黙って―――つま先を見て、
小石蹴ってドブに落として、
無表情、耳から流れだす、ひと筋の赤・・・。
久しぶりに友達から連絡が入る。
もう二十年経っているだろうか。
纏わって横たわっているもの、
じわじわと街が風化するように流れていた―――もの。
駆けてゆ―――く鳥の群れ、
頂点を過ぎて下り坂。
旋回して―――瞬間の隙間・・、
夕焼けに―――燃え、
粒子の粗い点描画・・・。
久しぶりに会って話でもしないか、
と言ったのが女ならまだ華がある、
そんな気がするのに喘いで、
何ら感情を交えずに処理する。
結婚した身としては浮気を疑われる場面だが、
口調からわかるオス。
相手は独身男性。
軋むベッドのスプリングもとい、
蒸気機関車、馬の描写よろしくの、
BLファンタジアを、
インディージョーンズするつもりもない。
ああ、一日が終わ―――る、
僅かな時間だけ―――見え、る、茜空。
何かしたいことも―――ないけど、
ダラダラもしてられないな・・・、
卑屈な囁き、単調な生活、
そわそわ落ち着かない気持ちもあるけど、
四葉のクローバーも、紫陽花も、
一人ではそんなには、
喜べなくて、やさしくは見えな・・・くて、
上の空のドアの鍵の―――柔軟さ・・・。
影法師のように離そうとしても自分から離れない、
自分自身とかいう股間に生えた菌類は、
抽象的な記憶ばかり誘う宇宙人。
開ききった蓮の花に蜘蛛が迷い込む・・・。
、、、
加齢臭が―――。
華麗な鰈するのが家例、
とか馬鹿ばっかり言ってないで、
そういうのが気になる男同士、
だから―――さ、
辛気臭い顔をつき合わせてカクテルとか、
高級料理なんてものは出てこない。
わかるだろ、
は? 古風な趣のあるワインセラー?
へ? 歴史的にも価値のある施設?
ないない、ナッシング、オールスルー、
、、、、
自然のはらわた、
、、、、、
愛すべき馬鹿ばっか、
愛って口にする回数を数えてごらん、
しだいしだいに濡らしてゆく、
(汚 れ て ゆ く 、)
眼の前とかいうやつが暗くなってゆく感じで、
本当の生きる意味が見えてくる。
残酷なものさ。
(分 か り 合 い た い の が 嘘 み た い 、)
せいぜい場末の酒場でってな寸法で、
ビールと焼鳥。
宅建の話に中国の庭付き家で犬飼う話。
〆はラーメン、でもいまも開いているかなあ、
社会問題は喫茶店の窓ガラスの雨、
余所行き顔。
むなしい切なさに曝されてん―――だ、
盗まれて捕えられた若さ、の、
色づき始めた変化と、
その大きさにいつのまにか耐えかねて、
枯れてゆく火花のような攻防。
ゆらり揺れて―――風に紛れた、
足を運ぶ音―――明るい水底の斜面・・・、
バス停を―――通り過ぎ・・・ゆき、
一八〇度逆の方向、
ショッピングモールにはいかないけど、
電信柱も交差点もいいもんだ、
横断歩道を渡る人達。
陽気な憂鬱さ、
人間的反省を失った態度、
緊張感をなくした奴らの身体の重さ。
さよならまた明日、
さよならまた明日。
、、、
独り言のよう―――だ。
お互い夢を持ちながら、
一体何を探していたんだっけ、
ぱくぱく口を開ける金魚のよう、
惨めで怠惰な暮らしを営んで、
神棚の上にお邪魔して食事を失敬する猫様。
痙攣し、悲鳴をあげ、弛緩し、
絶望が希望のような意味合いになったとかいうのに、
、、、、、、、、、、、
おいおいひどいもんだね、
線路の上を滑るように走る町並みは、
かつて自転車やバイクで見慣れていた景色だ。
スピードが変わった。
、、、、、、
ざまあないね。
オーロラ
白極光・・・。
形式にはめこまれて四角くなったとかいうのかい、
郊外型集客施設。
聖人君子とかいう概念に洋服を着せてやりましたか、
全国チェーンのファーストフード店。
そう...さ...
