雄牛と聞くと、闘牛士に向かって突進する、
勇ましい闘牛の牛を思い浮かべる人もいるだろう。
『日本霊異記』では牛に転生する日本人が多いようだ、
それだけ身近なものだったということだろう―――か。
また、『ギリシャ神話』に登場する、
人間の女性と牛との間に生まれた恐ろしい怪物、
ミノタウロスを思い出す人もいるかも知れない。
(獣 姦は「特殊性癖」であり、「異常性癖」とか、「性的倒錯」
といわれるが、人間が動物しか愛せない状態には前世の存在を、
感じる。ちなみに、遺伝子構造の違いで受精しないか、
万が一受精しても子宮での着床までには至らず排泄され、
妊娠することはない。だから角などが生えた、
先祖帰りの可能性がある、)
ところで迷宮の設計図はクノッソスの貨幣の意匠にもなったが、
実は分岐のない極く単純な迷路であったわけだけれど、
それに倣うわけじゃないが、
世界でもっとも大きな牛はどれぐらい大きいか、
御存知だろうか?
世界中には沢山の種類の牛がいる、
もちろん肉用牛と乳用牛の二種類があることを前提とし、
外国産と国産という括りを設けて、
百種類ほどいることが確認されている。
乳牛と肉牛を合わせた日本国内の牛の飼育頭数は、
二〇〇五年の少し古い情報だが、四四〇万一〇〇〇頭。
前に何処かの新聞記事で、自分の市町村に、
どんな動物がいるかすぐに答えられるかという問いかけがあり、
僕もこれはとても大切なことだと思う。
故郷の町に野生の鷹がいるらしいと知った時は、
ちょっと興奮した。
都心部では考えられないだろうけど、郊外とか、
自然豊かな場所なら熊や猪や鹿だっているかも知れない。
それはさておき、世界中ともなれば野生の牛もいるし、
計測されていないこともあるかと思われるが、
(虎と戦う気性の荒いアジアスイギュウは、
絶滅危惧種に指定され、アメリカ領アリューシャ列島や、
フランス南部のローヌ川河口のカマルグなど限られた場所にしか、
野生の牛はいない。イギリスのチリンガム自然公園には、
原牛の形質を多く残すウシが五〇頭ほど生息しているが、
冬季に餌を与えられており、完全な野生状態とはいえない)
二〇一四年のデータで、一四.七億頭という数字になっている。
これは基本的なデータだが、
僕は綺麗な牧場の牛なんかではなく、
排尿を垂れ流している牛が、
じっとこっちを見ているのを何か可愛いとずっと思ってきた。
僕等が将来的に動物を殺さなくて済めばそれはいいことだ、
別にそれは宗教上の理由とかではなく、
殺生がなければいいという考えのものだ、
(これは別の言い方も出来る、ベジタリアンやヴィーガンでも、
肉を摂取した方が体調がよくなると思えるようなことがあれば、
それに越したことはないと思う、)
でも多すぎる牛は減らさなければいけなくなるかも知れない。
結局可哀想というのはきれいごとなのだ。
自分に責任を持つことが動物への責任に繋がる。
ところで牛がいつもクチャクチャしているのは、
『反芻』だ。
そして牛には『四つも胃がある』
牛には『前歯がなく奥歯ですり潰して食べる』
牛の体重はヒトの約一〇倍で、
平均的な牛の体重は約七五〇キログラム、
体高は一・五メートルを超えるという話だけど、
『四本の脚の面積は大人の靴』の大きさとほぼ同じだ。
牛は『爪先立ち』で歩く。
牛乳が嫌いな人もいるだろうけれど、
『牛乳一リットルを作るために、
血液が約四〇〇リットルも必要』と言われている。
ちなみに『乳頭は四本』ある。
あと、本当にどうでもいいけど、
『女体化したミノタウロスは、
ホルスタインイメージを掛け合わせながら、
ホルスタウロス』とか言うらしい。
知っている人も知っていない人がいても不思議ではないが、
(僕はちなみに雑学系の本でその情報を知ったが、)
牛のげっぷやおならが環境破壊しているという話だ。
前述したように牛は四つの胃をもつ動物で、
最も大きい胃はルーメンとも呼ばれる第一胃だ。
成牛の場合、その容量はおよそ一五〇~二〇〇リットルにもなる。
第一胃には一グラム当たり二五〇億個という膨大な数の微生物が存在し、
植物性繊維を発酵分解している。
発酵の際には副産物として水素が発生する。
そして第一胃に常在するメタン細菌と呼ばれる微生物群が、
この水素をメタンに変換するのだ。
牛一頭がげっぷやおならとして発するメタンガスの量は、
1日一六〇〜三二〇リットルに上る。
真面目に考えるべきテーマなのだが、げっぷやおならってと思うだろう。
だがこれは大真面目な話で、
地球温暖化を招くメタンガスの排出を人工衛星から監視する取り組みが、
民間企業主体で始まっているのだけれど、
衛星からメタンガス排出を確認した場所には農場があり、
特にメタンガスの排出が確認されたのは牛の肥育場だった。
メタンガスが世界の温室効果ガス排出量の、
一六パーセントを占めている。
近年の研究でも、メタンガスにはCO2の二八倍もの、
温室効果があることがわかっている。
研究者たちは牛たちの「減ガス化」を目指して、
海藻飼料から遺伝学まであらゆる可能性を探り続けているようだ。
さて、『キアニーナ牛』は、
どこか雲を思わせる品種の牛。
山羊が巨大化したという発想があってもおかしくない。
もちろん雲のように軽くふわふわと浮かんでいるわけではない、
雄の体高は約二メートル、体重は一・五トンにもなり、
