koichang’s blog

詩のノーベル賞を目指す、本を出さない、自由な詩人。

しょうねんの夢

ぼくは昨日 女の人のゆめを見た
ぼくはもちろん未熟な侍
いわゆる鳥のように飛べない
劣ったホモサピエンス

でもいいともさ
ぼくの若さは抜群だからね!
これから目の異様な動き
そのときどんな悩ましい光景が目の前に
ひろがっているか
・・・で、えっとえっと、

ぼくは旅館
日暮れがた野ザルが鳴きしきり
鬱蒼たる竹林にはパンダ
こい人が外国語を話すくらい不思議な
シチュ・エエ・ションだね・・・
立ちションする
電信柱にひびく

あふれる夏のにおい―――しょー、しょー、
しゅんしゅん、しゅ、しょっ、しゅ、しょっ、
暮れかけた空に、―――
やさしくプテラノドンが翔んでいた
まるで溶けてゆくあかるいスプーンみたいに
でもなぜ?・・・・・・

―――玄関、上がりがまち、靴脱ぎ、
あたたかい秘密の沼のような、
たとえるなら食虫生物の、
うねうねとした触手のような、
若女将の挨拶、―――
「・・・お待ちしておりました」

磯巾着にもてあそばれるように
チクチク・・・ふふ・・・
このねっとりとした微笑に
ぼくの総身は硬直

・・・
・・・・・・
・・・しょうか

ありふれたフレーズ―――「荷物持ちましょうか」
「いえ、、、」―――
いっしゅん女が薄いしげみに飾られた、
いっしゅん女が薄いしげみに飾られ、
いっしゅん女が薄いしげみに飾ら、

荷物をおろし襖・・・ぴしゃン・・・
ほころびの口をぼくはみせながら
差し出されたお茶をごくごく飲む
「・・・ところで」

爛熟したアポガドのような舌をみせながら
・・・しかも色も、・・・香りも、
・・・そのうえ湖の薫り、

湯上りのうなじをちらりと若女将はみせながら
ごく自然な手つきで
露天風呂にでもどうぞと
ぼくのあふれた泉を刺激する

あわい・・・たいそう淡い・・・
まるい窓が法螺貝の口のように
うす桃色がかった
蕩けそうな肉を覗かせる

―――ねえ、ねえ聞いた、
あの子××なんですって、―――
ビクッ としながらぼくは廊下に耳をすませる
襖に穴をあけるほどぼくは凝視

・・・どうしてこんなに昂奮するんだろう、
異性にぼくは無限の想像力を掻きたてられる、
電車で香水のにおいを嗅いだだけで、
(切なく、切なく、切なくなる!)
バスの隣の席に同級生の女子がすわるだけで、
(オズオズ、オズオズ、オズオズ、、、)

―――プルプルなんですってね、
それで×××なんですってね、―――
・・・はあ、・・・はあ、
な、なにでごザル?

ぼくはかえすがえすも未熟なホモサピエンンス
こそおっと襖をあけ、
―――愛の車輪がまわりはじめる前に、
ただまぼろしのやわらかな靄にふれながら、
しかしさらに未知の浴衣の下に、
ほっそりとした色白のなかに、―――

脱衣場で服をぬぎ籠のなかにいれすっ裸になると
すでに神祕の力のみなもとは熱く滾り
ビビビッとこうくるんですな!
電気うなぎ

湯をひと浴びふた浴びしていると
・・・!!!
ぬうツと女の影が !
おかあさんではないものが !
近所のおばさんではないものが !

ぬうおツとぼくは出口なき欲望
・・・くすぐったか・・・はずかしか・・・・・・
反響するリバーヴ状うちゅうに
福岡弁ではなす女の声

ぼくはくわしい筋も 描写も
すっかり忘れていた
ビクン…ビクン……!!!
びく・・・ひくっ・・・・・・

「い・・・い、つ・・・ものことだが・・・・・・
こ・・・こん・・・こんな時に・・・・・・

しかし光源のよわい電燈ほたるのただなかで
ぼくは文字をよんでいる
からだの中央に
三本の横皺がはしり
輪廻から・・・解放されよ・・・・・・

たとえるのなら頭にうかぶまま
夜汽車がはしるのをみている・・・愛らしい子鹿・・・

それはまったく無駄のないテープだ
餡をつめこまれた和菓子が
外面的美の極値であるように
犬歯でかるくおしつぶすように・・・破られた・・・ 
トワイライトのふくらみ
婀娜っぽい亀裂