気が付くと渋滞緩和なのか、
出来上がっている新しい道。
何だってまかり通っていいな、
世の中金なんだろって嘯いて、
腕を組んで誰がこんなわけのわからないことを、
考えるんだろうと思ってみても始まらない、
チェスロボットに人間は敗北して久しき、
、、
ああ。
、、
ああ。
コンビニ経営のゲームというのがあったな、
それを見ながら思った、
ああ人間って本当にありえないほど愚か。
馬鹿ではないけど賢くはない。
そこには独自の秩序やルールがあり、
若者たちはそれに順応し体得していく。
世界で一番素敵な小説の話...
世界で一番縁遠い類の感傷...
彼はドイツのロマン派の生き残り、
ああ名前も思い出せないんだ、
本当に誰でも書けそうな小説を書き、
仕事は弁護士とかそんな感じの鹿爪、
けれど奥さんに美しい頃があったと語った。
下らなくて、どうしようもなくて、
真顔で、まるで落とし物でも聞くような口ぶりで、
きっと心を打つ、清純な小説。
『人生で最後に読み返したい』
というのがキーワード、
逆説的に言ってしまえばそれだけなんだ、
退屈だろ、未熟さって禅問答にもあらわれる、
それはまだ君が若いからだね。
何かに寄り掛かることもできないし、
そもそも何かが正しいということもできない。
人は人によって生まれているから、
その人の中で正しい答えを見つけなくちゃいけない。
でもそんなの一体誰にわかるだろう?
ピラミッド社会に、社会人のせた箱舟に。
無我夢中で、不器用に、腕を突き出す。
狭い職分や交際範囲の中で本能的に感じられる、
固定観念や視野狭窄というのは、
死骸のように横たわっている。
でも子供ではなくなった、
大人になった、
そこが一番重要なメッセージ。
かます
若く速い魳のように―――ね。
人が死んだ、殺された、特殊な職業で、
異世界でとか、
ありえない設定でとか、
叙述トリックとかなんてものはね、
いつかわかる、
ゴーストタウンの地下祭壇みたいなものだよ、
生きている間はスリルや刺激、
でもいつか凍り付いた棒のようになる、
おそかれはやかれ、ね。
人生の意味はもっと少な―――い、
だって何かの意志によって動く傀儡。
望んでいるものが引き剥がされて残った真実。良心。
ありていに言えば―――ね、
噛めば噛むほど味がなくなるけど、
スルメなんだよ。
ねえ僕は僕の信じる愛をもってその美しさを語る―――よ。
人生は退屈なものだ―――よ。
老いた人の―――咽喉にからみつく痰の音、
言いたいことも言えなかった―――から、
それとも僕のように煙草の吸いすぎ?
駅から見える狭苦しい町に、しむみりした胸がやけにざわついた。
昔はここらへん一帯、畑や田圃。
田舎。
案山子だって見ないよ、
ストッキングかぶった男と同じ確率ぐらいだねきっと。
心の中に置き忘れてきたものへと向かって、
ひらひらと天使のような白い羽根が舞い落ちる。
思い出は、人生の墓場。
大きな黒い鳥が一瞬空を横切って消えた。
ほうぼうの街角に身をひそめ、怠りなく隙を狙っていた刺客は、
時の中で睨んでいる。
気が付くと交通アクセスは劇的に改善され、
交通量と人口は比例して、
それゆえ、金貸しのような頭のねじのゆるんだ奴らの、
新しい建物が並んでいる。
十字KEYで進んでいるゲーム画面感覚。
LR、LR、清潔に掃除、日照権、建蔽率、
あれ、ちょっと小憎らしい人生の重い帳だぞ。
ダウンタウンのレンガ造りの建物でもって、
サイレント風だったら言うことはない。
アルマジロや、アルパカコーナーを作ってくれ。
動物園じゃないよ。
うるさいよ。
でもこれは映像じゃない、すりきれた糸みたいな、砂嵐。
バグ。エラー。NGワード。
船を見送りテープを投げるような十年一昔。
なんて言い方もできるけど、
