おそろしくスローモウションに
明暗の鋭い切れ方
・・・ふつと切れて巻き返す夜の部屋に
僕の視力が戻る
遠慮なく/思う存分
、、、、、
存在の意味、・・動きの再現
――君が僕のレンズに映つた
蛇口がひらく――気泡
泡(は、)すぐいつぱいになる・・
息のしづらい視感度
明るく/あらはに
いま 愛を語つていた――波間に上衣をぬぎ捨てた月の光
・・・pianoは鳴った
――「鳴らさないで、鳴らさないで・・」
止めないで・・・この一音の連なりが渦を捲く
不安にさせる甲高い音が鳴り響いて夜に呑み込まれていつた
メロディー(は、)いずれ発展し、音階を変える
悲しいほどに、切ないほどに・・胸を乱し て
おそろしくスローモウションに
君の笑い声、泣き声、やり場のない怒り・・
「大丈夫、」――何が大丈夫なの?
大丈夫・・傷付いてない――まだ・・・傷つけてない
それは夜だつた・・誰も知らない夜のことだつた
靄がかった その声は・・・「何処へ行くのだろう?」
――僕は知らなかつた
僕はいつか世界が滅びてしまうように思つていたし
人は理性よりも本能を尊重すると思つていたし
まして・・夜ともなれば・・・
人は人の心の中に匿れてゆく――
――おそろしくスローモウションに
目を瞑る・・まだ消えていない器がある・・・
僕等は何処へ行くのだろう・・愛を信じられない人達は
欲望を いまも うまく・・・信じられない 人達は
――瞳の奥に シャボン玉が見える
、、、、、、、、、、
君にも見えるだろうか こはれやすい命の繊細が