと敷物。
明け方の夢はあるのか? ないのか?
はっきりしない、不透明、秒。
そんな疑問が指うごくごと踊り子、
かなしみにおちる指の隙間からおちてゆくの砂。
握りしめたら内部の渦を見せることになる、
なにゆえにこの虚しさの兆しくる、
厚き本ひらきて置かる胸の上。
Winter is over
Winter is over, like a solid old feeling.
The town is a dream without color seen
from the bottom of the clear death in spring.
Come away
It's like a maze.
While seeking light
It will be swept away.
Old dreams never disappear.
I threw myself.
The flowers bloom.
But no one is there.
flower mud
flower mud
flower mud
Immovable flower mud
(「わたしがワルツではないとすれば、
flower mud
flower mud
flower mud
Immovable flower mud
(「わたしがワルツではないとすれば、
つまり花のくるみ割り人形)」
ラムネの玉は咽喉に流れないから、
葉脈は透けていてきれい。
What is this city
What is this city
The frequency of sadness
is a delusion and a hobby
BUBBLE
深海の底の潜水艦のように疑う、
水を、蟹を、魚を。
いつかこの惑星が、
古代遺跡になって、
いつか、
それを語る生き物が、
この海かも知れないように。
(こうやって見える)
と信じて、
(こうやって伝える)
と考えた。
それは[視線/視座]で、
まだ見ぬ僕の聖域。
(「The lines of sight overlap
to form a tread and a door.」より)
Till we meet again
(「写真の中で僕等は尾行する」)
(パラッパッパ、パラッパッパ
浮いて
静沈んだ
何も語らない。
何も語らないでいよう。
喋りすぎて疲れた。
語りすぎることに憑かれた。
面倒臭い。
どうでもいい。
そもそも、お前の話は長い。
息したい。
(「君の口の中に再生」より)
ラムネの玉は咽喉に流れないから、
葉脈は透けていてきれい。
What is this city
What is this city
The frequency of sadness
is a delusion and a hobby
BUBBLE
深海の底の潜水艦のように疑う、
水を、蟹を、魚を。
いつかこの惑星が、
古代遺跡になって、
いつか、
それを語る生き物が、
この海かも知れないように。
(こうやって見える)
と信じて、
(こうやって伝える)
と考えた。
それは[視線/視座]で、
まだ見ぬ僕の聖域。
(「The lines of sight overlap
to form a tread and a door.」より)
Till we meet again
(「写真の中で僕等は尾行する」)
(パラッパッパ、パラッパッパ
浮いて
静沈んだ
何も語らない。
何も語らないでいよう。
喋りすぎて疲れた。
語りすぎることに憑かれた。
面倒臭い。
どうでもいい。
そもそも、お前の話は長い。
息したい。
(「君の口の中に再生」より)
泣いていいよって
緑の毛深い
森
で
―――この気持ちが混ざり合う、
「ここ」と「あっち」
旅は続きそうだ・・。
風物。
宇宙
自然の問題。
完全。
抱擁される、
抱擁している。
Summer of the heart
血管のなかで
うたうもの
夏の日の根元へ
方向転換
歩け
歩け
液状の金属
頭上 に
眠 る
く、さ、っ、た、
呼吸/息
しずかな羽音
黄色い黄色
白と黒の停滞
PINK