ダムに沈んでしまう町もある―――ね。
汚泥の底から湧き上がる、
茫漠とした虚しさと淡い追憶の波。
鉛か銅だったなんて思いもしない、
、、、
落し蓋。
素晴らしい出会い、
新しい人生の場面。
破裂。堆積をとかしこみながら、
石やがらくたを眺める。
灰を作っているようなさびしさはがらんどう。
おお、人生よ、よくもこんなに不細工な連中が息つめながら、
楽しそうに語っている町をうみだしてくれた―――ね、
ありがとう、
今すぐ爆破スウィッチをおさせて。
さみしげな夕闇に毛繕いをする・・・猫、
孔雀の求愛行動みたいな、
遊歩道が―――彎曲した広場で・・・、
道化師たちが大きな声で喋っ―――てる・・・、
白熱電球の光―――ヴェールの漂い・・、
踏切を渡ろう、自尊心の殻を破・・・って、
あの日の僕みたいに―――呪文・・・魔法、
あの日の君みたいに―――構築された城を・・・、
望楼なんかに―――変え・・て、
駅舎から歩くたびに、
いぎたなく寝そべっていたもの、
放り出していたものに気付く。
ここのカレーライスが美味かったとか、
昔は古本屋があったとか、
そんなどうでもいい記憶が甦る。
膝の上の犬の重さみたいなものだ、
しなやかに身をよじって、顔をうかがう。
喫茶店経営、ペットショップ経営、
心の貧しい、浅い、痩せた時代の玩弄物のような、
そんな本を僕は読んだ。
資格ノウハウ、
生活力のその範囲、
心の中に残ったのは、人らしさではなく、
どうやって頭を使って演出するか、だ。
花にむらがる蜜蜂のような完全マニュアル作成。
NPCの仲間入り―――さ。
部品材料の取り引き、製造委託、
共同開発を通じて相互の技術の発展と共存共栄。
企業の言葉は具体的で抽象的であろうとするもの、
黒と白だ―――ね。
ふんぞり返った社長、おべっか使いの部下、
汗にまみれて働く社員、
(仮)のキャラクター、
(仮)のシナリオ。
そして最後には、何をどうやったってあみだくじの、
あみだくじらしくない部分。
細い葉末に孤独な光あつめ、楽しい筋を、運ぶ。
なにかを引いた状態でもあり、引く前の状態。
その一齣を大切だといえるほど、
恵まれた人生に辿り着いてはいない気がして、
むしろそれは引け目や劣等感を刺激するもので、
僕はなるべく振り向かないようにしていた。
チューリップみたいな街燈が嫌いだ。
政治献金で潤ったゴルフ日和。
、、、、、、、
ナイスショット。
豆のようにはじけて笑う小学生たちはこのましき。
そして待ち合わせ地点にはもう、
すっかり中年への道をいざ歩まんとしている同胞がいる。
大きく拡がってゆく共有感覚、理解、同情、慰め、
それは敗北感と同じ意味を持った安堵感だ。
鬼ごっこはまだ続いてんだ。
戦争はまだ終わってないんだ。
送電線、ラブホテル、
眠ったようにだらりとしたカーテン。
そしてまだ残っていたのかスーパーマーケット。
客は化け猫や狸―――。
汚れた屋根に鳩の糞があり、
路地裏の盆栽、混凝土の駐車場。
遠くから見ると世俗的。
それらすべてが人を魅了する哀愁とでもいうべきだろう―――か、
それはガロ系の漫画たちのせいだったり、
梶井基次郎とか安部公房のせいだと思う。
新都社や、ヒューマンバグ大学のせいだろう。
美、し、い。
鬱、く、し、い。
きっとすぐに受け取れる、それをそれだと思わずに、
一つ一つの頂きを見出すような、
一風変わった、逃れられない魔力の作用。
陰気にしめりかえった蛇穴のぬるぬる具合が嘘のよう。
言葉のイメージ領域では風俗のチラシが炸裂する。
死にかけた時代の頸動脈に触れたような気がする。
それは極度の困難と敗北、
共犯者同士のやりとりは手榴弾、
装備と戦略物資の不足により発生した経済的問題。
それは髪を切りすぎた女の子が、