―――隠された女性の足のシルエット、
うすぐらい豆電球、
光で透けて見える時、
≪ぼく≫のなかに、
≪俺≫が一瞬立ち止まる、―――」

「おれたちはなぜ技芸を欲するのか、
おれたちはなぜ富を欲する、
そしておれたちは地位や名誉、
そしておれたちは―――

・・・・・・かいならされた家畜、本能をもたない、
聴覚は、視覚は、嗅覚は、
触覚は、味覚は、

適切な方法、特定の季節によって、意識的に感知する、
それは太陽だ、それは月だ、
そしてそれは―――」

ぼくはなにも知らぬ!聞かぬ!存ぜぬ!
・・・浴槽のなかへも・・・へっちゃらさ!
・・・ちゃぷり!!! 
ずぶずぶもぐっていく

快楽とは卑しい人びとのもの・・・
知識階層にとって忌み嫌われるもの・・・
不順な心をもたせるもの・・・
魔へとはしらせるもの・・・

―――しかしフィルムにゆとりはない、
快楽に没頭している場合ではない、
だが、身を滅ぼす肉のはざまに、
ぐったりと横臥わるぼく、―――
…いやな予感がするぞ
…いやな予感がする
…いやな予感がす

もちろん女は水着ではない
汚穢≪けがれ≫のない晶石である
メィンディッシュである!
そのような無粋な姿は
肉の祠・・・仏像の・・・あさがおの花びらに・・・
ぶどう色の蜜をあふれさす・・・・・・

・・・はあ、・・・はあ、
・・・んあああっ、
・・・ごくン、
・・・はあ、
・・・はあ、

そして俺は妖しく蒼い毒蛇をつかまえた
緩急をつけながら・・・天使の無垢なる世界・・・
官能の舞いをし・・・
いましも忘我の世界へ
・・・うん、ああ、
…んー、ああ、

・・・はあ、、、・・・はあ、、、
濡れた舌で十円を舐めた記憶・・・
呑み込みそうになって、それで、それで、それで

ビー玉を舐め転がしてた
・・・はあ、、、・・・はあ、、、
DOKIDOKIする、DOKIDOKIする、
DOKIDOKIする、、
・・・はあ、、、・・・はあ、、
なんていうエイトビートの疾走感なんだ、
―――花の寝どこ、香りと色を添えた、
カクテルの作り方、
特殊な書体による文字の書き方、
しんぴてきな図形のえがき方、―――
もの凄く、DOKIDOKIした、
…興奮した・・・興奮していた!!!

・・・
・・・・・・
・・・しょうか

ありふれたフレーズ―――「お入りでしょうか」
「いえ、、、」―――
いっしゅん女が薄いしげみに飾られた、
いっしゅん女が薄いしげみに飾られ、
いっしゅん女が薄いしげみに飾ら、

あーッ・・・あうーッ・・・・・・
もう辛抱だの理性だのといった感情を
オクトパス刺激される
―――オクトパス あくてぃぶ、
オクトパス こんとろおる、
オクトパス ぽいんと、
オクトパス かめらまん、
オクトパス もでる、―――

ちゃぷ・・・ちゃ、ぷ・・・
水は跳ねている
―――接近づく

濃厚な香水のにおいに噎せ返るように
しかし同時に騙されるように
むあんとするマシュマロ
ゆさゆさと揺れる胸のふくらみ
洋梨の甘酸っぱい触感 !
ああ いきれるぼくの棒
ぼくのナルシス―――ボリュームをます、
膨張寸前のいがぐりをむんぎゅと握ったまま、
極限の音楽/睡眠の音楽のあたりで、
秘密のはなぞの、
そしてナルシス様の隔世遺伝、―――
ドクン 血が白のなかに落とされたように
≪ぼく≫のなかに≪俺≫

「・・・・・・ナルシス万歳!ナルシス万歳!ナルシス万歳!
あわてて翻ろうとする百合の花襞をおさえつけ
鳥のくちばしを
SECRET ZONE に
螺旋状の墜落するもみじが
―――ああ シグれる、
ああ シグなる、―――
無毛の湿地帯へとあわい彩色の奥の院
紅蓮の溝にえり首に
一頻り火の粉を散らす

ナルシス万歳!ナルシス万歳!
切れ長の上目遣いに見覚えがあった
しかし着物を脱ぎ―――若女将は千鳥の曲、
オペラ座のひりりと疼く景勝地に、
ああ俺は腰を落とす、
そしてサーモンピンクのなかに、
身震いに膝をガクガクとさせながら、
寒天質の歯科医療、―――
俺は満点のしら月夜をみていた
沈黙は女にとって最大の飾りだ
そして男は そして≪ぼく≫は
液状化する   

ナルシス万歳・・・・・・!!!
過剰な愛   過剰な恋
過剰過ぎるもの 過剰であろうとするもの
見た目にも快適なシーツに花を飾れ
そしてそこに二匹の蛇を棲まわせろ
鳥かごを吊るせ   椅子を置け
口をかぐわしくしろ
うつくしい歯でいろ
そして・・・過剰であれ・・・!」