昼休み、動物とかたこ焼きとか呼ばれる彼女が寄ってくる。
そういえば顔や声と同じぐらい文字にも特徴がある、
(いまそれ関係あった、あーちゃん?)
椅子を跳び箱の要領で跨いで腰を下ろしながら、
お弁当袋から箸入れとお弁当を取り出す。
「あーちゃん、キャンピングカーっていいよね」
、、、、、、
高校生の話題(?)
エネルギッシュでエキセントリックな彼女と話していると、
(なにげにひどくない、あーちゃん?)
毎日何を考えているのかなと面白く感じながら、
正直、少し心配になる・・・・・・。
でも火傷しそうなポジティブ思考。
希望に満ちた人間。
インスタグラムや、ティックトックを見ながら思う、
その傍らで悪徳商法とか、倒産とかを垣間見ながら、
―――この時代の必須項目なのかも知れない、と思う(?)
、、、、、、、
風と光を集めて(?)
「うん、軽のキャンピングカー見たことあるよ、
四人眠れる、とか。水回りがあって、
ガスコンロで調理してたけど、
ポップアップルーフがあって、
棚があって、テレビとかもあったなあ。
なんかこういう言い方すると、セット販売みたいだけど(?)」
「そうだよね、メロンと生ハムだよね(?)
地中海風サラダだよね(?)
中には大人が立って歩けるタイプもあったと思うよ。
それに小回りがきいてすいすい走れるのも魅力的だよね、
あと、これ意外と重要だけど、買い物にそのまま行ける、
キャンピングカーが大きければ大きいほど、
何だこいつ状態だよね、ジャイアントラビットよろしく、
巨大な犬を抱き締めてみたいけど(?)
でも気になるのはやっぱり、寝袋使うのかとか、
そのまま眠れるのかとか、
なんか押入れにかくれんぼするみたいな、寝心地なのかなあとかだよね」
ドラえもん(?)
軽のキャンピングカーって、彼女の中でドラえもんなのかな、
いや―――確かにノーマルなキャンピングカーって大きいけど。
キャンピングカーが居住空間を目指すなら、
軽キャンピングカーはその現実的指標をクリアするか、なのだと思う。
彼女が恍っとりした、夢心地の調子で、囁く。
「・・・・・・かもちゃんと、いとこちゃんと、
あーちゃんとあたし、それからいずうさちゃんも連れて」
、、、、、、、、、、
これは未来予約である。
―――彼女は、こういうのを本当によく覚えていて、忘れない。
「そうね、レンタルもあるみたいね、
免許持ってないけど」
ショップによって異なるけれど、
(探せばもちろん、ありえないぐらい安い料金は存在する、)
ただ、平日料金と土、日、祝日料金の二本立てになっていて、
シーズンごとに料金を変動させ、
「あれ、実はややこしいんだよね、曲者なんだ。
大抵のものは普通免許で運転できるんだけどね」
あとで、家に帰って調べてみた限りでは、
免許の種類は結構事細かに分かれていて、
(といって、内容が難しいというわけではないが、)
それがキャンピングカーに適応された場合、
普通免許は三.五トン未満で、準中型限定免許で五トン未満、
中型限定免許になると八トン未満になる。
大体このあたりだろう、と思う。
またキャンピングトレーラーという形式だと、
七五〇キロ未満のトレーラーであれば、
牽引免許無しで運転が可能だったりする。
また見落としやすいところでは免許における乗車定員。
普通免許で十人以下で、
中型免許で二十九人以下、
大型免許で三十人以上となる。
こういう謎の人数の決まりについて考えていると、
中型免許で三十人いたとして、
誰か本当に数えているのかな、と考えてしまう(?)
―――と、あーちゃんが乗車定員問題に悩んでいる件(?)
「キャンピングカーか・・・・・・」
前に声優だったか女優だったか記憶が曖昧だが、
車に布団を持ちこんで仕事時間まで眠る、
というインタビュー記事を読んだ。
物語にも主観にも属さない、即物的な風景の手触り。
私はその時、ヨギボーが必要だと思った(?)
