料理の鉄人―――じゃなかった鉄鳥が目覚める(?)
「二郎ラーメンですか? 食べたことはありませんね」
と、市長さんが言ったのだ。
「俺も食べたことないな」
と、魚屋のおじさんがさらに言った。
とはいっても、事前の情報がある。
ボリュームが多く麺がとりあえず見えない。
樹海のように完食へ立ちふさがるバリケード、まるでリビドー、
(しかしリビドーは関係ないと思います、)
とりあえず、丼の底がやたら遠くて見えない、
時折見かける二十世紀は黒の時代みたいなファッション、漆黒、
ゴスロリかと思ったら、コードネーム路線(?)
井戸の底に降りる貞子、あ、ここ梯子つければよかった、
そしてはじめしゃちょー動画的に道を増設する不思議(?)
マリオ土管を潜って水中戦(?)
「・・・・・・野菜マシマシ、背脂モリモリ、
二十四時間食堂トラック運転手御用達、
美味い、もっと食べたい、飽食の時代に訪れた暴走特急の食欲、
それが、二郎系ラーメン―――ダロ(?)」
「かもちゃん、それ違う」といずうさが、普通に突っ込んだ。
、、、、、、、
しかしかしかし(?)
市長さんも知っている、客を育てるといって量を増やしていく、
ラーメンであること―――を。
ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ(?)
あれ先週食べた時、こんなに増えてなかったけれど、
まあいいか、そう言って麺啜る、スープを啜る、野菜を啜る、
飲んでゆく、食べ物の不思議(?)
苦しい、でも食べたい、気が付くと一回り身体が大きくなる、
そして洗脳完了、添加物の街のごり押し的宗教は、
若干ピーキーな作戦だけど、身体は二回り大きくなる(?)
生きる道を照らしてくれる(?)
生きていてよかった(?)
でもスープを飲めとは強制しないこと、健康被害になります。
食べられない時は鍋を持参して駆けつけること(?)
ゲロをかけたような心の汚さを、
ハートフルマインドフルパーティーパラメータで、
逆に突きつけられ気が狂いそうな展開(?)
、、、、、、、、、 、、、、、、、、
残したいんじゃない、食べられないんだ(?)
それはドスコイちゃんこ鍋(?)
「ついには脂ギトギトの一杯が、
和懐石や、フレンチのフルコース料理に匹敵する―――ダロ。
それは電気自動車のタイヤの減りが速いという、
意外な事実のようなものダロ(?)
たとえば鉄道から車、さらにはネットスーパー、Amazonへと、
移り変わっているような時代に、ライフは十九期連続増収(?)
ライフでいつもお菓子買う(?)
西の友と書く近くのセイユーでは、
衣料品がバーゲンセール状態している(?)」
「かもちゃん、それは関係ない」といずうさ、普通に突っ込んだ。
そして決戦の朝、かもちゃんが商店街の肉屋で、
大腿骨や背骨、腕肉に背脂を無料でいただいていた(?)
もちろん、軽くお話をした、この前、戦車で野球ボールを投げるというか、
発砲する、スーパーソニックベースボールキャノン動画を観たダロ、
キャッチャーミットをぶち破る豪快ダロ、
それはまるでシンジミズシィマの、
コウシエンフジムラの剛速球だったダロ(?)
会話は盛り上がった、しかし、量が量で、
肉屋のおじさんは、ちょっと渋い顔をした(?)
でも後でラーメン食べに来てと言い、モフモフのお腹をさわらせた(?)
そろそろ一番おもしろい漫画決めようぜみたいなスレッドが立つ、
最初、ドラゴンボールとかジョジョの名前が出る、
なんかお前等jump好きだなってカイジとか、名探偵コナンとか、
(いやでも名探偵コナンはないな、火の鳥ぐらいない、好きだけど、)
―――野球好きな奴が野球漫画好きなのは当たり前、
キャブテン翼が好きなのはサッカーが流行だった―――からかも知れない、
そんなこんなで進んでいくけど、レスが続けば続くほど、
世間的には評価されていないけどというニュアンスが強くなっていき、
いわゆる発掘要素や、自分の漫画レベル道場になっていき、
なんでお前等あのアートがわからないのドヤァとゴラァ成分で、
ぐだぐだになっていき過疎化する。
そんな感じ(?)