世界最大級の牛だ。
キアニーナ牛を見ていて思い出したけど、
牛をハグする「カウ・カドリング(cow cuddling)」とかいう、
癒しの健康法というのがある。
いや、キアニーナ牛って何か太陽の匂いがしそうな感じなんだ。
絶対に、絶対に、そんなことはないと思うけれど、
だってこいつ布団じゃんって思った人もいると思う。
ちなみに牛の飼育自体は別に珍しい話ではないが、
アメリカのネブラスカ州ノーフォークでは車に乗る牛がいる。
車は改造されており、屋根と助手席側の窓がなく、
大きな頭と角が、ドドーンと突き出ている。
助手席側のドアは、牛が落ちないよう、
金属製の柵のようなものが固定されている。
何というかアメリカって感じのエピソードだよね。
ちなみに牛の肉は部位によって性質が違い、
ステーキや焼き肉に向く部位もあれば、
硬い部位や脂の多い部位もある。
(ホルモンは「ハツ/心臓」「コリコリ/大動脈」
「シビレ/首から胸の胸線」「ミノ/一番目の胃」
「ハチノス/二番目の胃」「センマイ/三番目の胃」
「アカセンマイ/四番目の胃」「ヤン/ハチノスとセンマイのつなぎ目」
「マルチョウ/小腸」「ホルモン/大腸」だ)
どの部位も特有の美味しさがあるけど、売れるのはロースやヒレと、
飲食店が使いやすい部分にまず限られる。
さて実験室でステロイドをたっぷり注入されて、
特別に作られた怪物を思わせる牛は、
『ベルジャンブルー』と呼ばれる、
ベルギーで誕生した品種は牛の品種改良に力を注いだ結果、
この遺伝子を固定化することに成功し、
本来はランダムに起こる変異を安定した形質へと変化させた。
(実は遺伝子操作でつくられた牛という触れ込みもあるが、
それはまったくの出鱈目だ、)
方法はいたって単純でムキムキ遺伝子を持つバキバキの牛同士を、
ベキベキに掛け合わせるという根気強い努力の結果、
身体が大きいだけでなく、
運動をしなくてもボディビルダーのような牛が誕生した。
ちなみにこういう牛をダブルマッスル形質というのだが、
ヨーロッパで赤身肉が高くなるという、
日本とは正反対の食肉格付基準なので、
沢山の肉がとれるだけでなく、脂身が少ない赤身の肉として、
ヨーロッパの人から好まれているらしい。
ところで、あなたは沖縄に行ったことがありますか?
人口約二〇〇人に対して牛が約三〇〇〇頭いる沖縄の離島「黒島」
僕も知らず知らず牛って北海道というイメージがあるけれど、
(牛肉生産量一位だからというよりも、単純に、
北海道というイメージが僕の中で牛だからというのもある、)
これは中々愉快なバランスだ。
日本には猫島があり、兎島というのがある。
そして僕はもちろんそのどれもに行ってみたい。
そういえば炎上した「牛乳の秘密」とかいう漫画があったのだけれど、
酪農家を鬼畜にしていて滅茶苦茶笑った。
怒るという人もいるだろうし、酪農家は訴えて当然だと思うけれど、
(もちろんこういう事例があるのかないのかまではわからず、
一応従業員の証言ということだったけど、)
基本的に酪農家って乳牛から絞り出す牛乳の生産量や、
質を少しでも上げるために牛をマッサージしたり、
牛にクラシック音楽を聴かせたりする。
なんだったら僕の生活よりずっと快適に過ごしている。
ストレスは人間だけの敵ではないのだ。
すごいところになってくるとVRヘッドセットで牛に、
仮想の牧草地を体験させるみたいなこともやってるらしい。
さて、ブラーマン種は、まるで牛と駱駝の、
禁断の恋の結果に生まれた子供のようだけどもちろん違う。
牛と駱駝では遺伝子が違うためミックスは誕生しない。
肩には十五センチメートルほどもある瘤がユニークだ、
走ると左右に揺れるらしい。
ガラパゴス諸島とか、マダガスカル島を想起してしまう。
ちなみにこの瘤は長期間餌や水がない状態でも
ここに蓄えた栄養分で生き永らえることができる。
二〇二一年の記事だけれど、出前館、吉野家、エアロネクストらが、
神奈川県横須賀市で作りたての「ほかほか牛丼」を、
医療従事者へドローンでデリバリーする実証実験をした。
安全上のため海上を十分飛んで、学校の屋上を飛び、
横須賀市立市民病院へと届けた。
実装化については何ともいえないけれど、
ドローン業界の規模の拡大やアフロ―コロナ的な世界を考えてみれば、
こういう光景も見られるようになるだろうと思う。
近所の「和食さと」ではロボットが走り回っている。
ファームノート、AIとクラウドを活用した牛群管理システムなど、
少しずつ色んなことが変わってきているのは感じている。
モンベリアード種は雌も雄と同じような立派な巨体を誇り、
(ちなみにジャーマン・アンガスは、
雄と雌の体格差が大きく、雌の体重は〇・五トンほどなのに対し、
雄の体重はその約二倍、一トンを超える、)
特に大きな個体の体高は、雌でも一・八メートルに達する。
モンベリアードは主に搾乳を目的にフランスで誕生した品種で、
ごく単純な、
「大きな牛ほど多くのミルクを出すだろう」
という考えで作り出されたモンベリアードは、
一年に約八・五トンもの牛乳を出してくれる。
モンベリアードの牛乳は主にチーズの原料として使われ、
フランスの高級チーズとされる、
『モンドール』や『モルビエ』などには、
必ずモンベリアードのミルクを使用すると決められている。