―――と、あーちゃんが、ヨギボーを信仰している件(?)
、、、、、、、、、、、、
流れ作業のように処理せよ(?)
「(あーちゃん、ヨギボー好きだなあ・・・・・・)」
ふんがあー、といずうさちゃんが、ヨギボーへ飛び込む(?)
「(海行きたいなあ・・・・・・)」
ふらいはい、とかもちゃんが、ヨギボーの海へ飛び込む(?)
―――と、動物とか、
たこ焼きとか呼ばれている女は人知れず思った、
個々の音の中に溶け込んでいく(?)
キャンピングカーで車中泊、
道の駅で泊まるとか、
そういうスポットを紹介しているサイトもあった。
(格安のカプセルホテルみたいな印象が少しあった、)
温泉に入って、ご飯食べて、みたいな流れ。
敷居の高くない簡略式の旅行。
高城剛の「Life is a Journey」とかいう、爆笑動画(?)
こういうのって電子書籍と、紙の本のどちらがいいか、
みたいな話のような気がする。
電子書籍が安くなれば紙の本は高くなる、
そうなれば書店が潰れる、みたいな話を聞いた。
そしてそれはファスト教養と同じで、
わかった気持ちになるだけのような気もするし、
物事の選択肢を極端に狭めてしまうような気がする。
スマートフォンは脳を破壊する(?)
キャンプ人気が続いているけど、
(コンビニで、「ゆるキャン」の特集雑誌が売られていたのは、
あれいつのことだったろう?)
キャンプはちょっとなあ、と思う人もいる。
キャンプ用品を安く揃えることもできるけれど、
いいものは高く、やっぱりそこにはちゃんとした理由がある。
だからといってお手頃価格で、手を抜かない高品質なものもある。
コスパさえよけりゃ何だってよくなるものさ、
という乱暴な意見もあるだろう、身の丈、現実、給料と相談(?)
デカくてゴツい六本木の高層ビル、
夜のライトアップがキラキラする有様(?)
どれを購入するのかは結局その人の個性となり、
その人のどういう風にしたいかで決まる。
ランプなんかいらない、
ホームセンターコーナンで売ってる懐中電灯の方が安い、
という人だってそれはいるだろう(?)
ゴティバも美味しいけどポッキーは最高のお菓子ですよ、
わかりましたか(?)
形から入るよりもまず一回やってみた方がいい、
そこから出てくる需要と供給なのではなかろうか。
企業は売りたい、そしてその為に沢山の説明をする。
商談が決まれば一服的なポーズ(?)
昔の通販のイーグルアイだ、洗脳される(?)
ジャパネットたかたの声に、アルファ波だって出る(?)
(あーちゃん、さっきから何言ってんの?)
でも何がいいのか、どうすべきなのかを知りたい。
フリマの中古のテントで不具合があったとかいう話も聞く、
加水分解していないか、とか、
シーリングテープは剥がれかかっていないか、など、
やっぱり質問した方がいい。
三角コーナーの背後のシンクに溜まる、ぬめっとした水垢が、
気になるものだから(?)
安くあげてキャンプ一式を一万円以内にしたとか、
そんな話もあるけれど、何でもいいはやっぱりお粗末だ。
―――プライヴェートで、
学校の教師と会いたくないみたいなもの(?)
どうしても欲しいものがあった時は幸せだ、
年齢を重ねていくとそういうものが少なくなってくるし、
紀ノ国屋とか明治屋とか北野エースとか成城石井とか、
無駄に高いところで、
必要のないチーズだのココナッツオイル、
ポカホンタス女よろしくのインスタ脳についていけない気がする(?)
―――と、あーちゃんがナチュラルにディスっている件(?)