面白いからって中身があるとは限らないし、
中身がないから面白いっていうのも―――残念ながら、ある(?)
銀魂のとある回では散髪の話だった、
殿様の頭にうんこをのせていて滅茶苦茶笑った、
でも多分それは地にめりこんでいく憂鬱さと隣り合わせで、
ちきゅうはかいばくだんでバキバキのベキベキにしたいドラえもん心理と、
よく似ている気がする。
道は続いていたんだ、
城下町、次の街、経験値アップ(?)
さらには八百屋で生姜や、葱や、人参や、
キャベツなどの野菜をちゃっかりいただいていた(?)
風邪を早く治すなら冷えピタのようなもので、
咽喉に、額に、後頭部と首あたりを冷やして眠るのが一番いいダロ(?)
でも結構な確率で外れるので、
セロテープで固定することを忘れてはいけないダロ、
咽喉が腫れたかなと思ったらとりあえずハレナース、
風邪ひいたかなと思ったらとりあえずドリンク葛根湯(?)
また風邪でなくともリフレッシュしたいなら、そういう手法もいいダロ(?)
かもちゃんは、ペラペラとそのような話をした(?)
八百屋のおじさんは、かもちゃんに言われちゃ仕方ないねと言った、
そしてラーメンを食べに来てと言い、モフモフのお腹をさわらせた(?)
そしてかもちゃんは業務用専門の製麺所にふてこい顔をして、
普通に事務所へ入っていき、
社長のような人とひとしきり世間話したあと、
カラオケでは水よりもファミチキの方がいいという話があるけれど、
とりあえず油信仰というのがあるダロ、
なかには、サラダ油を咽喉に塗ったという話も聞いたダロ、
コーヒーは痰がたまるし、炭酸系は咽喉のさわりを悪くするダロ、
みたいな、話をしていた(?)
小麦粉に対して加える水の量を極力少なくしたガチガチの生地の、
低加水麺をゲットした。
本来なら店のラーメンを作る事自体が非経済的な作業なのだが、
かもちゃんの場合、一円もかからなかった。
みんなで作るという共同の理想の良さはそういうところにある。
もたれ合い、助け合い、許し合い、支え合いの精神(?)
生きていてくれてよかった(?)
そしてかもめハウス、
寸胴とかいう円柱状の物体に肉を投下し、スープづくりを始める。
豚の大腿骨(拳骨)、背骨(背ガラ)を入れて、水から茹でる。
アクが出るまで煮立たせたら、茹で汁は全部捨てて、
この骨をよく洗う。
妖精一号や二号や三号も手伝った、いずうさも手伝った。
丁寧に洗った骨、雑に切ったニンニク、
そして新たな水を寸胴に入れて火に掛け、
ある程度までアクをとったら、タコ糸で縛った豚塊肉(バラ肉と腕肉)、
そして大量の背脂を入れる。
クックパッドに載っていた通りだ(?)
料理の鉄人―――じゃなかった鉄鳥は、意見を参考にする、
百パーパクリでも、アレンジを加えない、そういう良さがある(?)
かもちゃんは隙あらばと背脂とニンニクを入れようとした(?)
女性が女性であることを止めねば食べられない禁断のレジスタンス(?)
味の決め手となるタレを作る。
濃い口しょうゆ、みりん風調味料、化学調味料を鍋でひと煮立ちさせ、
一間半ほどスープで煮込んだ豚塊肉を、
一時間半から二時間ほど漬け込むだけ。
これによって肉の旨味がタレに移り、タレの味が肉に染み込む。
しかし一番重要なことは何か?
純粋なグルタミン酸の結晶であるグルエース、
原理主義的グルエースである。
「かもちゃん、タコが自作の水中迷路を泳いでいる動画を観たダロ、
タコはすごいダロ、改造した水槽はゴールの海老まで、
色んな試練をクリアするダロ、浮き場の玉を抜ける、
敷き詰められた砂場を潜る、四枚扉の回転扉を押して進む、
次の部屋は行き止まりだけどブロックを押せばさらに進める、
次はボール落とし、バーを回転させてボールを落とすダロ、
次はボタンを押してゲートが上がる仕掛け、
その次は一旦地上まで上がって、再び水の中へ戻るダロ、
その次は六つの大きさの違う穴、穴の先は迷路、
近道は一番小さい穴ダロ。そして最後は金庫の扉を開けたら、
ゴールダロ、というような話をしているけど、何のことかと思うダロ、
それがグルエースといっても過言ではないダロ(?)」
「かもちゃん、それは関係ない」といずうさが言った。
市長さんがあらかじめネットで注文したものを、
ぶちこんでおいた(?)