ショートカット恥ずかしいなというぐらい、
ありえない何処かの国の話。
神聖とか高潔とか、
いつかの時代の七つの大罪。
居心地の悪い気分は不思議な気体の言葉だから。
蒸発する。
ボタン操作の重要性、
パチンコと同じ、光で麻痺するかなしい生き物。
庇いあうというよりもたれ合う、
場合によってはもつれあうのが生命線。
吹いてくる―――の、は、勿忘草の風・・・、
薔薇色の風―――ゴブラン織り・・緑の焔・・、
聖玻璃色の風―――その芯・・漆黒のしずまりの青波・・、
大人になってから、
夜が始まって、か、ら・・・・・・。
取り残されたような古い町並みを歩きながら、
起立、礼の号令を思い出す。
唐突に静けさを欠きながら、
きっと僕は百年も前になる古い武士の怒った写真。
災害でもあったわけでもないのに、
経営は苦しい、
社会全体が文明国から貧民街へと。
すれっからし。
それでもまだ萎え果てた自由の代償。
享受する側から搾取される側。
古い型の信号機が何かのおまじないで、
いまでは何故か遠い異国情緒のような錯覚をさせる。
ベトナムとか、マレーシア、
樺太、いいぞ。
さもなければ沖縄とか北海道に通じる、
そんな風景の錯覚なのかも知れない。
二十数年前の理屈など忘れて、
愚行を海綿のようにただただ吸い込んで、
滑り台をしてみる大人のような恥をしのんだ精神具合。
それを見ながら、時間の中に取り残されて、
出口を見つけられずにいたような―――そんな妄想に囚われ・・・。
移動相、固定相。
困難に想到するのは、
分析対象だからじゃない、
その状況があんまりにも憐れだから勝手に生まれてくる、
シューティングゲームのようなスタイルの亡霊。
魑魅魍魎。
大人にただの一つの例外もない。
所詮、幻想だったのさと嘯いてみたところで、
確信する足取りにはならないさ。
石垣のある坂や、文化保存でもすべきような木造の住宅、
マジックで書いているんじゃないかという、
センスの欠片もないひどい看板。
地方色満載だ。
土俵の上で顔を合わせながら、中国人みたいに思える相撲。
猥褻とか男女平等とか言いながら国技ですらもない相撲。
それと何がどう違う?
そうそう、祭りには重複している店があって、
変な物を売ってるチャイナ系がある。
でも、祭りは終わったんだ。
宿命と偶然とが賽をふっていたような、
そんな視線は放心のあまり病に陥る。
人形めいた動物めいた小人種。
忘れられた過去はそれでも確かにいまなお息づいて、
防空壕とか竹槍の訓練みたいな印象を残す。
歩く人は雑誌の着せ替え人形。
得体の知れない糸がない方が不思議な因縁を感じる。
この前見た東京のデパートで、
百円ショップが盛況しているというニュースを思い出した。
化粧品の売れ行きがいいらしい。
携帯電話を握っている。
熊の舌が二十五センチもあるんだって言いたくなる、
その動物園にいる熊を調べるとそうだった。
ちなみに名前は、ティンティン。
ベニスの街。
最低だって思うようなきちがいじみたこと。
でも日本人ではない、誰も気づかなかったのか、
いや僕等だって外国の文化の時にそういうリスクが起こり得るのさ。
だから熊を見ながら、ティンティンって呼んでる。
なんて素敵でざまあみろな世界。
田圃や畑には、卵が売られていたり、
野菜が売られている。
それがいつまで存続できることなのか、
おそらく売っている人にさえわからない。
みんなきっと怖い。
そんなことが手に取るようにわかるほど諦めや、
眠りに対する意味が夕焼けへと続いていく。
不潔物に発生する黴菌や寄生虫のように未熟な感傷。
小さな女の子の泣き声がする。
次の休みは何処に行こ・・・うか、
夏の水着はどんなのにしよう、
共同椅子で・・・、
もう帰るよ―――って、
