koichang’s blog

詩のノーベル賞を目指す、本を出さない、自由な詩人。

永遠

ひたり、ひたり、ひたり、

あとから、あとから、

おくりだされる、



波紋)))) )) 


)) ))))月



   よっ よっ よっ

   まるで仕掛けを見に来たりしてる

   よ



      (・・・るっ ぴっ ちゃん

        雨の仕掛け人



   ぴっ ぴっ ぴっ

   男と女の空模様さえもあやつって

   よ)



 * * *



はてしない展開をのぞんで回転してみる、ああ、草の香だ、陽の匂いだ、

回転性目まい/天地が逆さまになる

キレイです、・・・ああ、きれいですよ、

街が未来に向かって走っているように見えるから、

―ハイ。



 * * *



まだ実はとろりとしたウィスキーの酔いが残っている

乙女の祈りに乗せて

バレリーナの人形がしろいスカートをひらひらさせる

蝶のようだ、・・・夏らしい湿りを含んで、

だだ広い道が来る

にぎやかなジャンボジェットが翔んでゆく



波紋)))) )) 


)) ))))月



 * * *



小さな一歩、

しゅーしゅーいわせながら、

しゅこ、しゅこ、しゅこ、



   ―――こんな大掛かりな装備をしてここまでやってきた、

   日没を跨いで、ひょうひょうと口笛がひびく、

   まるで児童の残した体臭のように、あの小さな自画像の目のように、

   ひらかれた窓に残された少女のように、―――



にんげんの閾下知覚までとどいてよ

あいのたましい炎えてよ

水溜まりに跫音≪あしおと≫ひびかせてよ



~~ ~~~~星


≫≫ ≫≫≫≫雷



      えーと、ええーと、・・・えっとえっと、

      はじめまして、

      はじめまして、



   (もっと空洞をしゅわしゅわさせてよ

   目のみえない生物のにおいかがせてよ

   うすぐらい部屋であかい手をみせてよ



      もっとすばらしくあってよ

      もっと かがやいていてよ

      いきてるってなにかおしえてくれよ)



波紋)))) ))



   ゴウッ ゴウッ ゴオウッ

   うまれたころのちのめぐりみせて

   よ 古い か ら だ―――



 * * *



足音、・・・隠れていた、・・・靴下はあんなにびっしょり濡れていたのに

ちりんちりん、・・・空気を切る音、・・・車輪の音

「ああ、なつかしい―――」

空にむかって誰かが大きく口をあけて咽喉をみせていた

あかい蛇のように舌



      TRIP、TRICK、、―――亀裂する、(亀裂した)

      網した(網していた)、

      ケーブルする(ケーブルした)、―――



波紋)))) )) 



   ポッ、ポッ、ポッ・・・

   それは鳩のさえずりのように伝播し、伝波し、電波し、

   洞窟、重力のない・・・・・・、



      (あたらしい水面へと、

      なめらかに、

      変形して、変型して、變形して、扁形して、



   座標へ、・・・ジグザグに、・・・白と黒のところへ

   後ろ向きに泣いている何というかなしくてこころよく燃えるからだ

   僕は愛を感じていた―――愛)



 * * *



るっ るっ るっ

るる る ららら りりりり そらしど

ふぁ



      ヅキリ、ヅキリ、と痛むこの脳の中がとろけてゆく

      再結晶をうながす(はっきりと自分の存在を知る!)

      行くたびもの揺れのなかで雪の輝きが消え、

      その造形もまたとない、



   (目 を 瞑 っ て た ん だ

   そ う 思 っ て た ん だ

   そ  う  だ  ろ  ?



      こ わ か っ た ん だ

      に げ た か っ た ん だ

      そ  う  だ  ろ  ?)



   ゴウッ ゴウッ ゴオウッ

   あ か は し ろ に な る

   ね



 * * *



いやな映像をくりかえしみているうちに

慣らされた本能 

もっと屋上の風



      匂う、・・・ゆらゆら反射する

      あおぐろい水晶体を湛えて

      底深く浸透する


   リピートされたい、・・・ネジされたい

   別れてゆくかぎりのない変化

   ぬれ袋のような花粉にまみれながら

   青昆布の原野にふつふつと泡がうかんでくる


      濃霧≪ガス≫の底から、・・・全貌をさらしている

      うねうねとしている

      むすうの穴あけた鉄パイプはりめぐらせただけで

      扇風機をまわすだけで



ゆらりゆらりと魚がおよいでいる

ずんずん船は進む

クエスチョン・マーク

塗料が剥げている

赤錆びをあらわしている船体



   ゆらゆらとゆれている、・・・アンモナイトの渦巻き

   或る地点のある記号に、・・・


波紋)))) ))



割れた、割れた、割れた、

時計のプラスチックの部分が割れた、

まわるネジがひきちぎれた、

静脈のふくれた手首が燃えた



   (咽喉がごくりと鳴る、

    疼く、疼く、疼く、



そして惚っとりと目を、

とじているらしい、

いとしさにジャ――――――――ン!)



波紋)))) ))



   ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ、、、

   ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ、、

   ゴボゴボゴボゴボゴボゴボ、



波紋)))) ))


)) ))))月



 * * *



僕の身体は全部エサにしてしまおうと思う

考えることも面倒くさいからすべて君に食べさせてしまおう

貪欲たれ、・・・青い海が揺れて、緑の松も揺れて、

しろい鴎がいて、あかい太陽がのぼる、・・・



   ありふれた名をすぐに忘れてしまうことを黄色いと言えたなら

   その浮かんだ笑みをもジャパニーズと訳したい

   沁み込め、もっと深く沁み込め、

   僕はじぶんの手を前脚といいたいのだ、雨あがりを鯨の瞬間≪とき≫と呼び、

   巨人の足の裏で生活する僕はそぼくな靴を愛したい、

   走り寄った制服の少年に生きているという喜びを感じたい、

   頭の上に太陽が燃えているのを今ほど鮮やかに感じたことはない、

   風が樹に絡みついているように見えるから、



ぷつりと断たれる針金のような神経に、

僕は左目をいとおしみながら、

くるくると夜明けを感じてまわりつづけた、

おどりつづけた、・・・青いふくらみ、



   この宇宙のさみしさが巨大な水槽のなかにあると考えてみた、

   ・・・いつまでもその雨に濡れて、侘びしい顔をした砂が、

   いつしか紫がかった雨あがりを迎えて虹を見た、

   いつしか尖った、乾いた、焼けついていたその砂たちひと粒ひと粒が、

   あたらしい土壌となる、ジャングルとなる、

   そんな日をぼくはふるさとの雨のなかで感じた、・・・



波紋)))) )) 


)) ))))月



      深紅のいろをした血液が影のようにくろく濁っていく、

      不安な日にいつも高層マンションが卒塔婆に見えたことを思い出した、

      きらりと光る死神の鎌に見えたことを思い出した、

      どこにでも燐があるのだと思った、



   ふいに火がついて止まった目玉がしいんとなる、

   両目をかくされたままのうす青い光に僕は焦がれ続けた、

   ぼくは硝子玉のように砕け散りそうな光のしみとおりを感じた、

   しんみりとした厚い厚い壁の向こう側で、

   僕の宇宙観は収縮と拡大の両点のバランスをはじめてとり、

   僕はただその中間地点で永遠を肯定した、



波紋)))) )) 


)) ))))月