koichang’s blog

詩のノーベル賞を目指す、本を出さない、自由な詩人。

プレイ、プレイ



しっとりと濡れた庭は

その葉を一枚ずつむしりとるかのように

また 

根と根がぶつかって

お互いの水気や養分を奪い合うように

( みずかさ ) が増して行く

みずから・・

   ああ、あんなこともあった、

   こんなこともあった・・

――水嵩は

自分を待ち受けてる思い出を恐れていた

黒い漆となって夜の願望を受け容れていた

凡俗の腸・・たまりにたまったウップン

これからだんだん暖かくなろうよ

  ( みずけら )

    螻蛄が水の中に浮いている。」

    「みずけらは死んだクラゲみたいだ・・

――うまくピントが合わない

焦点がぼやけているせいかおぼろな気持ちのせいか

四つ這いになった犬

眼球の表面を刺激され、網膜にまだらな糸

まばらな草むら、野原・・

「そして俺は――プレイ、プレイ・・

危ない!」・・・

   ああ、あんなこともあった、

   こんなこともあった・・

「そして俺は――プレイ、プレイ・・

月の一部が虧ける

幸福が 我が目の前で 虧けてゆく

庭は感光のプレイ、プレイ

・・・洗濯物に

おおきな窪みがうまれている」・・・

影が うまれている

あの風によって 枝をそよがせている

自分たちの葉を

さらさら いわせて いる・・

プレイ、プレイ

ぷらぷら風鈴が揺れている

   ああ、あんなこともあった、

   こんなこともあった・・