吸いさしの煙草、
携帯灰皿に入れて、
甘ったるいコーヒーを飲み干す。
僕は誰かを呼ぶ声を聞いている。
紅と白、黄色や青、緑、そして秋のオレンジ。
そして気が付いたら、
僕は学校の三階の教室の窓からあてどもなく、
川の景色を眺めていた。
ニートや引きこもりや、犯罪者予備軍。
課金中毒者、高額アルバイト。
一歩間違えば多重債務で借金地獄、
近隣トラブル。
狭い路地から電線の雀を見ていると、
冷たい宝石の欠片のような気がしていた。
心の中にある鏡、
そしていずれは棺が置かれる。
飾りひもをつけたクラッカーもない、
それはステレオタイプな人生の壮年の描写だ。
ロマンチックな回路が一ミリも動かない、
錆びたか、止まったか、死んだか、と考えながら、
何を言っている全部一緒の意味だ。
父親が亡くなった時に仕事場から、
故郷の町まで駆けつけて、
老いるってどういうことなのかを親戚を見ながら悟らされた、
それはけして難しい理屈なんか何一つもなくて、
人はやっぱり人を見て、教えられたり、学んだりする。
昆虫や動物が自然と向き合っているみたいに、
僕等はそのデリケートで人工的な常緑樹に向き合わないことを覚える。
スプリングのしまうま、
百万もしない滑り台、
ブランコは危―――ないから鎖は切られ・・・て。
行く手を遮る―――時代って・・・やつ、
こんなのでいいのかなって思うけど、
与えられた状況下での、
補完的な反応、吸い込まれ―――て、吸い込まれ・・
ネガティヴな帰納類推を描くよ―――胸の曲線・・・、
そんなの切れないハサミだよと言ったって・・・、
それ以上のくだらぬ失敗よりはいい。
後輩の女の子が、
僕に声をかけてくる。
手の甲には誰かを殴ったあとのすりきれた血が見える。
時空間乱気流みたいに幾つもの部屋が並んでいる。
そこに、かつての僕がいた。
何処にも居場所がなくて、
集会所の狭すぎる建物同士の隙間から空を見上げていた。
それがポーズだったら美しい。
人を動かすのは演出だ、鼓を鳴らす、鞭だって打てる。
でも残念ながら、そうではない、だから絶望だ。
そこで見たことは空っぽだ。
くりぬかれている。
不思議と青空のイメージは一度もなくて・・・。
逆さまの空を知らない子供たち、
印象派の複製画―――みたいな空・・に、
ムンクの叫び―――すら式典用・・か、い、
夜の呼吸の道筋で、型通りの・・、
魔法のような精神衛生、
すべて自動でやってくれ―――るんだよって、
便座シートに座りながら言う、
でもボタンが欲―――し・・・い、
ねえ、僕はボタンが欲―――しい、
ちゃんと押すから。
ヨーグルトの青かび、ゴルゴンゾーラやロックフォールでもない、
記憶の空白のフロンティア、
僕は眠気を催しながら、
とぼとぼと歩く、怠れながら、嬾のうく、
言いたいこと―――は・・沢山ある、け、ど、
二つか三つぐらいにしないとな、
花が綺麗な―――んじゃなくて、
花を好きな人に贈るから―――綺麗なんだ。
傍らの道路ではヘッドライトが次々にテールランプに変わる、
モーゼの道を開くこともなしに、
結婚や出産、何かのきっかけで交差していた僕等の道も、
そのうち訃報になっていく。
僕等は鼠のように小さくなりながら、取り残されていく。
定員自体が満員以上という電車の中みたいに、
プラットホームに佇めば景色だけが後方に流れてゆく、
やっぱり思い出は人生の墓場だ。
幻が増えすぎると、
スポーツをしようという気分ではなくなる。
それでも僕等はその下らない妄想のノスタルジイとやらに、
耽り続けるのだろう。
星は き れ い だ 。
暮れてゆく街並み・・・に、
流れる雲、のよう、
手を擦りぬけてゆく―――悲しみや切なさ・・、
あの夏あの時あの夢の中・・・・・・。