そういうのを雑誌で特集していたりして、
斜に構えてぱらぱら読んでみたけれど、
ちんぷんかんぷんというわけではないけど、
やっぱり手間だと思う私みたいな人もいる。
それはある日、砂漠の真ん中で目覚めたらという特殊設定みたいなものだ、
子供の時はそんなことを考える。
いや、目覚めないから(?)
―――プラットフォームで、ここからここが、
違う町かと考えているまなざし(?)
そこでキャンピングカーという手法もあるのだろう。
最低、数年後には、
あーちゃん旅へ行こう、と私を誘ってくれるのかも知れない。
友達というのはいいものだな、とふと思った。
砂漠の海を眼の前に、
二人で途方に暮れる未来が来るとしても(?)
「そうだね、免許は先の話だけど、
やっぱり大きなキャンピングカー借りてみたいよね、
できるなら全長十メートル、価格は六〇〇〇万円、
高い天井にLED照明がラグジュアリーな雰囲気を演出した室内、
エントランスから中央部にかけて、
左側に四人掛けのレザーソファー、
大型テレビや暖炉風ヒーター、二段式の大型冷蔵庫、
いえいえまだまだ(?)
湯沸かし器に流し台、トイレ付洗面所にシャワールーム、
キングサイズベットも忘れず(?)
走るスウィートルーム、欧米でそんなのあるみたいだよ、
まあ、さすがにそれはどうかなって思うけど、
自宅から空港へハイヤーだよね(?)
でもちょっと大きめだったら、キャッチボールとかできるもんね(?)」
、、、、、、、、、
チョイスがおかしい。
でも大きなお風呂に入ったら、泳がないけど、
確かに泳いでみたいような気がする。
いや、子供の頃だったらきっと泳いでいた。
それってなんとかなったー、傷つけないでいられたー、
迷惑をかけなかったー、ギリギリうまく対処できたー、
―――とかいう脳の俎上。
でも六千万円って確かにインパクトがある、
アメリカでは豪華さが際立つキャンピングカーで、
クラスAと呼ばれるものらしい。
きっとセレブのアウトドア御用達アイテムなのだろう(?)
上流階級の桁が違っていると、
こち亀のギャグみたいで面白い。
・・・・・・平凡な記憶が何故か鮮明に残る、
かもちゃんが私のケーキを見たので、
よかったら食べてよと、あげた、
ありがとーダロってかもちゃん言った、
そのあと、かもちゃんが、
たこ焼きとか言ったあと、
ケーキをぺろりといきなり食べた(?)
、、、、、、、 、、、、 、、、
ふっふっふって、笑ってた、不敵に(?)
「輸入キャンピングカーって大きいもんね、
レンタルできるのかな?」
「その六〇〇〇万のは無理だと思うけど、アメリカ製とか、
ヨーロッパ製のがあるみたい。気になって調べてみたら、
やっぱるあるところにあるみたい」
大きなキャンピングカーは魅力だ、機能充実、各種収納、
トイレにお風呂までついていたら、もう家である。
店内を移動していく楽しさや、駅を通過するような感覚。
だが、はたしてそこまで求める必要があるのかっていう疑問は残る。
、、、 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
人数や、予定日数で考えるキャンピングカーの大きさ(?)
「前に読んだんだけど、
バスを改造してキャンピングカーにする人もいるみたい、
車検から何から何までやる人もいるんだってすごいよね」
「頑張るね」
「断熱材を入れて、テレビとかエアコンのための、
サブバッテリーを何個も入れたりとかする」
「キャンピングカーをどれだけ家に近付けるかだね」
ところで全然関係ないけど、と彼女が立ちあがって言った。
タイの三輪タクシーの、カーブが曲がりづらいという噂の、
あの、トゥクトゥクとかどうですか、という(?)
掃除箱が開いた、頬をふくらませた、かもちゃんが、
「フグですけど何か?」と言った。
―――時間に切り離されていく、
いずうさがちゃんが、うさぎ用三輪車に乗って、
昼休み、走り回る(?)
―――そしてますます、ますます、
日常は遠ざかる・・・・・。
でも、いずうさちゃんは尊い(?)