ぶちこんでおいたが正しい表現ではないと思う人がいるなら、
さらけだしておいた、グルエースを(?)
仕上がりの一時間前を生姜、葱、人参、
キャベツなどの野菜をスープに入れる。ついでに追いニンニク。
妖精たちやいずうさはもっと野菜を入れるべきだと主張したが、
―――それはノアの箱舟の時代から爆笑問題誘発の導火線(?)
二郎系ラーメンにそのような優しさは求められない(?)
優しさを忘れたら麻薬がある時と捕まった時の対比写真のように、
頬がこけているし、肌が終わっているし、眼がギラギラしていて、
何かが終わっていた(?)
誰かが愛のない時代なんだよって言った、だから愛はコンビニで買い、
愛はスーパーマーケットLOVEし、
スピッツやミスチルはダサいって若い子たちが言った(?)
でも時折桑田佳祐のミス・ブランニュー・デイに滅茶苦茶痺れたりする(?)
演歌もね、ビール飲んで焼き鳥喰ってたら、
なんかね、なんかね、許せるなって思えてくる(?)
アーティストがいない時代だ、
アーティストを感じる曲を歌うと途端に売れなくなるようにも思える、
マニアが喜びそうな曲より、砂浜でビーチバレーしている音楽シーン(?)
ともあれそのようにして具となる野菜を用意する、
キャベツを刻んでモヤシと混ぜておき、
トッピング用のニンニクは生のままみじん切りにする。
野菜は別の鍋で茹でる。
そして客が集まり始めるが、あらかじめかもちゃんが説明している、
これは健康寿命が縮んでも構わないと思う人達向けの、
脂と化学調味料で裏打ちされた凝縮液なのだ、と(?)
どうあがいても絶望なSIRENの法則原理に従うよりほかないのだ(?)
グルエースにタレにスープを入れ、
水を吸って量を増やした麺の水切りをして、
このモンスター炭水化物を投入、
丼からはみだすほど野菜やチャーシューを、
モリモリトッピングしたら完成だ(?)
かもちゃんは何故か美味しい海苔をのせたり、
シナチクを入れたりしてさらに嵩を増やそうとしていた(?)
万引きGメンのように、いずうさが言った。
「ほら入れた! 今入れたよ!」(?)
、、、 、、、、、、、、、、、、、、
でもね、ズルズルの泥沼にハマっていく(?)
LINEのアイコンを長押しすると簡単にQRコード出せるみたいにね(?)
妖精一号と二号と三号といずうさで食べるが、
普通にいずうさが言った。
猟奇的なグリム童話のような光景とリアルグリム童話の光景(?)
「これ食べにくいな(?)」
―――多分それはみんな知っていた、
知っているけど誰も言わなかった(?)
近所のガソリンスタンドでバキ読んでいたらオイル交換忘れて、
頭の中がずっとバキになっていてごめんなさい(?)
言っちゃいけないから、信者は相川七瀬した、
夢見る少女じゃいられない(?)
みんな丼にかぶりついた、
美味しいけれど明らかにボリュームが多すぎて、
眼球が浮遊した(?)
世界の見え方が変わった時の鳥肌やばすぎて一匹のデカい鳥になるだろう、
原子爆弾如きでゴジラ生まれるわけないじゃんって思っている先入観(?)
けれどかもちゃんが作ってくれたからとみんな頑張って食べた、
肉食系モーターショーサイクルベースの、
ブレーキ壊れた車みたいな勢いの構図(?)
けして離れることない知恵の輪のように、
この身体の悪い食べ物を正義だと、愛だと信じようとした(?)
料理の鉄人―――じゃなかった鉄鳥は腕を組むようなポーズをして、
ひとしきり誇らしげだった、そろそろ二月の終わり。